
つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。
全部読むときはこのまま下へスクロール。
メニューを選ぶときは
下の写真をクリックしてください。
下に準備中とあるものは非表示になっています(中山佐知子)

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「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。
CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。
最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku
年代別にみる:
東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
東北へ行こう2017:http://www.01-radio.com/tcs/archives/29069
東北へ行こう2016:http://www.01-radio.com/tcs/archives/27999
東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
東北へ行こう2014:http://www.01-radio.com/tcs/archives/25897
東北へ行こう2013:http://www.01-radio.com/tcs/archives/24314
東北へ行こう2012:http://www.01-radio.com/tcs/archives/21722
東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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寝台バスは昆明へ向かう
時間はある。お金はない。
ラオスのルアンパバーンから中国の昆明へ、
25時間かけて寝台バスで行くことにした。
飛行機の半分の金額で移動ができて、
寝ることもできるから宿泊費も浮く。
Wi-Fiはない。
不便に思えるが、デジタルデトックスだと思えばいい。
読みかけのバルザックの『ゴリオ爺さん』に集中できる。
こんなことなら何度も挫折してきたドストエフスキーの
『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を持ってきたらよかった。
いつも登場人物の名前が覚えられないのだ。
疲れたら流れる景色を
ぼーっと眺めて過ごせばいい。
窓の外を流れる街並み。
一軒一軒に生活がある。
もしもここで生まれたらと考える。
高校生だったら放課後にあそこに見える屋台で
友達と買い食いしたら楽しそうだなとか考える。
そんな想像をして過ごすのも悪くない。
心配なのはトイレくらいか。
トイレのない寝台バスらしい。
それも水やビールの飲み過ぎに
気をつけていたら調整できる。
考えれば考えるほど、
快適で有意義な時間が待っている気がして、
寝台バスは魅力的に見えてきた。
そう思って乗車した。
考えが甘かった。
バスは真ん中に通路があり、
通路を挟む形で両端に2段ベッドが並んでいた。
2段ベッドの上だとバスの揺れで落ちたりするかもと思い、
僕はバスの1番奥の2段ベッドの下に陣取ることにした。
靴を脱いでベッドの上に座る。
ここから全乗客の様子を見ることができる。
乗客はほぼ中国人しかいない。
ふと鼻腔を突き刺すにおいで、
高校時代の剣道部の部室を思い出す。
もしかして自分の足からだろうかと思ったけど、ちがった。
バスのなかが、剣道部の部室と同じにおいだった。
たぶんシーツなど洗っていないうえに換気もしていないのだろう。
小樽商科大学へ行った剣道部のシノハラは元気だろうか。
上のベッドからナッツの殻が落ちてくる。
嫌がらせだろうかと思ったら、ちがった。
みんな床にゴミや食べカスを落としている。
中国はバスのなかであろうと関係ないらしい。
まだまだ知らない文化だらけだなと思っていたら、
カーーーーーーッ!ペッ!と空気を切り裂くような音とともに
おじさんが床にツバを吐いた。
嘘だろ?と思っていたら、
他の中国人の方がそれには注意をしていた。
通路に脱いでいた靴を念のため
移動しようとベッドの下を覗いたときだった。
ガサガサと動く黒い生き物がいた。
もしかしてと思い、
ベッドシーツをめくってみる。
いた。やっぱりいた。けっこういる。
ゴキブリだった。
見なければよかった。
これは快適な寝台バス旅ではなく、
悪夢のゴキブリ寝台バス旅だった。
こうなっては本を読む気にもなれない。
内容が入ってこない。
出してくれ。
ここからはやく出してくれ。
窓の外の流れる景色を
助けを求めるような気持ちで眺めてしまう。
25時間、
悪夢だった。
数時間に1度のトイレ休憩や、
食事休憩だけが唯一の気持ちの休まる時間だった。
沢木耕太郎はこう言っていた。
旅は人を変える。
人が変わる機会というのは人生のうちにそう何度もあるわけではない。
だからやはり、旅に出て行ったほうがいい。
危険はいっぱいあるけれど、困難はいっぱいあるけれど、
やはり出て行ったほうがいい。
いろいろなところへ行き、いろいろなことを経験したほうがいい。
そう言っていた。
だけど、ここに注釈を付け加えたい。
ゴキブリ寝台バスで行くのだけはやめたほうがいいと。
25時間後、
僕は悪夢を消し去るように昆明で青島ビールを浴びるように飲み、
人生ではじめて海外でお酒を飲みすぎて記憶をなくしたのだった。
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出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html
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