Author Archives: tcs_saito2022

酒の肴メニュー


つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。

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kon
kobu
waribosi

「東北へ行こう」について

「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。

CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。

最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku

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東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
東北へ行こう2017:http://www.01-radio.com/tcs/archives/29069
東北へ行こう2016:http://www.01-radio.com/tcs/archives/27999
東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
東北へ行こう2014:http://www.01-radio.com/tcs/archives/25897
東北へ行こう2013:http://www.01-radio.com/tcs/archives/24314
東北へ行こう2012:http://www.01-radio.com/tcs/archives/21722
東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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佐藤義浩 2024年4月14日「うれしいことがあったら」

うれしいことがあったら

   ストーリー 佐藤義浩
      出演 遠藤守哉

スーがうちに来たのは金曜日だった。
いつものように飲んで帰ってきた僕は
いきなりうちに犬がいて驚いた。
連れてきたのは娘だった。
動物病院でバイトしていた彼女が
引き取り手のないトイプードルをもらってきたのだ。
僕はそこそこ酔っ払っていて、
お、可愛いじゃないか、などと言いながら
そのトイプードルを撫でようとして、
いきなり手を噛まれた。
娘の話では、スーは元の飼い主から
かなり辛い扱いを受けていたらしい。
そのせいか、人には全く心を開かず
何匹かいた保護犬の中で最後の一匹になっていた。
そのときはすでに9歳で、このままだと処分される。
たまらず娘が引き取ってきたということだった。
誰が面倒見るのか、お決まりのやり取りの末、
スーはうちで暮らすことになった。
そしてこれもお決まりのごとく、
頑張って世話すると誓った娘ではなく、
結局は妻が面倒を見ていた。
僕はと言えばたまに散歩に連れて行くくらいで
初めのうちはなかなか言うことを聞いてくれず苦労した。
それでも数ヶ月、一年、二年と経つうちに
自分からリードを引っ張って散歩を急かすようになった。
スーは家の中でも走り回るようになった。
床にカチャカチャと爪の音を響かせて、
ソファに飛び乗ったり飛び降りたり、
少しは楽しいと思えるようになったのかなと思った。
それでも心の底から気を許してるというわけでもなく、
向こうから膝に乗ってくるようなことは決してなかった。
そんな毎日が続いて、いつの間にかスーも年を取り、
一日のほとんどを寝て過ごすようになっていた。
起きているのか、眠っているのか。
たまに寝たままで足だけ動かしていた。
野原を思いっきり駆け回ってる夢でも見てるのかもしれない。
それはまるでステップを踏んでいるようだった。
走りたいんだなと思った。
人がうれしい時に思わず踊り出しちゃうような
そんな気分なんじゃないかと思った。
結局スーは21歳まで生きた。
後日、スーが元いた動物病院の院長先生が 
「長生きさせてくれて本当にありがとう」と、
言ってくれた。
スーの一生が幸せだったのかどうか、
本当のところはわからない。
ただ今はずっとステップを踏むように
走り回ってるといいなと思うだけだ。



出演者情報:遠藤守哉

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