収録記

ColumnA

前日は黒部の太陽で飲んでいた(収録記2012.3.24-1)

前日、というより前夜です。
私は東京国際フォーラムで「黒部の太陽」を見ていました。
3時間半にわたる上映時間(休憩を含む)とはいえ
私は長い映画は決して嫌いではありません。
黒沢だって長いです。アンゲロプロスだって長いです。
「黒部の太陽」が3時間半(休憩含む)あったってまったく気にしません。
長年見たかった映画です。
スプーンの向井社長がコンビニに並んでチケットを取ってくれた映画です。

収録とはまったく関係ないことで長話になろうとしていますが
このスプーンの向井社長こそ、中学時代に「黒部の太陽」を見て
大学の土木科へ進んだという人物です。
進んだ後、土木の才能がないことに気づいた人物です。

2センチの誤差で橋を架けるのはムリだ、
10センチの誤差でトンネルを掘るのは自分にはムリだ…

よくぞ自覚してくれました。
その自覚のおかげで、日本には未だに段差のある橋やトンネルはなく
橋を半分渡ったクルマをリフトで釣り上げてもう半分渡すというような
ややこしい手間もなく済んでいます。
これみな向井社長のおかげです。

さて、そんな土木好きの向井社長と「黒部の太陽」を見たら
どうしても酒を飲みます。
飲みに飲んで、やっと帰宅して
ころがるように布団にもぐった翌日が収録でした。

家を出て、駅前でパンを買って
いつも通り1時間前に会社に着いて、
コーヒーとお茶を淹れてポットに詰めてカップも用意して…
幸いに私は二日酔いをしないので、それだけは助かります。

まあ、なんとか無事に収録ははじまりました。

つづく(なかやま)

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岩田純平くんと内田慈ちゃん(収録記2012.02.25-2)

またしても写真を撮りそこねた収録記だったのですが
天は我を見放さず、
一昨日でしたが岩田純平くんと内田慈ちゃんの撮影に成功しました。
今月、内田慈ちゃんは岩田くんの原稿を読んでいるので
この写真はなかなか貴重です。

内田慈ちゃんが読んだ岩田純平くんのストーリーは
ひたすら不器用な男に告白された女の話です。
その告白も曖昧なままだったので友だちのようなままの関係が
いまだにつづいているのですが
そのわりに女は男をよく観察しています。

それだけ見ているのなら、まとまるのは時間の問題なんじゃないの??
そう言いたくなるときにちょっとした事件が起きて…

というわけで、日曜日の掲載をお楽しみに。
2012年3月11日の日曜の夜以降ににこちらのリンクからジャンプできます。
http://www.01-radio.com/tcs/archives/21716

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あっ写真!と気づいたのが瀬川くん帰った後で(収録記2012.02.25-1)

例によって写真を撮り忘れていたわけです。
はっ、いかんいかんと気づいたのが瀬川亮くんが帰った後でした。

しかし、しばらくしてドアの外に誰か来た気配…
そっと開けてみると忘れ物(電車で読む本)を取りに来た瀬川くんでした。
わ〜〜っ、よく帰ってきてくれました、瀬川くん。
前にもいっぺん言ったことのあるようなセリフを言いながら
撮らせてもらいました。やれやれ、よかった。

しかし、この後また忘れ果ててしまい
そんなわけで、トップバッターの内田慈ちゃんと
3番手の清水理沙ちゃんの写真がありません。
西尾まりちゃんと地曳豪くんと大川泰樹くんは
どうせ飲みにいくんだからと収録中の写真はさぼっていたら
結局のところロクな写真を撮ってないことになりました。
やっぱ飲むとなにもしなくなるもんですね。

本日の夜掲載は井田万樹子さんのストーリーで
清水理沙ちゃんが読んでいます。
清水理沙ちゃんはもともと児童劇団に所属していて
はじめて会ったのは理沙ちゃんが小学校の5年生くらい。
90秒の長い原稿をテイク1OKで読んだ小学生ははじめてでした。
大学も去年卒業して、
ああもう10年以上の付き合いになるんだな〜(しみじみ)
そういえば大学は音大の声楽科で
発声をきちんと学んでいるからか、どうも近ごろの理沙ちゃんは
息を吸わないでもしゃべれているような気がしてなりません(なかやま)

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西尾まりちゃんはなぜ健全な市民でいられるのか(収録記2012.1.21−4)

西尾まりちゃんは本人も覚えていないくらい小さい頃から
子役をやっている。
デビューは「草燃える」という大河ドラマで、当時5歳だった。

私が初めて会ったときはすでに女子大生で
子役だったことなど何も知らなかった。
私はラジオの仕事をしているので、ナレーターとして知り合ったわけだが
読むのがうまいというよりは、あっという間に原稿の世界をつくりだすのが
異常にうまい女の子だった。
偽善というものが嫌いな私にとって得難い人材だったし
密かに天才でもあると思う。

それから西尾まりという人に興味を持ち
「パパはニュースキャスター」の再放送を見てみたら
現在のまりちゃんそっくりな丸顔の子供がテレビの中にいた。
(かなりうぎゃ〜だった)

それにしても、まりちゃんはどうも芸能界の匂いがしない。
子役から所属している世界の匂いが希薄だ。
だからまりちゃんには本当のことが言える。
友人というものが数少ない私にとって貴重な友人のひとりでもある。

いま、まりちゃんは映画「ワッゲンオッゲン」の撮影で
家族から離れて長男と一緒に天草市牛深の一軒家に暮らしている。
まだ1歳にもならない次男は東京に置いてきているし
だいたいがまりちゃんのところはご両親もお姉ちゃんもみんな近くに住んでいて
大家族のようなものだから
いま知らない土地で子供とふたり暮らしているのはさぞ寂しかろうし
たいへんだと思うけれど(牛深のみなさん、声かけたってください)
それでも、地域の活性化なんて話をきくと
本気ではまって頑張ってしまうところが西尾まりなのだ。
疲れた日もあるだろうに、天草と映画のPRのために
せっせと写真とメールを毎日送ってくるのだ、まりちゃんは。

期せずして今回のTokyo Copywriters’ Street は
ジョギングをはじめた女性が我が家の灯りを目指して走るというような話で
なんだかいまのまりちゃんの状況に妙に合っているところが何ともいえない。

ところで、上の写真は1月21日の収録日の後片付けの様子で
この後、飲みに行きましたです、はい。
牛深にまりちゃんが出発する1週間くらい前でした。
そのときに収録した「夜の道を」は
2月19日の日曜日、夜中に近い時間に掲載いたします(なかやま)

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岩崎俊一さんと亜矢さん(収録記2012.1.21−3)

この話は書いてしまうと色褪せてしまうような気がするのだが
それはたぶん私のせいだ。
血肉の部分を書くのが下手なのだろうと思う。
それでも書きたいような、書くのが惜しいような
曖昧な気持ちで書き始めている。

岩崎俊一さんと岩崎亜矢さんに原稿をお願いしたのは
師弟、家族、同僚などの縁ある組み合わせを試みてみたいと
余計なことを考えていたときだった。
父娘という関係で現役コピーライターといえば
私は岩崎俊一さんと亜矢さんしか存じ上げなかったので
さっそくにお話を持ちかけたところ、こころよく引き受けてくださった。
おふたりが家族であることを少し考えて
それらしいというか、ふさわしいテーマを決められる時期まで待って
満を持してお願いしたのだった。

そのテーマは「灯り」だった。今月分がそうだ。
おふたりの原稿を受け取ってびっくりした。
申し合わせたように主人公が同じ年頃の少年で
しかも家出がモチーフになっていた。

おふたりで相談なさったのかしら…

そのあたりのことは知ってしまうとつまらないような気がして
しばらくそっとしておいた。
やがて亜矢さんとキャスティングについてメールでやりとりするうちに
おふたりはまったく相談もしておらず
お互いに相手が何を書いたかまだ知らないということが判明した。

「灯り」という言葉に導かれるイメージを語ろうとするとき
おふたりとも「少年」が「家を出る」ストーリーになっていたのだ。
亜矢さんの少年は子供らしく外に向かおうとし
岩崎さんの少年は内に沈む。

亜矢さんのストーリーはすっきりと染め上げられた1枚の布で
岩崎さんのはさまざまな色の糸を使った織物だった。

岩崎さんの原稿を拝見したとき
子供のころに夕焼けの土手で鉄橋を渡る列車の音が聞こえたことや
世田谷の駅からあまりに遠い家に引っ越したとき
思いがけず始発電車の音が聞こえたこと、
列車のみならず本当にさまざまなことを思い出して
私も主人公の少年と一緒にしばらく沈んでしまった。

それと同時に….と書いて、いま気づいたのだが
この2本の原稿は今週末の2月11日と12日に連続でアップする予定なので
あまり書き募るといわゆるネタバレになってしまう。

ただ私は、岩崎俊一さんと亜矢さんが
灯りを描くために「少年」と「家出」のモチーフを選んだことに
血のつながりというよりは同じ家で長いこと一緒に暮らした重みを感じる。
仲の良い家族もいがみ合う家族も
餃子を食べるときに皿に醤油から入れるかお酢からかというような部分は
同じになのだろうと思うのだが
どんな家族にも同じものを食べ同じ夜を眠った蓄積があって
醤油かお酢かという些細な部分が実はとても重いのではないか、
腕に止まった蚊を追い払うのか叩くのか
人がわざわざ意識しない無邪気な行為が実はいちばん重いのではないかと
そんなことを考えながら
亜矢さんのことを少しうらやましがったりしている(なかやま)

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瀬川亮くんは次男らしい(収録記2012.1.21−2)

水下きよしさんが読んでいる最中になんとなく気配がしたので
終わるやいなやドアを開けたら瀬川亮くんがいた。
録音の最中にドアを開けるとノイズでNGになるので
待っていてくれたのだ。
この気づかいの「待機」方式を最初にはじめたのは大川泰樹くんだが
いまではほぼ全員が待機してくれるようになっている。
ドアチャイムもあるが、いまでは誰も鳴らさない。

さて、瀬川くんが読んだのは岩崎亜矢さんの原稿だ。
主人公は小学生の男の子。
実は岩崎俊一さんの原稿も同じ年頃の男の子が主人公だったので
私は父娘が申し合わせて原稿を書いてくださったのかと思っていた。
そうではないと知ったのは収録後のことだった。
申し合わせて書いてくださったと思ったときも驚いたが
そうでないことを知ったときはもっとびっくりした。
どうしてこんなことが起こるのだろう…

岩崎亜矢さんの原稿は若々しくて谷を流れる水のように
かろやかで新鮮だった。
岩崎俊一さんの原稿は熟成した酒のように重厚で情感が溢れていた。

瀬川くんは亜矢さんの原稿をとても静かに読んで
「僕は次男坊なんでこういうのわかるんですよ」と
ぼそっと言った(なかやま)

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