Team MOMENT

2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by Rafael Salvador

〜梅干しの日〜 ブラジルの花梅

ブラジルには、「花梅」と呼ばれる漬物がある。
赤紫色で酸っぱい。まさに梅干しの味。
でも、梅は一切使われていない。

花梅の原料は「ローゼル」というハイビスカスの一種。
花が散り、膨らんだ”がく”には
クエン酸をはじめとした植物酸が含まれる。
その”がく”を塩で漬け込むと、
紫蘇漬けにした梅のような、深紅の酸っぱい漬物が出来上がる。
この花梅は、日本人移民がはるかブラジルの地で、
梅干しの味を再現するために生み出したものだ。

1908年6月18日。最初の移民船「笠戸丸」がサントス港に到着。
それから約25万人もの日本人が移住した。
日本とは大きく異なる気候、そしてマラリヤ。
そこでの生活は過酷を極めたという。

帰る手段もない土地で、「味」に故郷を求めたのだろうか。

海の向こう、日本では春になれば梅の花が香り
梅雨どきには梅の実をもいで塩漬けにする。
お盆のころには庭先で土用干しだ。
日に当てることで鮮やかな色になり
風味も格段によくなった梅干しは
やがて家族の団欒に並ぶ。

梅干しは日本の風景と共に
記憶に刻まれた、郷愁の味。

このローゼルで作った梅干の味も、
ブラジルの日系人の郷愁を
呼び覚ますものになっているのだろう。

今日は梅干しの日。

〜梅干しを食べてみませんか〜

執筆 波多野三代

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