陸羽東線



陸羽東線

           ストーリー 中山佐知子
              出演 大川泰樹

樹々の梢を下に見て、列車は進みます。
空がとても近くに感じられます。

山形の新庄という駅から乗った陸羽東線は
二両編成のワンマン列車でした。
スノーシェードをいくつもくぐりながら登り道を行くと
山に閉ざされたところどころに
つつましく田圃のひらけた土地があります。
その田圃のなかにホームがあって列車が止まります。

このあたりの田圃は、きっと
山の仕事をする人たちが自分の食べる米をつくるために
一生懸命に開いた田圃です。
売るほどはなくても米が獲れ
ホームしかない駅には、それでも列車がやってきます。
まわりは山と峠に囲まれ、うるさい音がひとつもありません。
川に鮎の鱗が光るころには蛍も飛ぶのでしょう。
樹々が色づくころには、
冬に備える山の恵みがあるはずです。

それはとても静かで満ち足りた風景でした。

そんな小さな集落をいくつも結びながら
列車は奥羽山脈を分け入っていきます。

それは単なる移動手段ではありません。
人のいる土地を避けてトンネルばかりくぐりながら
フルスピードで走り抜ける列車とはまったく異なる存在です。
陸羽東線は、そこに住む人のゆるやかなテンポと
呼吸(いき)を合わせて走るのです。
ふるさとの暮らしと深く結びついているのです。

もう一度乗りたいな
僕はいつもそう思って、あの列車を振り返っています。

東北へ行こう


トレたび:http://www.toretabi.jp/travel/vol01/01.html

鳴子温泉郷観光協会:http://www.naruko.gr.jp/index.php

山形最上温泉郷・瀨見温泉:http://semi-spa.com/html/map.html


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「東北へ行こう」について

「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。

CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。
下のページからどうぞ。

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岩手の緑について



岩手の緑について

           ストーリー 岡村雅子
              出演 大川泰樹

私は、ロバート・バーンズ。
スコットランドの国民的詩人だが
天国の休暇を利用してふるさとスコットランドに帰るつもりが
なぜか岩手に到着してしまった。

それにしても岩手のこのあたり
つまり盛岡から宮古へ抜ける国道106号線の風景は
どうしてこんなにスコットランドに似ているのだろうか。
ここは私のふるさと同様、緑にあふれている。

いや、いやしくも私は詩人なのだから
緑というひと言で片付けるのは怠慢というものだろう。
岩手の山々は世界中の緑という色彩をすべて集めた絵のように
或いはゴブラン織りの刺繍のように
木々の緑が折り重なり、盛り上がっているのだ。

オウムの羽根のようなパロットグリーン、
ワサビの根のようなサーフグリーン。
いやいや、ここは日本なのだから日本語にしよう。
白い茶碗に汲みだした緑茶のようなひわ色。
芽吹いたばかりの草のような萌葱色。
説明無用の柳葉色。苔色、松葉色、青竹色。
若草色に若葉色…
岩手の緑の美しさにはさすがの私のペンも及ばない。

岩手は私の故郷スコットランド同様、冬が長い。
枝をおおった雪が溶ける春から夏が終わるまでが本当に短い。
だからきっと、岩手の山の緑は春の芽吹きの喜びの色なのだ。
短い夏を謳歌するエネルギーの色なのだ。

美しい緑の岩手に
私は天国に戻ったら一編の詩を捧げたい。
それはきっとこんな言葉ではじまる。

東北へ行こう


岩手の旅http://www.iwatetabi.jp/

三陸ネットhttp://www.pref.iwate.jp/~hp060201/

宮古旅手帳http://www.kankou385.jp/



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津波に勝ったクジラ




津波に勝ったクジラ

           ストーリー 岡村雅子
              出演 坂東工

岩手県盛岡から
緑の山の中をクルマで駆け抜けると、
海沿いに山田町が見えてくる。
波もなくひたすら静かな湾を背にすると、
目にとびこんでくるのは、だだっ広い土地と、
家があったはずの四角い区画。

地面に落ちている茶碗の破片を見ると、
ここは人々が普通に食卓を囲んでいたんだと思いだす。
3月11日。津波はみんなの生活を
文字通り跡形もなく流してしまった。

そんななか、ぽつんと残った白い建物がある。
「鯨と海の科学館」だ。
足を踏み入れると巨大な白い物体が見える。
17.6メートル。世界最大級のマッコウクジラの骨の標本が、
天井から5メートルの高さにつるされたまま残っているのだ。

山田町はかつて鯨の町だった。
その標本は、1987年商業捕鯨の最後に捕獲された鯨の骨格を
3年間砂浜に埋めて油を抜き、
地元の子供たちが掘り返して復元したものだ。
十数年前にオカに上がった鯨は、
今回10メートル超えたと言われる津波を見事に泳ぎ切ったのだ。

津波を乗り越えた鯨は山田町の復興のシンボルになり
その強さと生命力でみんなを勇気づけている。


岩手県山田町HPhttp://www.town.yamada.iwate.jp/

岩手県山田町観光協会HPhttp://yamada-kankou.jp/

鯨と海の科学館http://www.town.yamada.iwate.jp/kujirakan/

鯨と海の科学館公式ブログhttp://yamada-kujira.seesaa.net/

山田名物かき小屋再開中http://yamada-kankou.jp/info/2011-10_kakigoya.html






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冬の会津から 2 こづゆ



冬の会津から2  こづゆ

             ストーリー 小室市太郎
                出演 大川泰樹


それは、会津のソウルフードです。

故郷へかえるとき
前もって、田舎の母にリクエストする料理があります。
こづゆ。小さい汁と書いて、「こづゆ
と読みます。

乾物と野菜が中心の汁物で
お正月やお祝い事がある日など
年に一度や二度は、どの家庭の食卓にも登場する
福島県会津地方を代表する郷土料理です。

レシビは、いたってシンプルです。
ホタテの干し貝柱のだし汁に
さといも、きくらげ、、人参、ぎんなん、しらたきを加え
醤油と日本酒で味を整えます。

この料理は、シンプルだけど実においしい。
シンプルだからこそ、家庭ごとの味が出ます。
そして何より、やさしい。

今年の冬も、母のこづゆが、やさしく僕を迎えてくれました。
冷えた体と、疲れた心を温かく包んでくれました。

会津には、心と体にやさしいソウルフードがあります。
この、こづゆ、地元の旅館や居酒屋でも味わうことができます。
お酒のあてとしていただくのも、また格別です。


福島の旅http://www.tif.ne.jp/

会津若松観光ナビhttp://www.aizukanko.com/

こづゆhttp://www.nasufood.com/cooking/chapter36/a.html


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