2013 年 11 月 9 日 のアーカイブ

小林慎一 13年11月9日放送



女の話 紺屋高尾

実在した吉原の花魁、
五代目高尾太夫をモデルにした落語がある。

神田の染物職人の久蔵は、
花魁の最高位である高尾太夫にひとめ惚れ。
会いたいばかりに必死に働いて、
3年でためたお金は13両。
身分を偽り、ついに高尾太夫と対面する。

「ここに来るのに3年間、必死にお金を貯めました。
 次に来れるのは3年後。」と
泣きながら白状する久蔵。
これを聞いた高尾太夫は思わずほろり。
二人は晴れて夫婦になった。

この話「紺屋高尾」では見請け金なしで結婚しているが
ある大名の側室になった六代目の高尾太夫の身請け金は6千両。
当時のお米の値段で計算すると4億8000万円とか。

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小林慎一 13年11月9日放送



女の話 グーデンホフ光子

日本で初めて国際結婚をした、グーデンホフ光子。
夫である、オーストラリア・ハンガリー帝国の外交官
ハインリッヒ・グーデンホフ伯爵は、東京、横浜に住む
ヨーロッパ人にこう宣言した。
「わが妻をヨーロッパ人女性と同等に扱わないものには、
 誰とでも決闘をいどむ」

しかし、光子の優美さと品のある作法に、みな魅了され、
決闘がおこるようなことはなかったという。

7人の子宝に恵まれた光子は、
領地であるボヘミア地方で子育てをした。
小学校しか出ていない光子は、
ヨーロッパ人の母親が持つ教養を身につけようと必死に勉強し
その姿を見て子供たちは成長した。

次男のリヒャルトは、
「ひとつのヨーロッパ、パン・ヨーロッパ」を唱え
ヨーロッパ統一に向け大きな思想的な影響を及ぼした。
日本の美徳を常に忘れず最高の母親になろうとした光子は、
EUの母を育てたのだ。

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小林慎一 13年11月9日放送


Yudysun Pratama
女の話 アリマキ

福岡伸一郎の著書によれば、
地球上に生命が誕生してから10億年ほどは
女しか存在しなかったという。

たとえば、アブラムシの一種である
アリマキという虫は
メスがメスだけでメスを生み、子を育て、
なんの不自由もなく暮らしている。

ただ、秋口になる例外的にオスが生まれる。
それは、免疫のないウイルスにかかったり、
急な環境変化によって種が全滅する可能性を減らすため。
つまり、遺伝子をシャッフルしリスクを分散する、
そのためにだけにオスは生まれるのだ。

そして、その本によると、
生物は、オスが遺伝子を放出するだけではもったいないと、
メスのために、えさを運んだり、家を建てたり、敵と戦ったりと、
より便利で男らしく進化していくオスを誕生させていったのだそうだ。

その著書の名は、
「男は女のできそこない」。

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小林慎一 13年11月9日放送



女の話 お仙

お仙の茶屋へ腰をかけたら
渋茶を出して
渋茶よこよこ横目で見たらば
米の団子か 
土の団子か

200年以上昔、江戸時代は明和年間のころ、
手毬歌にも唄われた絶世の美女、お仙。

お仙は水茶屋で働く茶汲み女。
いまでいうウエイトレス。
その美少女ぶりが、浮世絵師の目にとまり、
錦絵に描かれてたちまち江戸のアイドルに。

彼女を一目見ようと客が押し寄せ、
お茶屋が大繁盛したばかりか、
お仙キャラクターの
手ぬぐい、双六、人形といったグッズが大いに売れに売れた。
お仙をモデルにした芝居も大当たり。
経済効果は抜群だった。

もうひとりのアイドルだった柳家のお藤も、
錦絵や手ぬぐいを売り出してはみたが
江戸トップアイドル対決の軍配はお仙に。

お仙は人気絶頂の19歳で引退し、幸せな結婚生活を送ったとか。

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