直川隆久 2017年6月18日

1706naokawa

新年にあたり

          ストーリー 直川隆久
            出演 遠藤守哉

ファイルNo. QZ1029-あ-H13081, 文書形式:ブログ

あと数週で、新しい元号に変わって7年目の春となる。
ということで今年もカレンダーを新調した。
この6月には、あの世紀のイベントが控えている。
印をつけておくのを忘れてはなるまい。

女性宮様と、フィギュアスケート金メダリストとの
夢のロイヤルウェデイングだ。
身のひきしまる思いである。
すでにウェディングドレスのデザインは発表され、
レプリカが飛ぶように売れているそうだ。
記念金貨、記念スマートフォンも同様。

この国には、夢が必要である。
その夢を、神々しい光とともに実現するイベントは、
当面、これ以外にはない。
景気浮揚および国民意識高揚を一気に可能にする
この国民的カップリング成立の陰には、
政府による少なからざる尽力があったとされる。
官邸のある方角にむかい、国民一同、
感謝を胸に今一度最敬礼をすべきであろう。

それにしても、カレンダーを改めるたびに新鮮な思いがする元号である。
ふた文字の漢字に、いかに豊かな意味を込められるものか、
その見本とでもいうべき元号だ。

輝かしい「昭和」のような時代が再び到来することを願いつつ、
国際社会からの「恩恵」がもたらされることを祈念し、
「昭和」「恩恵」それぞれの言葉から一文字ずつをとり、新元号とした。
それが日本政府の発表による由来であった。

「特定の個人名を想像させる」として
宮内省および前時代的発想の学者連中は猛反対したという。
なんという狭量!が、幸いにして、官邸の果断なる一言で、
当該の元号に決まったということのようだ。

たしかに、結果として、この元号は、
さる個人の名前を歴史に残す結果となった。
が、仮にそれが官邸の隠れた意図であるとすれば・・
いやはや逆になんという深謀遠慮!
まさに「女性活躍の時代」にふさわしい象徴としての元号といえないだろうか!
愚昧な一般人の発想のおよぶところではない。
この政府が続く限り日本は安泰であるという思いをあらたにするのだ。

(以下、公共福祉調整局第85検閲課よりのコメント)
市民生活調査課各位:下線部の表現、いわゆる「政府方針への過剰な忖度」に
あたるかと思われます。「個人ブログらしい表現の自由」が感じられる体裁の
表現になるよう、執筆者へのご指導よろしくお願い申しあげます。 

出演者情報:遠藤守哉(フリー)

 


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