神谷幸之助 2010年7月18日

hotaru.jpg

ぶ~ん

ストーリー 神谷幸之助
出演  坂東工

あー、ハエがうざい。

ここ、ニュージーランドでは
毎日、大量のハエとの闘いだ。
こっちのジョークに
「口を開けてるとハエが入るから、食事中は口を閉じなさい」
なんてのがあるくらい。

だからといっても
きょうは異常に多すぎる。
これも温暖化のせいなのかなあ。

ハエで思い出したけれど
きのう見た
「ヒカリキノコバエ」の赤ちゃん、きれいだったなあ。
ヒカリキノコバエの幼虫は真っ暗な洞窟の天井に住んでいる。

そして、カラダから粘液を出すんだ。
粘液は長いものでは30cm以上も、たらーりと下にたらす。
その粘液が暗闇で、ポアアって青白く光る。
それは洞窟の中に銀河ができたような、幻想的な宇宙。
この粘液の正体は、
日本の蛍の発光成分とおなじ。
日本人は、ヒカリキノコバエを通称「土ホタル」って呼ぶ。

だけどその美しい光は、おそろしい罠なんだ。

光にうっとりした虫をおびき寄せ、粘液でとらえ
身動きできなくして、ポリポリ食べるんだ。
成虫になるまで半年から一年もかかる。
そして、

成虫には、なんと「口」がない。

口そのものを持っていない。

ひたすら交尾をし、産卵を終え、
エネルギーを使い果たし、数日間の短い一生を終える。
ただ生まれて子孫を残すだけのシンプルな生きもの・・・。

あー、しかしこのハエの多さは気が狂いそうだ。
うわーって叫びたいけれど声が、・・出ない。

声が・・・出ない?
NA:
「ここからふたつのエンディングをお楽しみください。
 まず、エンディング/タイプAをどうぞ」

声が出ない?

そうか出せないはずだ。
このたくさんのハエは、
ぼくという「死体」に、たかっていたんだ。
ぼくはいつどうやって死んだんだろう。
ま、いまさらどうでもいいか。

そんなことより
あー、ハエがむかつく。
ぼくを食べるな。

NA:
「次のエンディング/タイプBをお楽しみください。」

声が出ない?

声がでなくてあたりまえ。
だって
ぼくはヒカリキノコバエの成虫。
もともと「口」というものがないんだ。
だいじょうぶ。
口がないから、人にはかみつけない。

そんなことより
交尾して一生を楽しまなくちゃ。

それ、交尾、交尾♪

出演者情報:坂東工 http://blog.livedoor.jp/bandomusha/

shoji.jpg  
動画制作:庄司輝秋



ページトップへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA