一倉宏 2009年5月7日



数字のうた

                  
ストーリー 一倉宏
出演 坂本真綾

0という数字は 「花の種」のようだ
なにもないマルが すべてのはじまりでもあって
10や100のマルは たくさんある という意味になる不思議
0と 花の種は かたちも似ていて
ちいさな0のかたちを 土に埋めたら
やがて 1という数字になり たくさんの花が咲く不思議

その1という数字は だけどさみしい
1は それ単独では ぽつんとひとり 「孤独」だ
海から風の吹く 丘の上に ほっそりと立つ姿
でも そのさみしさを 私はきらいじゃない

2という数字は しなやかに やわらかい
首をかしげた「白鳥」 あるいは「横顔」のかたち
しずかに もの思うような ほほえむような
2という数字のしずけさに 第3者は近寄りがたい

その 第3者の3は 「耳」のかたち
なんでも気になる 知りたくなる 好奇心いっぱい
3という数字は おしゃべりも聞く 音楽も聴く

4という数字は 「矢印」のようだ
天空をめざすベクトル あるいは 疾走するヨット
4は 東西南北 上下左右 どちらにも伸びてゆく

5という数字は かなりごっつい 「男」っぽい
くちぐせはGO!GO! 威勢もいいし ノリもいい
ちょうどまんなか ちょっと威張って ちょっと単純

6という数字は まつげの長い つぶらな「瞳」
誰ともなかよく 調和を求めて だけど繊細
その子のこころは 2つにも3つにも 割れやすい

7という数字は 衿を立てた「コート」のようで
スマートでかっこいい しかも なにかとツイてる 
ラッキーなエリート でも 本当のともだちは少ない

8という数字は 無限の「ループ」に似ている
なぜだろう 包容力があって いっしょにいると落ち着く
とはいえ案外 八方美人の お調子者かも

9という数字は いちばん「おとな」だと思う
人生の苦労も知ってる 一歩手前で踏みとどまれる
この世界に 完全はない そんな 透明なあきらめも

そしてまた 0という数字
なんどでも 帰ってゆく場所
偉大なる空虚 宇宙のはじまりとおわり
なんどでも くりかえす 果てしない時の旅
まだ出会わないあなたと まだなにも知らない私がいて
なにもないところから たくさんのなにかが生まれる
それを信じて… 「花の種」をまこう

出演者情報:坂本真綾 forturest.com

shoji.jpg  
動画制作:庄司輝秋


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One Response to 一倉宏 2009年5月7日

  1. TOMO says:

    0は種。そこから無限の花が咲く。
    春にピッタリの詩でカワイらしい(笑
    僕の中の数字のうた!
    1=ぼくも孤独な数字と思う
    2=ペア&パートナー。LOVEな数字
    3=ぼくのラッキーナンバー。いちばん好きな数字
    4=地水火風。天使と悪魔見にいこう!
    5=ヒカルの碁
    6=ダ~ミア~ン
    7=ウルトラマン
    8=同じく無限。インフィニティー。美しいシンメトリー
    9=警察か救急車。縁起のいい数字ではない…
    0=可能性
    誰の胸にも可能性の種がある。
    そんな気持ちになれました。
    GoodPoem&Reading★

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