2022年04月02日

執筆者田中真輝

Dominic Alves

映画とリアル

わたしたちは、ある映画を「リアルだった」
「リアルではなかった」と評することがある。
しかし、映画における「リアル」とは、
一体何なのだろう。

わたしたちが「リアルだ」と感じるとき、それは
登場人物の感情や行動が
「人間らしい」と思えるときではないだろうか。

親が子を思うあまり、不条理な行動を取る。
愛する人を失った悲しみによって、
主人公は人生を投げ捨てる…

思いもよらない展開でも
その背後に「人間らしさ」を感じ取れば
わたしたちはそれを「リアルだ」と感じて、共感する。

忙しい毎日の中で、ささやかな人間らしさは
見落とされがちになる。
社会や国や政治といった大きな仕組みは
ひとりひとりの人間らしさを見えにくくする。

しかし、どんな世界も、どんな時代も、
ひとりひとりの人間からできている。

だからこそ、わたしたちは映画の中に
「人間らしさ」を確かめにいくのではないだろうか。


2022年04月02日

執筆者澁江俊一

映画と戦争

およそ2時間で人間を描く発明。
それが映画だ。

戦争を題材にした名作は多いが
その恐怖を徹底してリアルに描き、
世界に衝撃を与えたのは
「プライベート・ライアン」の
冒頭20分に及ぶ上陸シーン。

大量の死が日常と化した戦場に
意味を見いだせない中、
一人の若者を救うという使命に
兵士たちは唯一の意義を求めてゆく。

人の命とはなにか。
その答えはもしかしたら
戦場にあるのかもしれない。

戦争映画を今こそ見直してみよう。
怖いから見ない、ではなく
怖いからこそ、見ておくのだ。

2022年04月02日

執筆者田中真輝

違法動画

「ファスト映画」という言葉をご存じだろうか。
公開された映画を10分程度のダイジェストにして
動画投稿サイトにアップロードされたものを言う。

当然ながら、それは制作者の権利を侵害している。

こうした違法動画が増える背景には、
「お金と時間をかけて見た映画で外したくない」
「効率的に、いいものを知りたい」という
消費者心理もあるという。

確かに
期待はずれの映画にがっかりすることもあるだろう。
しかし、それもまた貴重な経験である。

例えば、友人から映画の話を聞くとして、
あなたが聞きたいのは
どこかで仕入れた、その映画のあらすじか、
その映画に心底がっかりさせられた、その理由か、
さて、どっちだろうか。


2022年04月02日

執筆者澁江俊一

映画と国境

およそ2時間で人間を描く発明。
それが映画だ。

映画は世界共通の
コミュニケーションツールだ。
行ったことのない国について知りたいなら
その国の映画を見るといい。

文化の違い、宗教の違い、習慣の違い、
衣食住や価値観にも
違いが見えてくるはずだ。
そして違いの先に共通点も見えるだろう。
悲しさや、うれしさ、やさしさ、苦しさ、
そういうものに国境がないことも
映画はまた、教えてくれる。    


2022年04月02日

執筆者田中真輝

映画の自由

映画は
監督がカメラを向け、トリミングした世界で
できている。
         
言い換えるなら、映画を見る人はすべて、
監督と同じ眼で世界を見ているのだ。
そこには見たいものや見たいアングルを選ぶ自由は
存在しない。

にもかかわらず、
一緒に見に行った友人が、
自分とは全く違うものを見て、
全く違う感想を抱く、ということも
よくあることだ。

観客は、監督の眼を通した世界でも
自分だけのイメージを自由に広げることができる。
それは、優れた映画を構成する要素の一つかもしれない。


2022年04月02日

執筆者田中真輝

映画と夢

『僕の悩みの種は、
イマジネーションが止まらないこと。
朝起きても気持ちがたかぶって朝食が食べられない。
エネルギーが尽きてしまうこともない』

映画監督、スティーヴン・スピルバーグの創造の種は尽きない。

ウクライナ系ユダヤ人としてオハイオ州シンシナティに生まれたスピルバーグ。

12歳の時に8ミリカメラで撮影したホームムービーが映画監督としての原点だった。

世界歴代興行収入1位を記録した『ジョーズ』。

1981年にはインディ・ジョーンズシリーズ『レイダース/失われたアーク』がヒット。

翌年公開の『E.T.』では2度目の世界歴代興行収入1位を記録。

更に1993年公開の『ジュラシック・パーク』で3度目の世界歴代興行収入1位を獲得した。

少年時代の夢を追い続けたスピルバーグ。

1994年に映画製作会社、
『ドリームワークス』を設立したスピルバーグは、
夢についてこんな言葉を残している。

『僕は夜に夢を見るんじゃない。
一日中、夢を見てるんだ。
生きる糧として、夢を見ている』


2022年04月02日

執筆者澁江俊一

映画と映画館

映画はできれば映画館で見るべきだ。
そんな事を口にしたら、
スマホやタブレットでしか
映画を見ない人たちに
「古くさい」と笑われるだろうか?

映画館で見る映画のいいところ。
それは他の観客の反応だ。
感動的なシーンで眠る人もいれば、
おもしろくないのに笑う人もいて
人それぞれだなあと思う。

映画を見ながら
映画を楽しむ人を楽しむ。
自分の感覚は人と違っていい、と思える。
それが映画館のいいところなのだ。


2022年04月01日

執筆者澁江俊一

映画と独裁者

およそ2時間で人間を描く発明。
それが映画だ。

事実を題材にする映画の中でも
実在の独裁者ヒトラーを描く作品は多い。
「チャップリンの独裁者」
「ヒトラー 最期の12日間」
「帰ってきたヒトラー」
「ジョジョ・ラビット」

なぜ、繰り返し
人はヒトラーを映画で描くのか。
それはきっと、忘れないためだ。
いつの時代でも、独裁者は生まれる。
それをもてはやす人々がいる限り。
それを、ずっと忘れないためだ。