平間美貴から「ひと言」

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またまたお呼ばれさせて頂きました
唐揚げのレモンは断固反対(※肉が死ぬため) 
ブタ部名誉会長・平間美貴です

今回は小野麻利江さんの「川まで食べて。」を読ませて頂きました

毎度素敵な作品ばかり 
チーム中山さんとのお時間は どれもうれしたのしだいすきです

先日そーきゅとなダルさんが我が家にやって来たので
ちょっとご紹介させて頂きます

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ホント素敵です この凛とした佇まい
譲れない 揺るがない何かを感じます

だるまと雪見だいふくの季節ですね

赤ワインで呑んだくれて気づいたらば
ダルさんがオカルトなお顔立ちに

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反省 しきり
守ってあげたい そう思いました 切に

皆様にもだるまとの素敵なご縁があります様に。。。

平間美貴:http://www.herringbone.co.jp/talents/name/hiramamiki/

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直川隆久 2014年5月18日

毛のはえた鍵

     ストーリー 直川隆久
        出演 平間美貴

毛のはえた鍵を、拾った。
まさか、表参道で毛のはえた鍵を拾うとは思っていなかった。
拾いたいわけではなかったけど、
目があってしまったのだ。

手の中でそれはほのかなぬくみをもっていて
びち、びち、と動く。
気持ち悪いので捨てようとしたが、
鍵は、同じように毛のはえた錠前のところまで持っていけと、強く迫り、
ぎち、ぎち、と神経にさわる高い音をだす。
錠前?

道行く人にきいてみる。

「もしもし、毛の生えた錠前がどこにあるか知りませんか?」
「あなたのご質問はもっともです。
あなたはこう言いたいのでしょう――錠前はどこだ!」
「悪質な冗談はやめてください」

らちがあかないので、近くのカフェに入ってみる。
でも、毛のはえた鍵を持っている客なんて、ほかに誰もいない。
恥ずかしい。
いたたまれなくなって店を出る。

やっぱり鍵を捨てようと思って、
コンビニの前のゴミ箱に、そっと捨てようとしたら、
ランチパックと缶コーヒーを手にレジに並んでいる警官に
ぎろりと睨まれた。

この先ずっとこんなものを持って歩かないといけないのだろうか?
市役所に相談しようか。
おお、そうだ。

市役所のロビーで案内板を見ていると、中年女性に声をかけられた。
「あなた、その鍵にあう錠前さがしてるんでしょ?」
「え、はい」
「ここにあるよ」
中年女性が、ハンドバッグから毛のはえた錠前を取り出した。

鍵を、錠前にはめてみると、
あまり、きちんとはまらない。
鍵が、ぎち、ぎち、と不服そうな音をたてる。
中年女性は「ぜいたく言うんじゃない」と言いながら、
むりやりその鍵を錠前にねじ込み、わたしのほうを見てにこりと笑った。
「月水金しか持ち歩いていないからね。あんた、ついているよ」
「じゃあ、これ、お渡ししちゃっても大丈夫ですか」
「いいけど、ただというわけにはいかないねえ」
わたしは、なけなしの2万円をとられた。
しかし、この先、毛のはえた鍵を連れて生きていかなければならない
面倒さに比べれば、2万円なら安いものだ。

わたしは、せいせいして大通りに出、
喫茶店に入った。
カフェオレを注文して、汗もかいたのですこしメイクをなおそうと
トイレに向かう。
すると、ハンドバッグの中から、

ざりっ。ざりっ。

と、たくさんのねじをかきまわすような音がする。

不審に思ってバッグを開けると――
内側にびっしりと米粒ほどの大きさの毛のはえた鍵が
張り付いているのが見えた。
驚いて落としたバッグがタイルの床にぶつかると、
その鍵たちが一斉にぎちぎちぎちぎちと不平の声をあげはじめた。

出演者情報:平間美貴 03-5456-3388 ヘリンボーン所属

 

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平間美貴から「ひと言」

この度 またまたまたお世話になりました 
涙のキッスよりシュラバ★ラ★バンバ派 平間美貴です

前回も同じ時期 私が毎年花粉死してる時に
こちらに「ひと言」お話させて頂きました

折角なので個人的な花粉にまつわるエトセトラをひと言

毎年お世話になっている耳鼻咽喉科の先生がいらっしゃいます

その先生は
例えて云うならば 笑いを忘れぶっきらぼうを極めた三谷幸喜氏です

長年通っていますが
先生の笑顔はおろか 口角が上がった所も見たコトがありません

相手がおじいちゃんであろうとちっさいお子さんであろうと
それは変わりません

ただ 云い方や発音は冷たく聞こえても
我々の症状を詳しく分析してきちんと説明してくださり
より良い治療法を考えてくださってるのは凄く伝わるのです

そのツン裏デレぶりが堪らない結果なのか
先生を慕って沢山の人が通院してるのが理解ります

ちなみに今年の出だしはこんな感じでした
挨拶はいつも無く 先生は振り向き様に

先 「まぁ 花粉だよね」

平 「花粉。。。ですね」

世間話の様なものも勿論無いですし
普段は病院でそんなコトは思わないのですが
このツン裏デレ先生に限っては 
先生何か喋っておくれという欲が湧きまして 私は自ら問います

平 「先生どうですか??私の鼻の現状は??」

先 「自分ではどう思うの??」

平 「去年よりは全然楽なので 割と大丈夫かと」

先 「へえ。。。結構酷いもんだけどね」

ツンツンツンだもの
これを無の表情と無の音程で云い放ちますもの

この後は裏デレな説明を
同じく諸々「無」なままでしてくださいます

毎年この時期はホントに地獄ですが
年に1、2回 先生にお会い出来るのは何だか 
地獄の中の唯一のオアシスです

来年は私の問いかけをどんな風にはね返してくださるでしょうか
先生 また来年 宜しくお願い申し上げます

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光る塩辛

光る塩辛

       ストーリー 沢辺香(さわべかおり)
          出演 平間美貴

近所のスーパーに
めっぽう美味しいイカの塩辛がありまして、
見かけるたびに買っていました。

小さめのビンに「いかの塩辛 無添加」という
名前と材料をそっけなく記しただけのラベルが巻いてあり、
プラスチックの蓋をぽん、と開けると
口一杯までワタの肌色です。
新鮮な半透明の身が甘苦いワタにからんで
くたりとしているところをつまみ出しては、
冷酒のあてやお茶漬けにして
いつも幸せな気持ちで食べました。

東日本有数の、三陸の漁港には、
トロール漁法で揚がったスルメイカがあふれ、
太った胴体が朝日でぴかぴか光るそうです。
売り場にいつもあるわけではないのは、
「いいイカが獲れた時に百本だけ作るから」
とのことでした。

その塩辛を、あの日から見なくなりました。

ですが先日、
台所の奥からあのビンが出てきて、
以前は見過ごしていた文字が目に入ったのです。
「石巻漁港 謹製」。
そうです、あの塩辛は
石巻の心意気から生まれた塩辛でした。

石巻はいま、
地元のひとの努力で、港にも活気が戻りつつあるとききます。
私は久しぶりにぴかぴかの塩辛が食べたくなりました。

だから近く、石巻へ行ってこようと思うのです。

東北へ行こう。


*「東北へ行こう」は
自分のとっておきの東北を紹介し、あなたを東北におさそいする企画です
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古居利康 2013年4月28日

ファミリア            

       ストーリー 古居 利康
          出演 平間美貴

 榊原一郎の頭に生卵をぶつけたのが石留正好だった
ことに驚くものはいなかった。うすうす予感されてい
たことが起こったのだという気がしていた。血相を変
え、すぐさま榊原のそばに駆け寄って黄身と白身にま
みれた榊原の髪の毛をハンカチで拭おうとしているの
は、銀熊二郎だった。
 榊原のほんとうの名前は一郎ではなく彰文で、銀熊
も二郎などではなく泰昭といった。ふたりが一郎、二
郎と名乗っていることを先生は知らない。「ねぇ一郎」
「なに、二郎」と呼びあうのは休み時間か放課後に限
られていたし、まちがってもテスト用紙に「榊原一郎」
なんて書くわけがなかったから。ふたりがそんなふる
まいを通じてじぶんらの親密さをまわりにアピールし
だしたのは夏休みのあとくらいからだった。十月にな
ると三郎が加わった。教来谷三郎。かれもほんとうは
隼という名前があるのに、あるときから三郎になった。
そうこうするうちに四郎が生まれ五郎や六郎があらわ
れ、ついには七郎八郎九郎と、雪崩を打つようにつづ
いて、十郎まできたのは十二月のはじめだった。十ま
でいくと榊原は飽きたのか、十一郎というのはいかに
もつくりものめいていると思ったか、それで打ち止め
になった。
 四十人のクラスのうち二十人いる男子のはんぶんが
兄弟となった。十人兄弟は何をやるにも団体行動をと
った。ほんとうの兄弟みたいに庇いあい、褒めあい、
笑いあっていた。やがて兄弟になれなかったほかの男
子がそわそわしはじめる。石留正好は榊原になんども
頼んでいた。僕を十一郎にしてほしい、と。しかし榊
原はかたくなに首を縦に振らなかった。兄弟は十人ま
でと決めているようだった。榊原は石留を拒み、石留
は正好のままでいなければならなかった。あきらかに
それを逆うらみしての生卵事件。石留はこう叫びなが
ら生卵を投げつけたのだった。
「ほんとはあきふみのくせに!」
 家庭科の授業で卵サンドイッチをつくるために各自
家から生卵を持参した日のことだった。わたしたち女
子は石留の行為をおおむねひややかに傍観していたが、
ぶつけられたのが卵でよかった、というていどの感想
はもった。卵なら怪我はしないし、ふざけあいに見え
ないこともない。もちろん榊原本人には決して愉快な
出来事ではなかっただろう。いくら拭いてもとれない
白い滓のような卵の残骸が髪の毛にこびりつき、冬の
冷たい水道で洗い流すしかなかった。
 銀熊二郎が「だいじょうぶ?一郎」と声をかけ、榊
原一郎が「だいじょうぶだよ、二郎」と答える。ふた
りを他人から隠すように三郎や四郎や五郎が取り囲み、
その外側に六郎七郎八郎九郎が立って二重の壁ができ
ていた。十郎だけが外側を向いてずっと石留のことを
睨みつけていた。
 石留正好はその後、石留ジョンと名乗り、新たなフ
ァミリーの形成をもくろんだ。しばらくして無栗真吾
が賛同してジョージとなり、「やぁジョン調子はどう?」
「まぁまぁってとこかな、ジョージは?」などと言葉
をかわしていた。その後新井田邦光が新井田トムとな
ったが、それきり新しい兄弟は増えなかった。
 あるとき、教室で飼育していた金魚のことを榊原が
「まさよし」と呼びはじめた。榊原は「まさよし」を
いじめるどころかだれよりもかわいがった。「まさよし、
おなかすいてない?」とか、「だいぶ水が汚れたねぇ、
まさよし」とか、生きもの係でもないのにすすんで面
倒をみるようになった。クラスのだれもがその金魚の
ことを「まさよし」と呼ぶようになったころ、人間の
ほうの正好は学校に来なくなっていた。無栗ジョージ
は無栗十一郎になり、新井田トムが新井田十二郎にな
っていた。石留正好があれほど懇願しても拒みつづけ
た十一郎。
「気がついたんだ、十一郎のなかには、一郎が隠れて
るってことに」
 無栗を迎え入れるにあたって、榊原は兄弟たちにそ
う説明した。いったん十一郎をよしとするならば、も
う十二郎だってありだし、次は当然、十三郎が登場す
る流れになるだろう。女子のあいだではいま、「十三
郎に選ばれるのは誰でしょうグランプリ」がおこなわ
れている。参加料は、一口千円。的中すれば総取り。
正解者が複数いれば山分け。さぁてと。残っているの
はだれだっけ。

出演者情報:平間美貴 03-5456-3388 ヘリンボーン所属

 

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平間美貴から「ひと言」

拝啓 花粉地獄真っ只中
皆様ご機嫌いかがでしょうか 

花粉死目前・平間美貴と申します
Tokyo Copywriters’ Streetでは「変身」と「ファミリア」に
参加させて頂きました 
恐縮+光栄しきりです

またりゆるりの現場で楽しませて頂いております

性根がブタの私は
中山さんの現場にいつもある美味しいパンたちにもブヒブヒ夢中です
生まれ変わるなら脂身四割強の豚バラブロックがいいです

ご挨拶代わりに
先日北国にさとがえりした時の写真などなどをば

神社様サイドのユーモアにときめきトゥナイトでございました かしこ

平間美貴:http://www.herringbone.co.jp/talents/name/hiramamiki/

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