会津の三泣き

「会津の三泣き」

            文 岡本明純(東北芸術工科大学)
            声 西尾まり

福島県会津若松市。
鶴ヶ城で有名なその町に私は引っ越してきた。
ここには「会津の三泣き」という言葉がある。
なんで三回泣くのだろう。初めはわからなかった。

でもすぐに、私は泣いた。
よそ者を突き放すような人々の冷たい態度。
これが三泣きの一つなのだろうか。
辛くて淋しくて、元いた場所に帰りたくて泣いた、

それからしばらくして。
少しずつだけど、いろんな人と話せるようになった。
会津には人見知りが多いという話もきいた。
気がついたら、私の周りには友達がたくさんいた。
真剣に悩みも聞いてくれて、私の気持ちになって泣いてくれた。
そんな友達をみて、私は泣いた。人の温かさに泣いてしまった。

数年後。私は、会津を離れることになった。
大好きな町。大好きな友達。
離れたくない。ずっとここにいたい。
私は泣いた。会津を離れたくなくて、泣いてしまった。
そういえば、泣いたのはこれが三度目だ。
あぁそうか、これが会津の三泣きなんだ。
この言葉は会津の人々の温かさを意味していたんだ。

またきっと戻ってこよう。そしたらまた泣いてしまいそうだ。
その温かさが懐かしくて、泣いてしまいそうだ。
会津はいつも、私を泣かせる。

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