Team MOMENT

2023年10月07日

執筆者佐藤理人

ミステリー記念日 「 岩井三郎」

名探偵・明智小五郎には、実在のモデルがいた。
日本初の探偵、岩井三郎。

警視庁の捜査官だった岩井は、
日清戦争ではスパイの摘発で活躍したのち、
警察の捜査に限界を感じて退職。
1895年、日本最古の探偵事務所を開業した。

彼の名を一躍有名にしたのが「シーメンス事件」。

旧日本帝国海軍とドイツの兵器会社シーメンスの間には、
入札をめぐって贈賄の噂が絶えなかった。
しかし警視庁は軍からの圧力で捜査を進められず、
私立探偵である岩井に捜査を依頼した。

岩井は圧力に屈することなく、捜査官時代の情報網を駆使し、
戦艦の発注をめぐる贈賄事件の全貌を暴いた。

海軍や商社のトップぐるみの汚職の衝撃は、
社会を大きく揺るがし、当時の内閣を総辞職にまで追い込んだ。
この事件の裁判中に第一次世界大戦が勃発、
日本はドイツではなくイギリスなど連合国側での参戦を決意する。

岩井の活躍のおかげで、探偵が警察の代わりに難事件を解決する、
推理小説やアニメ、漫画が誕生した。

その代表格・明智小五郎の生みの親、江戸川乱歩は、
岩井の下で2年間、実際に探偵として働いていた。

今日は「ミステリー記念日」。

執筆 佐藤理人

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