白鳥(宮城県白石市)

『白鳥』

       ストーリー 細田佳宏
          出演 石橋けい

吐く息が真っ白に変わり、蔵王の山が雪化粧する頃。
今年も白鳥の鳴く声が、
白石(しろいし)の町の澄んだ空にこだまします。

通勤の途中、
厚手のコートとマフラーに身を包んで東白石(ひがししろいし)駅を通りかかると、
ホームの向こうを流れる白石川で
羽を休めるたくさんの白鳥たちを目にすることができます。
白鳥は朝には川から飛び立ち、近くの田んぼで餌を探し、
夕方にまた川へと戻ってきます。
白銀の雪景色の中を大きな羽根を広げて舞う白鳥の姿は
いつもながら目を見張る美しさです。
この白鳥たちは、シベリアからやってくるのだそうです。
シベリアなんて私には想像もつかないけれど、
夏に生まれた子供の白鳥も
親と一緒に3000kmの距離を渡ってきます。

誰かの受け売りですが、
東北の、特に宮城には白鳥(しらとり)神社という名前の神社も多く、
白鳥は神の使いとしてとても大切にされていたそうです。
冬になるとやってきて、またどこかへ去っていく真っ白な鳥を、
昔の人はどんな思いで眺めていたのでしょうか。

そう言えば、このあいだ町の図書館で、
白鳥についてこんなお話を読みました。

昔々、ヤマトタケルノミコトという英雄がいました。
タケルは蝦夷征伐の時にこの地にしばらく住まい、
長者の娘と恋に落ちました。
二人の間には男の子が生まれましたが、
タケルは命令で都へと帰ってしまいます。
姫はタケルが戻ってくるのを待ちながら
遠い都のタケルを思い慕い、
ついに白鳥になって都に飛んで行こうと、
皇子とともに川に身を投げ、白鳥になり飛び去った。
そんなお話です。

なんだか救いがない話みたいですが、
東北には「めでたしめでたし」で終わる昔話は少ないのだそうです。
白鳥になった姫は都でタケルに再会し幸せに暮らしました、
なんて結末を期待するほど私ももう無邪気な女の子ではありません。

私は白鳥になって飛んでいきたいなんて思わないし、
きっとこの先も生まれたこの土地を離れることはないでしょう。
それが不幸だとも思わないけれど、
でも白鳥になりたかった姫の気持ちも少しわかる気がします。

あなたは今、どこで何をしていますか。
同じ空の下にいますか。どうかお元気で。

今年も東北に白鳥が来ました。

みやぎまるごと探訪http://www.miyagi-kankou.or.jp/

みやぎ観光NAVIhttp://www.pref.miyagi.jp/kankou/

白鳥の飛来地 in 宮城http://watarubuu.at-ninja.jp/003Aabc.htm


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