Team MOMENT

2022年11月26日

執筆者波多野三代

〜いい風呂の日〜 季節湯

野や山、或いは庭や畑にある季節のものを
お湯に浮かべ
湯気とともに立ち昇る香りに包まれる。
日本には湯に溶け出した四季を肌で楽しむ文化がある。

その風習を「季節湯」と呼ぶ。
1月は松の葉。2月は大根の葉。
3月はヨモギ、4月は桜の樹皮。
5月の節句は菖蒲、6月はどくだみ、
7月には桃の葉を浮かべ、8月の暑い盛りには薄荷・・といった具合。

炎症を抑える、殺菌する。
植物の性質を利用し、それぞれにはきちんと薬効がある。
その歴史は古く、弘法大師がはじめ、
人々の病を癒した、とも伝えられる。

江戸時代になると、銭湯文化が活発になり
お風呂屋さんは競ってその効能をアピールした。
その頃の銭湯は混浴。
風紀の乱れを危惧した幕府が混浴禁止令を出すと
人々は「これはただの風呂ではなく薬湯風呂だ」と対抗した。

そうして1200年以上愛されてきた季節湯は、
習慣として今に残る。

ちなみに11月の季節湯は、「みかん湯」
柑橘類の皮に含まれる精油成分により
体が温まり、湯冷めしにくくなる。
古くから「みかん湯に入れば風邪をひきにくくなる」と言われるゆえんだ。

11月26日の今日は「いい風呂の日」。
秋の陽に干したみかんの皮を湯船にうかべて、
1200年以上の長きにわたり、
今年も巡ってきた季節に想いを馳せる。
そんな夜長もいいかもしれない。

〜いい風呂の日〜

執筆 波多野三代

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