2018 年 3 月 4 日 のアーカイブ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-01
Rob Dammers
「映画監督」クリント イーストウッド 15時17分、パリ行き 本人役

3月1日から、日本で公開されている、
クリント イーストウッド監督の映画、
「15時17分、パリ行き」。
35本目の監督作品だ。
実際に起った銃乱射事件を題材にしたこの作品は、
現実にこの事件に巻き込まれた本人たちが
自分の役を演じている。

 ある日、彼らに
 君たち、自分自身を演じることができると思うかね?
 と問いかけてみた。
 うまくいくかどうかはわからなかったよ。
 ただこの3人と一緒に歩みたいと感じただけだ。

クリント イーストウッドは、
演技は知性的な芸術ではなく感情的な芸術だと考える。
実在の事件を映画にすることの多い監督は、
その場の感情を見つめたいと思っているのかもしれない。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-02

「映画監督」クリント イーストウッド 1992年、許されざるもの

クリント イーストウッドはテレビドラマ出身の西部劇俳優だった。
1980年代後半、出演作はことごとく失敗。
アクション俳優としての実力が、歳とともに衰えていくのは、
仕方のないことだった。
そして1992年、「許されざる者」を監督する。
年老いたガンマンが、賞金稼ぎのために
再び銃を手にする映画だ。

 善人はすべてが善でなく、
 悪人はすべてが悪でないというのが好きだ。
 だれでも欠点をもち、誰でも自分のすることに
 対して理屈をつけたり正当化したりする。

 
1982年か83年に、この映画のオファーがあった時、
クリントはもう少し歳を取ってからの方が、
この役にふさわしいと感じた。
だから「宝物としてしまっておいた」という。
自分の状況をしっかり分析していたのだ。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-03
Giube
「映画監督」クリント イーストウッド 2013年、許されざる者

クリント イーストウッドが宝物としてしまっておいた映画、
「許されざる者」は、2013年、日本で再び映画となった。
監督、李相日(りさんいる)、主演、渡辺謙、
佐藤浩市と柄本明が共演した。
幕府崩壊後の刺客の物語だ。
作品の完成を祝して、クリント イーストウッドから
メッセージが届いた。

 私の長い映画人生の中で最も大切で、
 自分の人生に大きな影響を与えた作品『許されざる者』が、
 最愛の国・日本で、日本映画として甦ったことをとても幸せに感じています。
 かつて、私は黒澤明監督の『用心棒』に感動し、
 『荒野の用心棒』に出演したのを思い出します。
 そして今、日本映画界の最高のスタッフとキャストが、
 私の「許されざる者」に感銘をうけてくれたと聞いています。
 これにも何か深い縁や絆を感じざるを得ません。
 日本を舞台に 滅びゆく者たちの生き様を壮大に描いただけでなく、
 激しくも美しい魂が詰まっているこの作品に
 日本映画の新たな時代の幕開けを感じました。
 私の愛する日本の美しい風景や文化を通じて、
 見るもの全ての人々に驚きと優しさを与えてくれます。


日本版「許されざる者」は、日本映画界、世界の映画の歴史に残る
素晴らしい映画になることを期待している、と結んだ。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-04
adrperez
「映画監督」クリント イーストウッド グラン・トリノ

主人公は、朝鮮戦争の従軍経験を持つ気難しい男。
近所に引っ越してきたアジア系の移民一家との交流を通じて、
自分の偏見に直面し葛藤する。映画「グラン・トリノ」だ。
脚本家ニック・シェンクが昔働いていた工場にアジア系の移民が大勢いた。
彼らを映画に取り上げるのは、いい方法だと思った。
クリント イーストウッドは主演・監督を務めた。

 この主人公は、私と同じぐらいの年齢だし、
 同じような性格だからかな。
 でも私はあそこまで気難しくはないし、
 あのキャラクターほど、物事に対して否定的でもないよ。

 
クリント イーストウッドは、カメラの前に立った理由を話し、
見ている人にどこかで主人公と同じような感情があることに
気づいてもらえると思う、と語った。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-05
DVIDSHUB
「映画監督」クリント イーストウッド アメリカン・スナイパー

〝伝説のスナイパー〟と言われた、実在の狙撃兵の家族との絆、
葛藤を描いた「アメリカン・スナイパー」。
クリス・シールズの自伝「ネイビー・シールズ 最強のスナイパー」を
映画化した作品だ。
監督であるクリント イーストウッドは、
主人公は、弱者のために戦う意義を信じている、
大柄で強い少年だったと語る。

 戦争がひとりの人物に与えるダメージが明らかになるが、
 家族全体に与えるプレッシャーも描かれている。
 戦場に送り込まれるときに、どれだけの危険があるかを思い出し、
 そして、彼らが払う犠牲を再認識することは大切だ。
 だからこそ私は、このストーリーを語ることが
 特に意味深いものだと思ったんだよ。

「アメリカン・スナイパー」には、緊迫したアクションが満載だ。
けれど、ストーリーを展開させていくのは人間関係。
戦争や犯罪を多く描いてきた映画監督、クリント イーストウッドは、
暴力を描くのではなく、人間を描く。
彼の映画が多くの人に影響を与え続ける理由が、そこにある。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-06
roger jones
「映画監督」クリント イーストウッド デジタル

クリント イーストウッドは、デジタルカメラで映画を撮る。
なぜなら、すごく昔にフィルムの映画に出ていたから、
フィルムに偏見があるからだという。

 デジタルはついに、すごくいいところまできたんだ。
 そして、ほとんどの映画館は、99%はデジタル映写なんだ。
 だから、フィルムで撮影して、それを編集するために
 デジタルの変換するような・・・・ なぜ、そんな面倒なことをするんだい?
 今はデジタルの技術がすごく良くなった。そこから立ち去るのは難しいよ。
 ある人々は今も伝統主義者だ。理解できるが大変だ。
 なぜなら今のデジタルカメラは、
 カットせずに26分間続けて撮れるんだ。

クリント イーストウッド、86歳のときの言葉だ。
なんという柔軟な考えだろう。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-07
Greg L
「映画監督」クリント イーストウッド ハドソン川の奇跡

制御不能となった旅客機をハドソン川に不時着させ、
乗客全員を救った機長のその後を描いた映画、「ハドソン川の奇跡」。
クリント イーストウッドは、実話に基づき、
ストーリーに不必要なものをすべて取り除いて、
シンプルに簡潔に映画化している。

 僕は不必要なものがたくさんある映画を、以前作ったことがある。
 でも、人生が進むにつれて、
 もっと要領を得たものを作るようになってきたと思う。
 多分、僕が以前よりせっかちになってきているからかもしれない。
 早く本題に入れるなら、観客はじっと待っていなくても
 いいことにしようと決めたんだ。

「ハドソン川の奇跡」で彼が付け足した唯一のことは、
飛行機が墜落する最初の悪夢のシークエンスだけだった。
観客を映画に引き込むためのプラスアルファだった。

topへ

大友美有紀 18年3月4日放送

180304-08
andrewasmith
「映画監督」クリント イーストウッド 15時17分、パリ行き 実話

数多くの実話を元にした映画を撮り、
リアル・ヒーローの信念と葛藤を描いてきた
映画監督クリント イーストウッド。
3月公開の「15時17分、パリ行き」も現実に起きた事件を描いている。

 大きな英雄劇だし、すべて真実だし、
 信念もあるし、我々が知らないことがたくさんあって
 ぜひ皆が知るべきだと思ったから
 
事件解決にあたった人物が本人役で出演。
撮影も事件現場で行った。
クリント イーストウッドは、
他の人間のフィルターを通して、この映画を描きたくなかったという。
リアリティを追求し、観客に追体験させる。
映画に関わるすべての人に「気づき」があるように。
それが、クリント イーストウッドの、最新のヒーローの描き方だ。

topへ


login