飯國なつき 15年5月17日放送
海② 金子みすゞ
金子みすゞの作品に「大漁」という詩がある。
朝やけ小やけだ
大漁だ
大ばいわしの大漁だ
はまは祭のようだけど
海の中では
何万の
いわしのとむらい
するだろう
朝の浜辺は、あたり一面、網で揚げられたいわしの山で
「大漁だ、大漁だ」とお祭り騒ぎ。
そんな人々の光景に対し、みすゞは静かに海を見つめる。
見えないけれどもあるんだよ、
と訴えかけてくるみすゞのまなざしは、
海のように深く、あたたかい。