Author Archives: nakayama

酒の肴メニュー


つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。

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「東北へ行こう」について

「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。

CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。

最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku

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東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
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東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
東北へ行こう2014:http://www.01-radio.com/tcs/archives/25897
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東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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中村直史 2024年6月23日「44歳主婦ダンボール育ち」

「44歳主婦ダンボール育ち」

    ストーリー 中村直史
       出演 山田キヌヲ

44歳、主婦です。ふたりの子どもがいます。
犬が1匹。あと夫が一人。夫は一人か(笑)。
自分のことを話すのはあまり得意じゃないので、
ちゃんと話せますかね・・・。
あと家族からもいつも説明がわけわからないと言われるので
わけわからなかったらごめんなさい。
そうですね、、、「なぜ雨が好きか」ですよね?

雨が好きの前にまずダンボールが好きという話をしてもいいですか?
私の親は私が小さいころに離婚というか
お父さんが家を出たっきり帰ってこなくて、
もともと貧乏だったから、お母さんが昼も夜も働いて
私とお姉ちゃんのふたりを育てたんです。
小さいお好み焼き屋さんをやってて。
お昼前11時から、深夜、というか
朝の4時くらいまでやってるようなお店でした。
お母さん一人で切り盛りしてました。
記憶にあるのは私がたぶん2歳か3歳で、
お好み焼き屋の厨房の床にダンボールに入って座ってました。

お店と家はつながってて、
厨房の仕切りを開けたら狭い私たちの家の居間で、
そこにいることもあったんですが、
少しでもお母さんの近くにいたかったんでしょうね、
いつも厨房にいたんです。ダンボールの箱に入って。
ダンボールに入っていると安心して、厨房がガチャガチャしてても、
酔っ払いのお客さんがワイワイしてても安心して眠れました。
箱の中に小さくなって寝てたんです。
おねしょのクセが治らなくて
小3くらいまではダンボールの中でおねしょしてた覚えがあります。
お好み焼きに使う「天かす」わかりますか?
天かすを入れたダンボールがいちばん大きくて、その中に入ってたんです。

もうちょっと大きくなってからは、
さすがにダンボールの中に眠るのはやめたんですけど、
よく押し入れで寝てました。
中学生くらいまでは押し入れで寝たんじゃないですかね。
ずっとお母さんが働いていて、
歳の離れたお姉ちゃんもお母さんのお手伝いをしてることが多くて、
だからさみしいというか、
でもダンボールの中と押し入れの中はなんかさみしくなかったんです。
守られている感じがして。なんだろう?あの狭い感じですかね。
そこにいるとお母さんやお姉ちゃんに守られてる感じがしてました。

大人になって田舎を離れて都会に住み始めてからは
アパートとかマンションに住むようになるじゃないですか。
古いアパートの3階に住んだことがあって、
それは建物のいちばん上の階だったんですけど、
そこが落ち着いたんですよ。とくに雨の夜が好きだったんですよね。
古いアパートだったから
屋根にあたる雨音がうるさいくらい部屋の中で聞こえて、
でも、当たり前ですけど部屋の中には雨は落ちてこなくて、
こんなに音がするのに
自分は濡れずに布団に入っている感じがすごく安心して、
なぜか小さい時のダンボールを思い出して、
それから雨の夜はお母さんやお姉ちゃんといっしょにいる気がして、
だから雨の日はうれしかったです。

結婚して、だんなさんが家を建てたいって言いだしたとき、
私はとくに家にあこがれもなくてこだわりも全くなかったんですけど、
家は大事だから要望をちゃんと言っておいた方がいいよって言われて、
私は工務店の人に「できるだけ安っぽい屋根にしてください」って
お願いをしました。
要望を言ったのはその一個だけです。
きょとんとしてましたね、工務店の人もだんなも、みんな。
雨の音が聞きたいっていうのが理由だとわかってからも、
みんな不思議そうでしたけど、
最終的には、じゃあ瓦の屋根じゃなくてガルバリウムの屋根がいいねって
だれかがいってくれて。
あと家の中の天井板もなくして吹き抜けの空間にしました。
屋根からの音が響くんです、そうすると。
デザイン的にもなんか今っぽいおしゃれな感じになるかも、
ということで工務店の人も夫も前向きに聞き入れてくれたようです。
要望を一個しか言わなかったのでさすがに聞かないわけには、って
思ったんだと思います。
結果すごく雨の音が聞こえる家になりました。
ちょっと響きすぎかなっても思うんですが、でもうれしかったです。
いまも雨の夜はわくわくしますね。

人生の目標とか夢とかもったことがなくて、
子どもたちもいい学校にいってほしいとか、
えらくなってほしいとか一度も思ったことなくて、
そんな感じだから子どもたちが勉強しないんだって
だんなさんに言われたこともあったんですけど、
そう思えないことはそう思えないので、ずっとそのままでした。
子どもたちは成功とかよりも、
ただただ安心して生きていってほしいです。
いろいろあっても雨の音を聞いたら安心するよって
私から言えることはそれだけです。
心配しないでって言いたいです。

長生きはしたいですね。
おばあちゃんになっていろいろやることがなくなったら、
ていうか今もそんなにやることないんですけど、、、
でももっとやることがなくなったら、
ふとんにくるまって漫画の本をたくさん横に置いて、
屋根にあたる雨の音を聞きながら過ごしたいです。
そうなるのが待ち遠しいです。
夢はないっていいましたけどそれが夢ですかね。

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出演者情報:山田キヌヲ  連絡先:ノックアウト https://www.knockoutinc.net/

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