2023年05月14日

執筆者仲澤南

Photo by Dick Thomas Johnson

日本一高いビル 「東京都庁第一本庁舎」

1990年、当時日本一高いビルとして竣工した
東京都庁第一本庁舎。

その設計は、コンペを経て選ばれた。

超高層の設計案が集まる中、
100m以下の設計を提出したのが
建築家・磯崎新だ。
横に広がる設計には、
行政が横につながる期待が
込められていたという。

磯崎の案は実現こそしなかったが、
超高層化へのアンチテーゼとして
幻の都庁とも呼ばれている。

2023年05月14日

執筆者仲澤南

Photo by Kentaro Toma on Unsplash

日本一高いビル 「横浜ランドマークタワー」

1993年、当時日本一高いビルとして竣工した
横浜ランドマークタワー。

日本一の高さを譲った後も、
このビルにはある日本一が残っている。
エレベーターの速さだ。

最高時速45kmの速さで、
2階から69階までたった40秒ほどで上ってしまう。
これは一般的なエレベーターの、
10倍近くの速さだという。

横浜ランドマークタワーを訪れたときには、
その高さだけでなく速さも味わっておきたい。

2023年05月14日

執筆者仲澤南

Photo by Chie Gondo

日本一高いビル 「あべのハルカス」

2014年、当時日本一高いビルとして竣工した
あべのハルカス。

ここでは毎年1月に、
成人式が行われている。
しかしこの成人式、参加するまでが大変だ。

会場は地上300m近くの60階。
参加者は、地下1階からなんと歩いて
向かわなければならない。

成人の抱負を書いた襷を胸に、
振袖やスーツ姿の新成人たちは階段を登る。
その数、1637段。
大人の階段は、思った以上に長く険しい。

2023年05月14日

執筆者仲澤南

日本一高いビル 「トーチタワー」

2027年、日本一高いビルとして竣工予定の
トーチタワー。

その名前には、
東京を、日本を照らす松明となってほしい、
という思いが込められている。

人々の期待を背負って建てられる、
超高層建築たち。
今日も、これからも、
街のシンボルとして人々を見守ってくれる。

2023年05月13日

執筆者川野康之

屋上はパラダイス 「日本最初の屋上ビアガーデン」

日本で最初の屋上ビアガーデンが誕生したのは
1953年5月のことである。

大阪・梅田のとあるビルの地下に超人気のビアホールがあった。
ここで新型バイクの展示会を開きたいという申し出があった時、
店長はいったんは断った。
しかし「ビルの屋上は空いている」と思い直し、
ビル所有者にかけ合って1週間だけ借りる許可を得た。
ビルの屋上にイスやテーブルが運び込まれた。
こうしてできたのが屋上ビアガーデンの第1号である。

これには別の説もある。
ビアホールでの大宴会が他の客の迷惑になるからと
屋上で開催したのが始まりであると。
いずれにしても広々とした屋上で飲んだビールは
うまかったに違いない。

2023年05月13日

執筆者川野康之

屋上はパラダイス 「日本最初の屋上遊園地」

日本初の常設屋上遊園地は、1931年11月、
東武浅草駅の駅ビルに開店した松屋浅草店に設けられた。

動物園、自動木馬、8人乗りロープウェイの「航空艇」まである
本格的な遊園地だった。
銀色に輝く流線形ボディの航空艇は、
隅田川が見渡せるとあって名物になったという。

連日大盛況だったが、傍観する者がほとんどで、
実際に遊ぶ者は少なかった。
そこで設備を見直し、豆汽車、豆自動車、
コーヒーカップ、人力で押す象の乗り物など
親子で遊べる遊具に替えたところ、大当たりしたそうだ。

2023年05月13日

執筆者川野康之

屋上はパラダイス 「新聞社の鳩」

1960年代まで東京の各新聞社では、
100羽以上の鳩を屋上で飼っていた。
取材現場から原稿を送る時は、鳩を数羽連れて行った。
記者は通信用の薄い紙に記事を書くと、
小さな筒に入れて鳩の足につけて放った。
鳩たちは記事やフィルムを何百kmも運んだそうだ。

鳩が新聞社に戻ってくると、
屋上で待っていた鳩係が原稿と写真を受取り、
担当に渡したという。

2023年05月13日

執筆者川野康之

屋上はパラダイス 「屋上バレーボール」

屋上バレーボールと言えば、
昭和の昼休みの風物詩と言われている。
ホントにあったのかどうかは、諸説ある。
昭和37年のクレージーキャッツの映画『ニッポン無責任時代』を見ると
OLたちが屋上で輪になってバレーボールをしているシーンが出てくる。
驚くのは、屋上から見える東京の空の広いこと。
まだ高層ビルなんてなかった時代だ。
のどかにボールを追いかけるOLたちを見ていると
おおらかな昭和の頃の空気が感じられる。

2023年05月13日

執筆者川野康之

屋上はパラダイス 「屋上で叫ぶ」

中学生が一人屋上に立ち、全校生徒に向かって思いのたけを叫ぶ。
1997年に始まったテレビ番組の中に
「未成年の主張」というコーナーがあった。
人気があったのは愛の告白。
好きな子の名前を呼び
「大好きでーす!」
と叫ぶ。
「ごめんなさーい!」
と反ってくることもある。
中には人に言えない悩みを打ち明ける人もいた。
「聞いて欲しいことがありまーす」
と叫ぶと
「なーにー?」
と反ってくる。
時には笑い、時には泣き、
屋上と校庭で本音と共感が行き来した。
SNS全盛時代の今、
中学生たちは叫んでいるだろうか。

2023年05月13日

執筆者川野康之

Photo by tokyoform

屋上はパラダイス 「コペル君の発見」

コペル君は叔父さんと二人で銀座のデパートの屋上に立っていた。
霧雨の中、7階建てのデパートから見下ろす東京の街は暗く、
冬の海のようだった。

吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』はこんなシーンから始まる。
コペル君は、この街の無数の屋根の下には、
無数の人々が生きていることに気づく。
人間は世の中という広い海を漂う水の分子のようだと思った。
自分も一分子なんだ!
コペル君の発見を話すと、
「そのことはようく覚えておきたまえ。たいへんだいじなことなんだよ」
と叔父さんが言った。