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小野田隆雄 2007年7月13日



追憶

                  
ストーリー 小野田隆雄
出演    久世星佳

ヨウシュヤマゴボウは、
いつも、ひとり。
群れたり、仲間を集めたりしない。
いつも、ひともと、高くのびて
大きな葉を茂らせて、枝を広げ、
小さな白い花をいっぱいつける。
花が散ると、黒に近い紫色の実を
山ブドウのように実らせる。
昔、少女たちは、この紫色の実を、
色水遊びの材料にした。

ヨウシュヤマゴボウの白い花が、 
サラサラと散り始めると、
夏が盛りになってくる。
そう、その頃になると
江の島電鉄の小さな車両は
潮の香りに満ちてくる。

白い麻のスーツに
コンビの靴をはき、
大きな水瓜をぶらさげて
三浦半島の油壺のおじさんが
鎌倉の雪ノ下の私たちの家に、
やってくるのは、そういう季節だった。
「やあ、みゆきちゃん、
水玉のワンピースが素敵だねえ」
みゆきというのは、私の名前である。
両親が四十歳を過ぎて、やっと生まれた、
ひとりっこである。
あの頃は、小学生だった。
おじさんは、父のいちばん上の兄で
銀行の重役さんだったけれど、
定年退職すると
三浦半島に引っ込んで、
お百姓さんになった。
おじさんは、ひとりだった。
いつも、おしゃれだった。

「あれは、NHKがテレビ放送を
始めた年だったねえ。
兄さんが、定年になったのは」

いつだったか、母が言っていた。

「兄さんは、女性のお友だちが多くてね。
それで忙しくて、とうとう結婚するひまが
無かったんだって。
なぜ、お百姓さんになったんですか、
ってね、私、聞いたことがあるの。
そしたらね、そりゃあ、あなた、
野菜はかわいい。文句をいいませんから。
だって」

私は、おぼろにおぼえている。
せみしぐれが降ってくる、
昼さがりの縁側の、籐椅子に腰をかけて、
おじさんと父が、
ビールを飲んでいた風景を。       
「おーい、よしこさん。
 水瓜は、まだ、冷えませんか」

「でも、兄さん、三浦の水瓜って、
 どうも、あまり、甘くありませんな」

「喜三郎(きさぶろう)、おまえねえ。
 水瓜なんてえものは、青くさい位が、
 ちょうどいいのさ。そういうものさ」

よしこ、というのは母。喜三郎と
いうのは父。おじさんは、
喜太朗という名前だった。

あの頃から、何年が過ぎ去ったのだろう。
父も母も、おじさんも、もういない。
私は、ぼーっと夢みたいに生きて、
ほそぼそと、イタリア語のほん訳を
して生活している。
雪ノ下の家は手離して、
東京の白金(しろかね)のマンションにひとり。
六十歳を過ぎたのは、二年前で・・・・・・

こうして、机にほおづえをついていると、
マンションの窓から、
入道雲が見える。
ああ、今年も夏になるんだねえ。
鎌倉に行ってみようか。
大町(おおまち)のお寺にある、三人のお墓に行ってみようか。
小さな丸い御影(みかげ)石が三個、
芝生に並んでいるお墓の上に、
きっと今年も、大きなヨウシュヤマゴボウが、
涼しい影を落しているのだろう。
その草の陰に、私もちょっと、
休ませてもらおうかな。

*出演者情報:久世星佳 SIScompany inc 03-5423-5904

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一倉宏 2007年7月6日



 
不公平な贈りもの

                       
ストーリー 一倉宏
出演  いせゆみこ

私の姉のことを 
「間違いなく<世界の4大美女>のうちのひとりだ」
といったひとがいる 
そのうち3人はすでに歴史上の人物だから つまり
<世界でいちばんの美女>と いいたかったらしい
そういったのは 
私がひそかに憧れていた 近所の大学生のお兄さんだった

なにしろ 姉ときたら 生まれたときから
ベテランの産科の先生に「こんな美人は見たことがない」といわれ
病院中の看護婦さんたちが のぞきにきては喚声をあげたほど
歩きはじめた姉のかわいらしさに比べたら 
どんなお人形さんもただの人形に過ぎなかったし
幼稚園に入る以前に 親戚のテレビ局のプロデューサーから
「絶対に芸能界には入れない方がいい」と忠告を受けていた

小学中学では 学芸会や運動会のたびに 全校の父兄が
姉の姿を カメラやビデオに収めようと夢中になる始末で
高校では 独身の男性教師を担任にしないよう学校側が配慮し
それでも 化学(ばけがく)と体育の教師が高熱を出したという噂
クルマの運転をはじめたら スピード違反で捕まった白バイの
おまわりさんに 免許証を返されると同時にプロポーズされた・・・
その頃はすでに<世界の4大美女>入りを果たしていた姉に
こんな神話は 日めくりカレンダーのようにあった

ひとにはよく聞かれる 
「あんなに美人のお姉さんをもつのは どんな気持ち?」と
この質問には曖昧に微笑むしかない 単純には答えられないから
たずねるひとは すでに無意識のうちに姉を神格化していて
そして無意識のうちに 私に同情している
「もう慣れましたから」と 私は答える
「あ そうね そういうものかも」と 相手は妙に納得する

いま思えば 父も母も とても心配していてくれたのだ
こんな特別な姉がいて そして 特別ではない妹の私がいて
両親はとにかく 「お姉ちゃんは ほかのひとよりも 妹よりも
ただちょっときれいなだけだから」と 繰り返し教えさとしていた
それは「ほかのひとより背が高いとか 鼻が低いということと
なにも変わらない」 個性のひとつに過ぎないということ
姉は 素直にそれを受け止めて育ったが 妹の私はひそかに
そして時々 泣きじゃくりながら猛烈に 反発した
個性のひとつひとつがすべて 神様の贈りものだとしても
それは なんて不公平な贈りものだろう と

けれど 私にもようやくわかったのだ
姉より早く 結婚して こどもを産んで はじめて

産科の先生が お義理で「美人、美人」と呼んだ
鼻の低い この私の娘だけれど・・・ 
間違いなく「世界でいちばんかわいい」と 夫にも私にも思えること
なんだ こういうことだったのか・・・
両親がいっていたのはこのことで それはまったく正しかったのだ
いつかこの子が 自分の 小さな丸い鼻について
夫か 神様を  恨む日がくるとしても

「お姉ちゃんも早く結婚しなよ 
 あんまり美人だと苦労するね」 というと

「ほんとにそうね」と ぬかしやがった姉だった

*出演者情報:いせゆみこ  03-3460-5858 ダックスープ

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中山佐知子 2007年6月29日



星のお母さん

                      
ストーリー  中山佐知子
出演  大川泰樹

星のお母さん
あなたがたったひとつの秘密を僕たちに教えて
バラバラに散ってしまってから
もうずいぶん長い時間がたちました。

あなたの破片は小さな星々になってただよい
いま、そのひとつに僕が住んでいます。
あなたの最後の思いやりのおかげで
小さな星はひとつについて人がひとり住むことができます。

友だちの星は大家族なので
村と呼べるくらい大きな星です。
けれど、僕の星にだって両親が残してくれた畑と
明るい森がひとつあります。
畑は僕を養ってくれるし
森は僕を元気づけてくれます。

僕は森に入って
小鳥の声を聴いたり
野いちごの赤い実をさがすのが大好きです。
たったひとつ不足といえば
「おはよう」や「おやすみ」を言う相手がいないことですが
でもそれはどうしても必要なことでしょうか。

1週間ほど前、友だちが来て言いました。
森の木を伐って畑を広げないなんてもったいない。
それから2日ほどすると
こんどは見たことのない女の人がきて
森の木を伐って大きな家を建てたら
自分の星と僕の星を繋げてもいいと言いました。

女の人はキレイな顔をしていたし
女の人の星も手入れが行き届いた素晴らしい果樹園で
水を汲む井戸までありました。
でも僕の森はいつもひんやりと涼しく
柔らかい土の下には水が流れています。
そのおかげで僕の星は井戸がなくても
水に不自由がありません。
僕は僕の森を壊したくないのです。

星のお母さん
僕たちの小さな星がどんどん繋がっていくと
いつの日か、バラバラになる前のあなたのように
大きな星ができる。
みんなそれを夢見て自分の星を育て
星と星をどんどん繋げています。
僕もそうするべきでしょうか。
森を壊して、誰かの星を迎え入れるべきでしょうか。

近ごろ、気づいたことがあります。
僕の森がほんの少し、大きくなりました。
よその星の森が壊されたときに飛んできた鳥や虫が
森を広げているらしいのです。

星のお母さんが最後に教えてくれたこと
森も虫も人も、星の一部だということを
どうして僕は忘れていたんだろう。

*出演者情報  大川泰樹 03-3478-3780 MMP所属

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中村直史 2007年6月22日



サイババに祈ってみた、その日の夕方。

                         
ストーリー 中村直史                          
出演  マギー

「働いているわたしが夕飯の準備までして、
職探しの身のあなたがそんな平気な顔で食べて。
なんか、結婚したころは、こんなんじゃなかったのになあ」
と、妻が言ったとき、
ぼくは、たまたま、サイババのことを考えていた。

インドに住んでいるという、いろんな奇跡を起こすという、
あのサイババのことをだ。

何もない空中をぱっとひとつかみするだけで、
きれいな石がその手のひらからあらわれたり、
医者が見放した難病の人を、突然治してしまったり。
いつかテレビで見た彼は、ほんとにいろんな奇跡を見せていた。

もし彼が「本物」ならば、
ここから遠く離れた国にいるとしても
僕の気持ちをテレパシーみたいなもので受け取って、
何か見せるくらいできるはずだ。

そう勝手に解釈して、
ごはんはしっかり食べつづけながらも、
妻の話も一応ちゃんと聞いているというそぶりも見せながらも、
心の中では、「サイババ、平凡な日々を送るこの平凡なぼくに、
何か奇跡を見せてもらえませんか」と、
なにげに真剣に祈ってみたのだった。

5回くらい繰り返し祈って、何くだらないこと考えてるんだ?
と思い始めたとき、妻が「ねえ、わたしの話聞いてないでしょ」と言った。

たしかにぼくは聞いていなかったのだけれど、
そんなことはどうでもよくて、
妻はそのせりふを言ったあと、ゲップをしたのだった。

それは、とても小さな音で、「きゃふ」と変わった音だったから、
一瞬ゲップだとはわからなかった。
でも、それはゲップだった。
美しいゲップだった。
音程で言うと、たぶん「ファ」と「ラ」の2つの音のつらなりで、
宙に放たれたゲップの上に、スタッカートの記号がついているかのような
快活で、輪郭のはっきりとした響きがあった。

おおげさに聞こえるかも知れないけれど、
生きていてよかったと思えるほどのゲップが、
この世界にはあるのだと教えてくれる、そんなゲップだった。

あっけにとられるぼくに向かって、妻は
「今の、ゲップじゃないから」とちょっと怒ったような顔で
弁明しているのだけれど、
ぼくは、その怒った顔さえもなんだか神々しく見えてきて、
「ああ」とつぶやいた。

ああ、やるなー、サイババ。

うれしくて、ついニヤニヤしながら、
「ごはんおかわりある?」と聞いたら、
妻は落ち着きをとりもどした声で「あるよ」と答えたのだけれど、
ちょっと間をおいてから、
「ほんとにゲップじゃないんだってば」と言ったのだった。

*出演者情報 マギー 03-5423-5904シスカンパニー 所属

Photo by (c)Tomo.Yun

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柴田常文 2007年6月15日



反論の余地

                     
ストーリー 柴田常文
出演 坪井章子

それでは、次にまいります。
世田谷区に住む57歳の男性からのお便りです。       
  
私には、一人娘がおります。
現在、女子大の3年生になります。  
彼女が生まれたのは、私が36歳の夏でした。
ヘンな男のムシなどついたらタイヘン、と、
小学校から大学まで、一貫教育の女子校に入れ、
それこそ、蝶よ花よと、大事に大事に育ててきました。

ある晩、いつものように、午前様で帰宅しました。

あ、申し遅れました。
私は、芸能プロダクションの会社を経営しております。

テーブルの上に、妻からのメモが置いてありました。妻は、もう就寝中です。
「私にはとても、理解が出来ませんので、夢子といちどお話をしてください」
と、書いてあります。

夢子というのは、娘の名前です。夢がある子に、夢をもたれる子に、と、
私が名づけました。

夢子の部屋をノックすると、彼女はまだ起きておりました。
ビールを一缶あけて、リビングのソファに腰をおろしました。
「ママからのメモだよ。いったいどうしたと言うんだね?」と、
彼女にメモを見せました。

「もうママったら・・」と困惑した表情で、私を見つめます。
「だんだん、いい女になってきたなあ・・
でも、私の会社には所属させんぞ。芸能界はイカン!」と、ふと思いました。
大学3年生になって、就職をどうしようか?と悩んでいたと言います。
ああ、もうそんな歳になってしまったんだな、と、シミジミ思いました。

「私は働きたくない。毎日、毎日、時間に縛られ働いて、
何が楽しいんだろう・・だから、就職なんかしたくない」と言います。

「今のままがいい。何不自由なく育った今のままで、
ずっと、ずっと生きられたらいいなあ、と・・。
働いても、結局、いつかは結婚して家庭に入る・・それなら、
最初から、永久就職がいい」と思ったと言います。

「永久就職!!」って・・・・まさか?!

その、まさか!でありました。

夢子は「結婚します!」とキッパリ言いました。

「け、結婚って・・ま、まだ21だろ、ゆ、夢子・・あ、相手はいるのか?」
その時の私の動揺をお察しください。

「私はパパやママに大事に育てられてきて、ホントに感謝しています。
何不自由なく生きてきたし、貧乏なんて知らないし・・だから、
働いたりしたくない。苦労なんか、したくない。
お金のある人と結婚して、早く子供を産んで、ママになりたいの。
だから、安心して、パパ!」と、屈託のない顔でニッコリ言いました。

「お、お金がある人って・・その男はいったい誰なんだ?」と詰問しますと、
昨年の夏、アルバイトで行った原宿のアパレル会社の社長だと言います。
「そんな浮き沈みの激しい会社、ITと同じで、今はいいかも知れないが、
いつ、どうなるかわからんぞ。そんな若い経営者じゃ、危なっかしい・・」
と、私は、思い直すよう必死になって語りかけました。

すると、
「大丈夫なの、心配しないで、パパ!
彼はチャンとした大人だし。広尾にマンションも持っているし、
軽井沢とハワイに別荘もあるの」と、目を輝かせます。

「お、大人といったって・・・いったい、その男は何歳なんだ?」
と聞きますと、

「49歳よ。あ、バツイチだけど・・。
友だちは、年齢が離れすぎだって言うけど、私、全然、ヘーキ!
大丈夫なの。彼ったら、私と、生まれてくる赤ちゃんのために、
一生困らないように、生命保険にもド~ンと入ってくれるって言うし。

ね、いいでしょ?!パパ、安心でしょ!
君は何もしなくていいよって。メイドもつけてくれるし、
私を娘のように、一生可愛がってくれるからって。
よかったね、パパ!」と、言います。

それからあと、私は何を言ったか・・

おそらく、何も言えずに、リビングを去りました。

私とたいして歳の違わない男から、お父さんって呼ばれるのか・・

喜んでいいのか?
何なのか?それさえも、もはや、定かではありません。

こんな娘に・・・誰がした・・・って。


*出演者情報 坪井章子 3479-1791 青二プロダクション

Photo by (c)Tomo.Yun

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小野田隆雄 2007年6月8日



出来ちゃった婚、昔と今

                  
ストーリー 小野田隆雄
出演    久世星佳

 お手打ちの 夫婦なりしを 衣更
という、蕪村の俳句がございます。

 江戸時代、武家屋敷の奉公人の男女が、恋
をするのは、ご法度、つまり禁止されており
ました。でも、ときおり、恋に落ちてしまう
若いふたりもいたのですね。これが、主人に
知られると、さあ、大変。やぼな主人ですと、
 「ふたり並べて、四つにする!」
つまり、エイヤーッとふたりを切って捨てよ
うという、大騒ぎにもなってしまいます。
 こんなとき、さいわい奥方が話のわかる女
性ですと、まあまあと、止めに入ってくれる。
「おまえさまも、ずいぶんおなごを泣かせて
きたではありませぬか。若いふたりが好きお
うているのです。許しておあげなさいましな」 
などと主人をいさめてくれまして。

晴れてふたりは許されて、夫婦になり、
お長屋門の小さな部屋で新世帯。
お手打ちの騒ぎが、梅の咲く頃で、
春も過ぎて、めでたく衣更を
迎えたという、そんなロマンスが
蕪村の俳句でございます。

衣更して、浴衣姿で、差し向い。
おたがいに見つめあって、
いまの時代でしたら、
ビールで乾杯って、ところですが、
あいにく江戸時代でございます。
ギャマンのさかづきに
ひやざけを、なみなみ注いで、
甘ーい気分で飲んでおりますと、
螢が一匹、庭先を、スーイ、スーイ・・・・・・
昔は、こういう結婚もございました。
けれど、よく考えてみますと、
これもひとつの「出来ちゃった婚」
なのかも知れませんねえ。

「おい、花子、どうしたんだ。
 ビール飲まないのかい、
 よく冷えてるぜ」

「しばらく飲まない。それからね、
 これからは私の前で
 タバコ吸うのも止めてね。」

「なんだ、なんだ、
 どうしたの、なにがあったの」

「ねえ、次郎。キミが鈍感でもいいよ。
 でも、今日から、私のことには
 敏感になってね」

「おいおい、お願いしますよ。
 おれ、ずーっとまじめだったし、
 コンビニで働くの、向いてそうだし、
 もう、フリーターとは呼ばせないぜ」

「あのね、次郎がしっかりしてきたから、
 こうなったのかも知れないんだ」

「なにが、こうなったの?
 えっ? もしかして、赤ちゃん?」

「そう、赤ちゃん。今日、病院行ってきた」
「うーん、よーし、わかった。覚悟をきめ
た。
 キッチリ結婚式をあげよう」

「結婚式の式なんて、どうでもいいよ。
 でも、ふたりが結婚してるってこと、
 そのことを大切にしてね、次郎。
 もう、ママゴト、終りだもんね」

*出演者情報久世星佳 03-5423-5904シスカンパニー 所属

Photo by (c)Tomo.Yun

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