岩田純平 2018年4月1日

かんな 2018春

     ストーリー 岩田純平
       出演 齋藤陽介

娘のかんなは2歳になる。
奈良美智が描く少女によく似た
元気な女の子だ。

もう
イヤイヤ期は峠を越し、
いまは
パパヤメテ期がはじまっている。

何かとキーキー怒っていた娘も
いまは冷静に
「パパヤメテ」の一言で
あしらってくれる。

そんな女子感満載の娘は、
男子である父には想像もつかない
女子目線があることを教えてくれる。

たとえば、娘は
ドラえもんののび太のことを
「のび太さん」と呼ぶ。
ドラえもんを
しずかちゃん目線で見ているのだ。
父は人生を43年生きてきて、
のび太のことを
のび太さんと
呼ぼうと思ったこともないし、
その選択肢があることに
気づきもしなかった。

想像力の限界を知る、
という話である。

ちなみに7歳になった息子は
「スモールライトがあったら
ガリバートンネルはいらない」
ということに気づいてしまい、
ドラえもんから夢を奪いつつある。

映画でよく、ドラえもんが
どこでもドアを置き忘れてしまう、
というシーンがあるが、
どこでもドアを置いてきたら、
取り寄せバッグで取り寄せればいい、
ということに気づくのも
時間の問題であろう。

ドラえもんが好きな娘であるが、
アンパンマンだと
バイキンマンが好きらしい。

この前歯みがきをしようとしたら、
「アンパンの歯ブラシやだ」
と言いだし、
じゃあ何がいいのかと聞くと
「バイキンマンがいい」
と言う。
仕方なくバイキンマンの
歯ブラシを買ってやったのだが、
ばい菌のついた歯ブラシで
歯を磨くという矛盾が、
しっかり商品化されているのも
なかなかの商売根性だなあ、
と感心した。

そんなこんなで
土日の午前中はたいてい娘を連れて
近所の西友に買い物に行くわけだが、
この前買い物から帰って
玄関を開けると、
娘が
「なりしぇんしぇのにおいがするー」
と言った。

なり先生というのは
娘の保育園の男の先生なのだが、
父と娘が留守の間に妻と娘の先生が・・・
という
まるで昼顔のワンシーンの
ようであった。
もちろん、なり先生が
うちに来ていた事実はなく、
平穏な日々を送っている。

最近はいろいろ知恵もつき、
なんでも自分でやりたがる娘だが、
この前勝手にiPhoneをいじっていて
ホームボタンをポチポチ押してたら
Siriが動きはじめ、
「ゴヨウケンヲドウゾ」
みたいなことを話しだし、
それまでおとなしかったiPhoneが
急にしゃべりはじめたことに
娘は恐怖を覚え、
半ばパニックになって
「なんかおかしい、なんかおかしい」
言いだしたのだが、
siriはその言葉を
「うんこ開始、うんこ開始」
と聞き取り、
冷静に「うんこ開始」を
ネットで検索しはじめた。

娘もsiriも
どっちもどっちだなあ、
と思いながら、
娘の知能がsiriを追い抜く日も
そう遠くはないのだろうと思うと
それはそれでさびしくなった。

人の成長には
うれしさとせつなさが
混在する。

まあ、
その後またsiriに抜かれる日が
来るのかもしれないけれども。
AIも娘も進化の途中なのである。

まだまだ
書きたいことは山ほどあるのだが、
そろそろいい潮時なので
今年はこの辺で。

また来年、
かんな2019でお会いしましょう。



出演者情報:齋藤陽介 03-5456-3388 ヘリンボーン所属


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