春になったらタケノコを炊く 2(いよいよ炊き始める)

タケノコの茹でかたはこちら。
http://www.01-radio.com/tcs/archives/24535

というわけで、ともかく3時間か4時間茹でて
その後おなじくらい時間をかけて蒸らしたタケノコが
ここにあるとする。
(蒸らす時間、つまり茹で汁が冷める時間は茹でたお湯の量で違う)

すでに茹で汁(単なる色のついた水だ)は冷え、
タケノコはそのなかでぷかぷか浮いている。
それを取り出して、茹でる前に包丁を入れた縦の切れ目に手を突っ込んで
イッキに皮をむく。
先端の部分は絹皮で構築されているが、この絹皮もうまいので
全部むかずに食べられそうなところは残しておく。
先端部の先に黄色の濃い部分があったら、そこだけ切り落とす。

そして、根元の固い部分はタケノコご飯用に取っておく。
真ん中は厚みが2センチくらいの輪切りにして、
大きかったらそれを半分にして半月形にする。
先端部は楯に切る。まず縦半分。大きければさらに半分。
巨大なタケノコなら真ん中のとこは半月のさらに半分、
穂先のところは半分を三つに切るくらいになると思うけれど
逆に小さくて細いタケノコなら厚み3センチくらいで円のままにするし、
穂先も縦半分に切るくらいでちょうどいい。
あんまり小さく切るとちっとも面白くないし、キレイでもない。

さて、くれぐれも大きめに切ったらいよいよ炊きにかかる。
まずたっぷりの出汁。
私は前の晩から煮干しと昆布を水に浸けておくが
カツオブシが好きな人は昆布とカツオブシで出汁を引いて
それで炊けばいい。
タケノコの頭の上まで出汁を入れて、さらにどぼっと酒も入れる。
火にかけて沸騰したらごくごく小さく火を弱めて
出汁が減ったら惜しまず足しながら炊く。
とにかく出汁はたっぷり。
タケノコが出汁から顔を出さないように1時間近くも炊いたら塩を入れる。
塩は粗塩だ。舐めておいしい塩を使えば間違いはない。
あなたの味覚が確かならばの話だよ。
自信がなければ岩塩を使う。
昔、ソウルで何キロも買ってきた岩塩を保有していたときは
大切に大切にここぞというときに使っていたが、
その「ここぞ」のひとつがタケノコを炊くときだった。
塩の加減は飲んでおいしいよりちょっと薄め。
それからオマジナイ程度の薄口醤油を入れる。
なるたけ色をつけたくないわけだし、
タケノコはタケノコ色がいいし、タケノコ味がいい。
出汁に味をつけたら20分か30分弱い火で、炊くというよりはあたためて、
火を止めてしばらく放っておく(味がしみる)

火を止めたのが夜ならひと晚置いておくし
朝から炊きはじめたのなら、火を止めて夕方まで置いて
晩ご飯の前にクツクツとゆっくりあたため直して、やっと食べる。
最初から最後までタケノコはたっぷりの出汁に浸かっていたい。
グラグラ煮立ててもいけない。
タケノコを風呂に入れていると思うくらいでちょうどいい。
はじめに茹で倒して、その上で注意深くじわじわと炊いてやると
関東のタケノコでもえぐみが抜けておいしくなる。
こうして炊いたタケノコはたとえ関東ものでもうまい。

酒の肴トップへ:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/food


ページトップへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA