
「価値はアート化する」
こんばんは。静かな夜をお過ごしでしょうか。
日本で唯一の、現代アートのラジオ通販番組、
“アート・ビート・ショッピング”です。
お時間の許す限り、お付き合いください。
今宵、ご紹介するのは、こちらのアートです。
作品名は『さわやかな右足』。
制作者は、イスラエルを拠点に活動する、
アリエル・レヴィ。多くを語らない芸術家です。
この作品もまた、多くを語りません。ただ、そこに在るだけです。
しかし、その静けさの中に、私は、計り知れない可能性を覚えます。
どのような形をしているのか、想像してみてください。
はい。今、あなたの頭の中に浮かんだ、その形。
それは、あなたの希望です。
もう少し、言葉にしてみましょう。
高さは、およそ50インチ。
しかし、これは、あくまで見かけ上の数値です。
見る者や、その日の湿度、気圧によって、わずかに、そして確実に、
そのサイズは変動します。
この作品は、「不確かな物質」で構成されているため、
静止しているようで、常に揺らいでいます。
これほどまでに儚く、美しい存在を、私は知りません。
透明でありながら、無色ではありません。
その内部には、光のグラデーションが凍り付いたように存在しています。
最も低い部分に、わずかに深い青色。
しかし、この色は青色ではありません。
これは、「ブルーの観念」が、物質化されたものです。
そして、中央にかけて、徐々に薄い紫色、淡いピンク色、
そして、最も上部には、燃えるようなオレンジ色へと変化していきます。
これらもまた、色そのものではなく、
それぞれが「紫の観念」「ピンクの観念」「オレンジの観念」です。
まるで、時間の流れそのものが、
ひとつの物体として凝縮されたかのようです。
初めてこの作品を見た時、
私は、この夕暮れ色のグラデーションに絶句しました。
この作品には、見る角度によって、微かな動きが見て取れます。
その内部を、無数の小さな粒が、静かに上昇していくのがわかります。
これは、かつて、遠い異国の地で、
ある一人の人間が、黄昏の時間に呼吸した、
その「空気の記憶」が、粒子となって再現されているのです。
私は、その空気の記憶が、
今、目の前で、再び形を得ていることに、深い感動を覚えます。
もし、あなたがこの作品に触れることができたなら、
それは、物理的な接触ではありません。
これは、「物質と記憶の境界線」に触れる体験です。
ひんやりとしたガラスのような表面の下に、
かつて存在した、かすかな温もりを感じるかもしれません。
それは、その日、水面に反射した光が、微かに残した熱なのです。
なんと詩的で儚い存在でしょう。
あぁ、言葉にすればするほど、
この作品の本当の魅力がこぼれ落ちてしまう!
これはただのオブジェではなく、
時間と記憶を、手に取れるようにした、ひとつの「独裁者」なのです。
そして、この試みは、この圧倒的な夕暮れ色によって、
見事に成功していると、私は思います。
この作品を所有することは、
あの日の夕暮れを、あなたの意識の中に、永久に定着させることでしょう。
さあ、この『さわやかな右足』という素晴らしい作品、
お値段は、特別に120万円です。
お求めになられる方はいつものフリーダイヤルにお電話ください。
ではまた、静かな夜を。
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出演者情報:清水理沙 アクセント所属 https://aksent.co.jp/profile/shimizu_risa/
