一倉宏 2010年3月4日



花言葉に誘われて
                  

ストーリー 一倉宏
出演 松永玲子

ほんとうかどうかはしらないけれど
花屋の店員さんたちは こっそりと 花言葉で話しているらしい
たとえば こんなぐあいだ

「うちの店長って<ヤマブキ>すぎると思わない?
 <アマリリス>があるのはいいんだけど もうちょっと
 <赤いフリージア>だったら <ツユクサ>なんだけどなあ」

これを解読すると こうなる

「うちの店長って<ヤマブキ>=気品が高、すぎると思わない?
 <アマリリス>=誇り、があるのはいいんだけど もうちょっと
 <赤いフリージア>=愛想のよい、だったら 
 <ツユクサ>=尊敬、なんだけどなあ」

ということは
酒屋の店員さんたちは こっそり 酒言葉で話しているだろうか

「うちのおやじさん <シングルモルト>だからね
 それも なんちゅうの かなり<アイレイ>入ってるし
 それにくらべると おかみさんは<チリワイン>だよなあ」

でも これは解読しやすい

「うちのおやじさん <シングルモルト>=生一本、だからね
 かなり<アイレイ>=癖の強さ、入ってる
 おかみさんは<チリワイン>=気さくで庶民的、だよなあ」

魚屋の店員さんたちの話す 魚言葉は どうだろう

「うちの若旦那 <イナダ>でしょ 養殖の
 おやじさんみたいな<マグロ>は もう<トラフグ>でね
 いくら<イクラ>だって <ウニ>だよ」

「若旦那は <イナダ>=出世魚のまだ2番目 養殖のボンボン
 おやじさんは<マグロ>=まっすぐにしか進まないひとで
 もう<トラフグ>=すぐ怒る
 いくら<イクラ>=大事な卵だって <ウニ>=痛い目にあう」

そして 文房具屋の店員さんたちの話す 文房具言葉 

「このあいだ 合コンで会った<三角定規>
 もうかなり<36色の色鉛筆>でさ おまけに<コンパス>
 結局は<消しゴム> しょせんは<カートリッジ>だった」

八百屋の店員さんたちの話す 野菜言葉 

「<ダイコン><ダイコン> そんなに<タマネギ>だって
 <ピーマン>でしょ もっと<長ネギ>で<ナス>」

これも わかる気がする なんとなく

だから やっぱり いちばんむずかしいのは 謎なのは  
花屋の店員さんたちの話すという あの 花言葉だ

どうぞ あなたの<アイリス>が 
<ラッパスイセン>でありますように

出演:松永玲子 03-3359-2561オフィスPSC

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動画制作:庄司輝秋・浜野隆幸



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