東北に行こう

tohoku

にゃんごろ

「にゃんごろ」

             ストーリー 荒木唯(東北芸術工科大学)
                出演 大川泰樹

宮城県には、生きた神さまの住む島がある。
神さまは「にゃんごろ」と鳴く。

島へは一日3本の船便がある。
島の名は、田代島という。

神様の存在で、世界中に知られることとなったこの島は、
通称ìねこの島îと呼ばれ、島の外から多くの参拝客が集まっている。
島民の数およそ100人、猫の数はその数倍。
つまり、人よりも神さまが多いありがたい島なのだ。

古来より漁業を生活の糧としてきたこの島の漁師たちは、
猫の仕草でお天気を見極め、漁不漁を予測してきたが
そんなある日、
崩れた岩の下敷きになって死んだ猫を手厚く葬ったところ
その日から大漁が続き、海難事故もなくなったという。

以来、島では猫が神さまだ。
にゃんごろにゃんごろ、昼寝をしているように見えても
神さまはちゃんと島を守っておいでになる。

その証拠に、震災で港も船も流されたけれど
被害総額と同じだけの寄付が全国から集まった。
神さまたちの安否をたずねる声もたくさん届いた。

にゃんごろ、にゃんごろ。
津波のとき、神さまたちはこぞって山へ逃げていた。
海の近くにいた神さまは帰って来ないけど
きっと津波に乗って空にのぼり、島を見守っている。

にゃんごろの神さまは今日も元気です。

東北へ行こう

田代島にゃんこ・ザ・プロジェクトhttp://nyanpro.com/

ひょっこりひょうたん田代島http://www.npo-tashirojima.jp/

石巻市田代島Twitterhttp://twitter.com/nekogamisama311


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一本の線

一本の線

              ストーリー 渡部芳章(東北芸術工科大学)
                 出演 地曵豪

地図をひらくと、山形県と新潟県にはさまれた
一本の線のような福島県を見つけることができます。

その線は飯豊山の頂へと至る
幅がわずか91センチメートルほどの登山道です。

でも、なぜ?
誰がこんなふうに決めたのだろう。

飯豊山は神の山として、麓の人々に崇められてきました。
山そのものがご神体で、
みんながお参りする飯豊山神社には
山頂に奥宮が、麓には麓宮が置かれています。

ところが、明治のころ、廃藩置県によって飯豊山に境界線が敷かれ
麓の麓宮は福島県に、
山頂の奥宮は新潟県に分けられることになりました。
麓の村の人々は猛反対をしました。
「飯豊山神社は、麓と山頂、ふたつでひとつの神社である」と
訴えたのです。
その訴えは認められました。
奥宮のある頂上とそこに至る登山道、
地図で見ると一本の線のような福島県には
いまもたくさんの登山者がやってきます。

東北を知ろう。東北へ行こう。

飯豊とそばの里山都http://www.town.yamato.fukushima.jp/

福島の旅http://www.tif.ne.jp/

福島県山都町http://www.naf.co.jp/yamato/muni/welcome.stm

日本百名山飯豊山
http://17.pro.tok2.com/~vems/100/019%20iidesan/iidesan.html


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陸前高田・祖父の寄付

「陸前高田・祖父の寄付」篇

         ストーリー;山中貴裕
            出演:地曵豪

祖父が「寄付をする」と言い出した。
出張のおおい仕事をしていたが、
土産など一度も買って帰ったことがなかった、
いたって倹約家の祖父がである。

「もったいない」が口癖で、
魚は骨までバリバリ食べる。
そんな祖父が、寄付?
家族みんなが驚いた。

寄付先は、桜ライン311プロジェクト。
岩手県の陸前高田市で、
津波の到達地点に桜の木を植えて、
震災を未来に伝えようという取り組み。
律儀に切り抜かれた新聞記事を前に、
家族は全員、おなじ言葉を飲み込んだ。
「で、いくら寄付するの?」

元来、無口な祖父である。
無口なうえに頑固なので、
いちど決めたことは決して曲げない。
ようやく父が、口を開いた。
「お父さん。寄付は素晴らしいことですが、
なんでまた、縁もゆかりもない東北に?」
しばし虚空をにらんで、祖父はポツリと言った。
「昔、仕事で、一度だけ陸前高田に行ったことがある」

若き日の祖父が、大きな旅行カバンを抱えて、
ちいさな駅に降り立つ姿を、私は思い浮かべた。
のどかな港町の向こう、しずかな春の海が輝いている。

浜風に桜が舞う。
16才で志願兵として戦争へゆき、
18才で戦争が終わり故郷へ帰り、
農機具を売り歩く仕事についた祖父が、
東北のその港町をなぜ訪れ、
いったいどんな思い出をつくったのか。
無口な祖父は、何も語らない。

よし。次の春は、祖父を連れて。

―――東北へ行こう。

陸前高田観光物産協会:http://www.3riku.jp/kanko/

陸前高田未来商店街:http://ameblo.jp/mirai-shotengai/

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東北へ行こう(関東視点)

東北へ行こう(関東視点)

           ストーリー 佐々木脩平
              出演 岡田優

北海道は寒すぎるし

沖縄は暑すぎるし

四国は行き方がわからないし

中国は日本なのか分からないし

中部はどこからどこまでかわからないし

近畿はどこかすらわからないし

そうだ、東北へ行こう


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下駄屋のパン屋さん

下駄屋のパン屋さん

          ストーリー 吉田菜津子(東北芸術工科大学)
             出演 いせゆみこ

山形県の北にある真室川町は
地図を見ると町の9割近くが森林で占められている。

じゃあ、町はどこにあるの?
そんな真室川町に初めてパン屋ができた。

祖母に案内されて行って見ると
看板には、「佐藤はきもの店」
でも、様子がどこかおかしい。
履物屋なんて、今さら流行らないのに、
店の前には県外ナンバーの車が止まっていて、
若い女性も出入りしている。
そして、祖母は私のことなんてお構いなしに、
得意気に店のドアを開けたのだ。

すると、下駄やサンダルと一緒に、美味しそうなパンが並んでいた。
しかも、「セグール」とか、「オット」とか、
田舎ではなかなか買えないお洒落な名前のパンばかりだった。

実は、「佐藤はきもの店」の娘夫婦は、
東京でパンづくりの修業をしてきて、
実家である真室川町の「佐藤はきもの店」の中に、
このパン屋をオープンしたそうだ。
垢ぬけたパンばかりではなく、
真室川町で獲れた山菜やハチミツを使った
オリジナルなパンも焼いていて
県外からのお客さんも呼んでいる。

9割の森と1割の町
そして、その1割の町のなかに
点のように存在する人気のパン屋さん。
下駄とサンダルとパンが並ぶパン屋さん。

これが私の真室川町です。

東北へ行こう

山形県最上郡真室川町http://www.yume-net.org/

真室川ゆめねっとhttp://www.town.mamurogawa.yamagata.jp/

もがみ地域観光http://kanko-mogami.jp/

やまがたへの旅http://yamagatakanko.com/

ぱん処げたや Nethttp://d.hatena.ne.jp/getayanet/


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つや姫

「つや姫」

              ストーリー 大越智明(東北芸術工科大学)
                 出演 村木仁

山形を南北に流れる最上川は
やがて東西に流れを変え、庄内平野に至る。
山のブナ林が育む水は日照りの夏でも涸れず
養分を含んで甘い。

その水で米をつくる。

形は、ふっくら、ちょっと大きめ。
そして粒ぞろい。
炊きあがったときの芳醇な香り。
美しい艶ととびぬけた白さ。
適度な粘りと歯ごたえ。
口いっぱいに広がる旨味。
飽きの来ない、程よい甘さ。
そして冷めても美味しいご飯。

そんな特徴を持ったのがつや姫だ。
「山形のお米美味しいね」
「山形のお米最高だね」
「日本の米どころといえば、山形だ!」
そういってもらえる米「つや姫」を
いま山形県は育てている。

山よし。
水よし。
そして、米よし。
人よし。
それが、私の出身地「山形」だ。

東北へ行こう

つや姫.comhttp://www.tsuyahime.com/

つや姫.jphttp://www.tuyahime.jp/

おいしい山形http://www.yamagata.nmai.org/

山形の郷土料理
http://www.city.yamagata.yamagata.jp/hoken/kyoudoryouri/


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