直川隆久 2018年2月18日

贈る言葉

         ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

卒業生の皆さん。
今日のこの巣立ちの日を、皆さんとともにむかえられること、
その感激に、今あらためて胸をいっぱいにしています。
この学び舎を預かる身として、これにまさる喜びはありません。
皆さんの顔をこうして見渡していると、
ああ、もう、皆さんは、立派な大人だなと、感じます。
これから皆さんは、この学校とは違う環境へと旅立って行かれる。
人生の新しいステージの中で、
社会の現実というものに直面されることもあるでしょう。
そんな皆さんに、私から、どんな言葉をおくったらいいだろうと、
考えました。
今日、皆さんにぜひ伝えるべきメッセージをひとつあげるとするなら・・
覚えておいででしょうか。
3年前、校舎内での教師による喫煙が、全面的に禁じられました。
地理をご担当の高木先生は、
非常なヘビースモーカーでいらっしゃいました。
皆さんもよくご存知でしょう。
休み時間に、階段の踊り場でタバコをくゆらせる高木先生のお姿は、
とても絵になったものです。
その高木先生が、タバコをそれだけ愛する高木先生が、
学校内でのタバコをやめられるにあたっては・・
ほんとうに、不満たらたらでありました。
よく、私のおります校長室に、木刀をこんなふうに、ぶらぶらとさせながらね、
入っていらっしゃいまして、おっしゃったものです。
「安月給の唯一の楽しみを、なんの権利があって、あんたらは奪うの」。
私は申しました。高木先生、お気持ちはよくわかります。
でも、決まったことですから。
そうしないと、きょうび、保護者の理解も得られないのです。
高木先生。木刀はぬきにして。木刀はぬきにして、話しあいましょう。

・・・ええ、つまり、何が言いたかったと申しますと。
このように、社会というのは、一面からは捉えきれない、
多様性をもつものだということ。
そのことを、皆さんへの、私からのメッセージとして・・
あ、もうひとつありました。
もうひとつありました。
保健体育の吉田先生。
吉田先生は、ワークライフバランスを非常にきちんとお考えになる先生です。
毎日、5時きっかり、職員室の時計の秒針が5時をさすその瞬間に、
職員室を飛び出していかれます。
そんな姿を見ながら、ああ、新しい時代の働き方だなあと、
私は感じ入っておったものです。
ところが、ある日、不思議なことに気がつきました。
職員室の時計が、じつは、2分ほど進んでいたのです。
思い当たる節がありました。
吉田先生は、毎日夕方5時2分発の電車に乗って、
ご自宅へお帰りになります。
ですが、5時に学校を出ると、この5時2分の電車には、
ぎりっぎり間に合わない。
そういうことか、と。
私、そのことを、いちど吉田先生に、それとなくお尋ねしました。
そのとき、吉田先生が、わたしの顔を見ながら、こう、おっしゃいました。
「ああ?」。
私はそれ以上、立ち入らないようにいたしました。
さて、皆さんは、どう思われますか?
その時計を早めたのは吉田先生かな?
どうなのかな?
それは、皆さんが、考えていただきたいと思います。
そしてこれからの人生の中でおりにふれ、
じぶんの心に繰り返し問いかけてみてもらえたらと思います。

しかし、校長という仕事は、そんなことばかりです。
そーんなこと、ばっ、かり。
本当は、隣の校区の校長になりたかったんです。
あちらは、進学率もいいですし、生徒の質も、教師の質も、ここより高い。
ねえ、そうでしょ?
そうなんですよ。
つまり、私が皆さんに本当に言いたかったことは・・
私だって、卒業したい!
今日にだって!
ローンさえ無ければ!
はっははは。
いやあ。
はっはっははは。

・・・ということで、卒業生の皆さんに贈る言葉とさせていただきます。
卒業おめでとう!



出演者情報:遠藤守哉(フリー)

 

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直川隆久 2017年12月24日

「ふつーに」

         ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

さいきん、気になる言葉があってね。
え?
「ふつーに」っていう言葉。
近頃、とみによくきくだろ。
あれだな。
「ゴッホより、ふつーに、ラッセンが好っきー」っていうギャグだな。
あれで「ふつーに」がちょっと気になりだしたんだ。
で、意外と一筋縄じゃいかんのだよ、「ふつーに」は。

たとえばさ、「足の骨折れてたのに、ふつーに歩いて会社行ってた」とか
「死ぬ前日までふつーに仕事してた」とかいうときは
「変わった様子もなく」とか「平然と」っていうような意味だろ。
でも、こういう使われ方もある。
「このあいだ、ダチに連れられて、めっちゃ路地の奥のほうの、
きいたことのない居酒屋行ったんだけどさ。
店のおやじも愛想なくて、大丈夫かなと思って。
で、だされた料理食ったら、ふつーにうまかった」とか
「5歳の甥っ子が、おじちゃん、ゲームやろうっていうから、
一緒にスプラトゥーンやったら、
ふつーにうまくてぼろ負けした」みたいな使い方、あるでしょ。
肯定的な評価に「ふつーに」という言葉を添える。
これはなんとなく「標準基準を満たして」みたいなニュアンスだよね。
「それなりに」というよりは肯定的なニュアンスが強い。
でも、それだけでもないような気もするんだな。
たとえば、こんな言い方はどうだろう。
「ミシュランの2つ星の寿司屋の予約がとれてさ。
どんなすごい寿司が食えるかと思って行ったら、ふつーにうまかった」
これは、あんまり言わない気がせんかね。
この場合「うまかった」と「ふつうに」が、あわない感じがする。
すると、さっきの汚い居酒屋と、このミシュラン寿司屋の場合の違いは
「期待値」ということになるよね。
「期待値が著しく低いときに、その期待値を上回って、
標準レベルに達している」というニュアンスが
そこに入っているということになる。

で、ここからがまたややこしい。
というのはね、次みたいな言い方はどうだろう。
「入試の日、大遅刻して、最初の2問しか書けなくでさ。
まあ。ひょっとしたらと思って合格発表見に行ったんだけど、
やっぱふつーに落ちてた」
これは「予想どおり」とか「当然」ていうことだよね。
つまり「期待値が低いときに、期待どおりの結果が起こった」ときにも
この言葉は使えるわけだ。
となると・・わからなくなってくるよね。
さらに、こんな言い方もある
「『さいきん毎晩、隣の部屋から、女の人の叫び声がして』
『それ、ふつーに超ヤバくない?』」。・・
これはなんだ。「疑う余地なく」みたいな感じか。
う〜ん・・・
どうしてこんなに文脈に依存する言葉なのに、
それを聞いたとき「わからない」っていう感じがしないんだろうか。
ひょっとすると「ふつーに」に込められているものは、
特定の意味ではなくて、コンテクストに対する発話者の、
ある種の態度表明なのだろうか・・
・・・・てね、そういうこと考えだすと、
なんか寝られなくなっちゃうんだよね。

あ。ごめんごめん。
話が長くなっちゃった。

君の処遇のことで、来てもらったんだよね。
そう。
今回の件は、かなり痛かった。
正直、痛かったんだよ。大損失だ。
きみも、自分の責任については理解してくれて、いるんだよね?

その上でだ。
ぼくはね、今回の件については
君を「ふつーに処分」したいと思っているんだよ。

うん。ふつーにね。
・・・さて、きみ。
これは一体、どういうニュアンスだと思うかね?

出演者情報:遠藤守哉(フリー)

music:http://www.hmix.net/
 

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直川隆久 2017年10月22日

へべのれけれけ

         ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

えー、つまり、あれれすな。
この、うー、ろうしてわたしが、このように、そのー、
ろれ、ろれ、ろれつがあやしいのかともうしましゅるに、
ついさきほどの、おー、パーチーで、えー、
たまさか、ウォッカをでしゅな、かけつけ、しゃんばい、やっつけまして。
いや、これは、天にちかって、しゃんばいでごじゃります。
ごじゃります!
平安か!
うへへへへへへ。
いや、あー、ウォッカくらいでこのような、
このろれ、ろれ、ろれつがこのようなろれつがあやしい、
このようなことは、めったにないんでありましゅが、
やはり、ここ数日(しゅうじちゅ)のでしゅな、きんちょうが、こう、
ストレスとなっておりましたようでごじゃいまして。

(急に調子が変わって)
あのねえ!みなしゃん!
わたしのみにも、な、な、なってみろちゅうんだ。
ミサイルは、びゅんびゅん、毎日とんでくるわ、
ア、アメリカからは、やいのやいのと、いうてくるわ。
あんたらマシュコミとは、せきにんのおもさがちがうんだ。
われわれは。
ウォッカくらいねえ、あぁた、
ウォッカくらいしゅきにのんでなにがわるい!
なにがわるいんだこら!
おい!しんぶんや!いうてみろ!

(また急に調子変わる)
ロシアのがいむだいじんはねえ、ええおとこなんだ。ほんとうに。
わたくしが、ひっく、モスクワにおもむいたときにはですよ、
かならず、かならず、くうこうまではせさんじてだね、
50ねんらいのち、ち、ちくばのともかというばかりに、
あつきほうようでもって、でむかえてくれますよ。
スパシーバ!(拍手)
ハラショー!(拍手)

わたしらが、どんなおもいをひびしているか、
れんちゅうは、わかっておる!
そりゃ、こっちも、み、み、みやげの一つももっていきたくなりますわな。
そら、やっぱり、れいぎですわ。
あつきゆうじょうには、へ、へ、へんれいをもってこたえる。
これが、ひのもとのでんとうでありましゅ。

どういうもてなし?
…うへへへへ。それをねえ、はなしだすと・・ひっく・・・
ち、ち、ちいとばかりながくなるけれども、よろしゅうござんすか。、
おれ、おれ、おれきれき。よろしゅうござんすか。(舌なめずり)

これはねえ、に、2しゅうかんまえ、
モスクワの、ちかカジノにしょうたいされたときのことで・・

ちょ・・・

ちょっと。

なんだ、なんだ。

マイク。
マイクきるんじゃないよ。
まだ、おわっとらんよ、はなしは。

うぉ。
う・・・

はなせ、はなさんか。

こら、ぶれいもの。

だいじんつかまえて、だまれとはなんだ。

こら。こら、こ、こ、こっぱやくにん。

こら、はなせ。
はなせこら。
はなしはがれ。

ぐ。
う。
う、うえええええええ。(嘔吐する音)

出演者情報:遠藤守哉(フリー)

 

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ポンヌフ関 2017年8月13日

amanogawa

天の川  

     ストーリー ポンヌフ関
        出演 原金太郎

頬杖をついてソファーに座っていると、女は
「天の川って七夕の夜だけに見えるの?」と聞いてきた。
「流星群ではないから空気が澄んでいれば年中見える」と教えてやると
「織姫と彦星って、年に一度しか会えなかったら、その夜は凄そう」
などと云う。
「その年が雨だったらキャリーオーバーね、
 我慢できなくて浮気とかしちゃうよね」
と続けてきた。

私は、その手の話は嫌いだが
ぺちゃくちゃとしゃべりながら、ちょっと首をかしげて人を見る癖は、
昔飼っていた文鳥を思い出し愛らしい。

「おまえは文鳥のようにかわいいところがあるのう」と云うと

「アタシ、文鳥より猫が好き」と云う。

「猫なら私も飼っておる。しゃべるんじゃ」

「わかった!おかえり、とかいうんでしょ」「ンニャエリ」「オニャエリ」
と声色(こわいろ)を使って繰り返す。

「いや、吾輩は猫である、なんて云うんじゃ」
「やだ、夏目漱石でしょ、それくらいアタシだって知ってる」
「おや、なぜ私の名前を知っておる?」
「もー、あ、おじさん夏目漱石を意識してるんだぁ、その髭似合ってるよ」
と、私の髭に触ってきた。

「おっと、いかんいかん、こんなことをしてる場合ではない」
「私は今日大量の血を吐いて死ぬかもしれんところなんじゃ」
「えー、なんで来たの?帰った方がいいよ」と急に私を出口へといざなう。

「お金?もう財布から抜いてあるから大丈夫」

「さようなら、先生」

「さようなら、もう会うことも無かろうが楽しかった」と告げると

女は目尻と口元に笑みをたたえて
「また会えるよ」と云う
「また来年織姫と彦星みたいに会えばいいじゃない、・・・待ってるよ」と
殊勝なことを云う。

思いがけず私の頬に涙が一筋流れるのを認めた。
会ったばかりのろくでもない女にこんな感情が湧くとは。

「じゃあ、また来年」と云って指切りをした。

「ところでここは何処なんじゃ?」
「バカねえ、キャバクラに決まってるじゃない」
「おー、鎌倉か!修善寺までは遠いのう」

女と別れて歩き出すと満天の星空に気づく。

別るるは 夢一筋の 天の川

こんな句が口をついて出た。

と同時に、目が覚めた。
私は死の淵から生き返ったのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

別るるは 夢一筋の 天の川
夏目漱石四十三の年、修善寺の大患で生死の境をさまよった時に
詠まれた句と云われている。

出演者情報:原金太郎 03-3460-5858 ダックスープ所属
動画の絵:ポンヌフ関

 

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直川隆久 2017年7月16日

1707naokawa

セミマン

          ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

最近の暑さときたら、もう、どうしようもないねえ。
とくに、この周辺はさ、緑も少ないし。
あなたのとこもそうでしょ?
このアパートも、昼間は蒸し風呂だよ。
窓?だめだよ。開けたって。
向かいのマンションが、もう、手で触れられるくらいのとこに、
でーんと建ってるからね。
昼間さんざん太陽に灼かれて、コンクリートがほっかほかだから。
輻射熱っていうんですか、それがもう、手、かざすと感じるもん。

暑い、っていうのがもう生ぬるいよ。
熱いんだ。
熱い。
なにもかも。空気も、壁も。畳も。
目あけてると、目が熱いもんな。
「温暖化」って言葉にだまされてた。
温暖なんて、そんななまやさしいもんじゃないよこれは。

1年中夏でしょ、今や。12月だっていうのにミンミンゼミが鳴いてるんだから。
寝苦しいでしょ。ねえ。毎晩毎晩。

いや、俺もね、もう寝られなくて困ってたの。
夜中に何度も起きて水浴びてさ。でも、じきに体が火照ってきちゃって。
でもね、最近ちょっとしたことがあって、少し希望がでてきたんだよね。
っていうのもさ。
こないだなんだけど、夜中に目が覚めちゃったの。背中がやけに痒くて。
ダニかな畜生、と思いながら腕ねじってがりがり掻いてたわけ。
そしたらさ、なんだか、ゴツっとしたものが指先にあたるんだよ。
なんだこりゃ、虫のさされあとかな、と思ってまさぐったらさ、
そのゴツゴツがずーっと、背中から腰まで線路みたいに続いてるわけですよ。
お尻の割れ目のあたりまで続いてる。
なにこれ、って思ってると、その一番下のとこに、
小さくてかたいものがぶらさがってる。
なんか、覚えのある手触りだなとおもってさわると、あれだよ。
ファスナーですよ。
ファスナーのツマミ。
そいつを、ちょっと、引っ張り上げると、じじっ、と音がして、
どうも背中の肉がだんだん開いていくみたいなんだな。
皮、っていうか、皮と筋肉が一緒になったくらいの厚さ。

え?
いや、それが痛くないんだよ、全然。
それどころか、ファスナーの開いたとこは外気にふれるでしょう、
すごい涼しくて気持ちがいいの。とまんなくなっちゃってさ。
背中の真ん中くらいまで上げて、腕がどうにもそれ以上曲がらないから、
ひもの端っこに洗濯バサミつけたのでツマミをはさんで、引っ張ったんだ。
そしたら、じじじじーってファスナーが開いて、
後頭部の真ん中あたりまで、ぱっくり。

で、体をぶるぶるっと揺するとさ、
肉とその下の間に隙間ができて空気が入って、
がぼぼ、なんて音がしてさ。もーう、涼しい!
体揺すってるあいだに、頭の肉も、がぽがぽいいだしてさ、
これ、ひょっとしたら、頭、脱げんじゃないのと思って、
頭の先っちょを、前にこう、ぐーっとゆっくり押してやると、
最後にずるっと脱げちゃった。
頭がでたら、あとは楽だったね。ウェットスーツ脱ぐみたいな感じで、
全身の肉が足元に落ちたよ。
けっこうな音がしたね。どべちゃっ、て。
ためしに持ってみると、けっこう、重いんだよ。肉って、分厚いし。
そんで、ほかほかしてるしね。
こんな分厚くて、あったかいもの着てりゃあ、そりゃ暑いわけだよ。

で、そのまま、風呂場に行ってさ、水のシャワー浴びたらさ。
いや!
その気持ちいいのなんの・・!
おもわず声がでちゃったね。
クーラーなんて目じゃないよ。
ああ、気持ちがいい。
気持ちいい〜〜〜〜!
あうおおおおお!

あ、ごめんごめん、でっかい声だして。

脱皮しておっきな声だすのって、なんだか、あれだよね、
セミみたいだよな。
連中も、ひょっとしたらさ、皮脱いで
「あー、涼しい!せいせいした!」つって鳴いてんじゃないのかね。

いや、そうやって水浴びてね、身も心もひんやりとして床につき、
ようやく朝まで安眠できましたってわけなんだけど・・・。
ねえ。
ははは。
そういうファスナーがね・・・そういうファスナーが、
俺の背中にないもんかな?
ほら、どうだろう。
ちょっと見てくれやしないかい。

出演者情報:遠藤守哉(フリー)

 

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直川隆久 2017年6月18日

1706naokawa

新年にあたり

          ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

ファイルNo. QZ1029-あ-H13081, 文書形式:ブログ

あと数週で、新しい元号に変わって7年目の春となる。
ということで今年もカレンダーを新調した。
この6月には、あの世紀のイベントが控えている。
印をつけておくのを忘れてはなるまい。

女性宮様と、フィギュアスケート金メダリストとの
夢のロイヤルウェデイングだ。
身のひきしまる思いである。
すでにウェディングドレスのデザインは発表され、
レプリカが飛ぶように売れているそうだ。
記念金貨、記念スマートフォンも同様。

この国には、夢が必要である。
その夢を、神々しい光とともに実現するイベントは、
当面、これ以外にはない。
景気浮揚および国民意識高揚を一気に可能にする
この国民的カップリング成立の陰には、
政府による少なからざる尽力があったとされる。
官邸のある方角にむかい、国民一同、
感謝を胸に今一度最敬礼をすべきであろう。

それにしても、カレンダーを改めるたびに新鮮な思いがする元号である。
ふた文字の漢字に、いかに豊かな意味を込められるものか、
その見本とでもいうべき元号だ。

輝かしい「昭和」のような時代が再び到来することを願いつつ、
国際社会からの「恩恵」がもたらされることを祈念し、
「昭和」「恩恵」それぞれの言葉から一文字ずつをとり、新元号とした。
それが日本政府の発表による由来であった。

「特定の個人名を想像させる」として
宮内省および前時代的発想の学者連中は猛反対したという。
なんという狭量!が、幸いにして、官邸の果断なる一言で、
当該の元号に決まったということのようだ。

たしかに、結果として、この元号は、
さる個人の名前を歴史に残す結果となった。
が、仮にそれが官邸の隠れた意図であるとすれば・・
いやはや逆になんという深謀遠慮!
まさに「女性活躍の時代」にふさわしい象徴としての元号といえないだろうか!
愚昧な一般人の発想のおよぶところではない。
この政府が続く限り日本は安泰であるという思いをあらたにするのだ。

(以下、公共福祉調整局第85検閲課よりのコメント)
市民生活調査課各位:下線部の表現、いわゆる「政府方針への過剰な忖度」に
あたるかと思われます。「個人ブログらしい表現の自由」が感じられる体裁の
表現になるよう、執筆者へのご指導よろしくお願い申しあげます。 

出演者情報:遠藤守哉(フリー)

 

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