2023年01月07日
佐藤理人
「ウォーリス・バッジ」 いちばん欲しかったもの
エジプトから4万点の文化遺産を盗んだ、
大英博物館の考古学者ウォーリス・バッジ。
その目的は文化財の保護。
中でも彼がいちばん欲しかったもの、
それは美術品としても名高い死者の書「アニのパピルス」だ。
1887年、バッジは二度目のエジプト行きで、
自ら盗掘に手を染めて、ついに目当ての品を手に入れた。
すでに当局に目をつけられていた彼は、
逮捕寸前まで追い込まれる。しかし彼は警官を賄賂で買収し、
職人たちに地下トンネルを掘らせて、再び逃げ果せた。
エジプトの文化遺産は大英帝国で保護してこそ価値がある。
バッジはもはや考古学者ではなく、一人のエゴイストだった。