まりちゃん「かもめ」に出ています

「かもめ」は、ロシア革命のちょっと前が舞台になっている
チェーホフの戯曲です。
翻訳のまま上演されるとちょっと鬱陶しいかなと思えますが
評判がいいので
演出のケラさんが書き直しているんでしょう。

登場人物は10人、
☆ 女優
☆ その愛人の作家
☆ 女優の息子で作家志望
☆ 女優の兄
◎ 地主の娘(ただし一文なし)

★ 医者
★ 女中の娘(マーシャ)
★ 女中(マーシャの母)
★ 女中の夫(女優の兄の屋敷の支配人)
★ 教師

☆ は不労階級です。働かなくても食っていける人たち。
  女優の愛人も愛人でいる限りは安楽です。
★ は労働者。
◎ のニーナは母の遺産をもらえなかったので一文なし。
  ただ、家にいる限りは食うに困ることはありません。

そしてこれを恋愛感情で並べ替えると
誰もむくわれない図式が浮かんできます。
女優とその愛人の作家の関係については
愛人にとっての女優がパトロンのようなものなのです。
作家は地主の娘に手を出しますが捨ててしまいます。

☆ 女優
   ↓
☆ その愛人の作家
   ↑
◎ 地主の娘ニーナ(ただし一文なし)
   ↑
☆ 女優の息子で作家志望
   ↑
★ 女中の娘マーシャ
   ↑
★ 教師

さらにこんなのもひっそりとあります。

★ 医者
  ↑
★ 女中(マーシャの母)

帝政ロシアの時代です。
いまほど世の中が複雑じゃなくてみなさん暇らしく
たっぷり時間をかけて思い悩んでいます。
ホント、恋愛って暇じゃないとできないのかも。
見るからに鬱陶しい恋愛図ですね。

さて、西尾まりちゃんが演じているのはマーシャです。
マーシャが愛している作家志望の息子は
そも女中の娘なんぞに目もくれませんから、ハナっから見込みはありません。
そこで、マーシャは自分の感情を葬り去るために
好きでもない教師と結婚してしまいます。
もともと好きでもないわけですから、結婚しても好きになるわけでなく、
なかなかイラついた結婚生活を送っているところに
いまでも愛している作家志望の息子がですね
売れっ子の作家になって目の前にいるという状況になってしまいます。
私はこのときのセリフが意気軒昂で大好きです。
「心に恋が芽を出したら、摘んで捨てるまでのことよ。」
かっこいいですね。

この戯曲から20年余りで
ロシアは社会主義とプロレタリアート独裁の憲法が公布されます。
戯曲を読むと、不労者階級の精神が弱くて不安定感を感じるのですが
革命が起きるときって、梢が腐った木のように
社会全体がなっているのかもしれませんね。

ああ、そうそう、それでですよ。
残り少なくなってしまいましたが
今月28日まで東京でやっています。その後は大阪です。
おもしろそうですよ(なかやま)

http://www.siscompany.com/kamome/


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