星座をつくろう

「星座をつくろう」

     ストーリー 中里智史(さとし)
        出演 清水理沙

夜になると、私は星空を見に行く。

私の暮らす岩手県洋野(ひろの)町は、
本格的な天文台がある。
日本一の星空に選ばれたことをきっかけに
つくられた天文台だ。
「ひろのまきば天文台」という名前のとおり
牧場の高台にあって、まわりには牛がいる。
当然だが、まわりにはネオンがない。空気も澄んでいる。
星がよく見える。
美しい星空は、この町の数少ない自慢のひとつなのだ。

だけど私が星空を見に行くのは、
手を伸ばせば届くくらいに輝く星たちを
ただ眺めに行くわけではない。
私だけの星座をつくるためだ。

その昔インカの人々は、夜空に見える星が多すぎるため
ひとつ、ひとつ星を結んで星座をつくるのではなく、
星のない隙間の形を様々な動物に見立てて
星座をつくっていたらしい。

私もインカの人々にならい、星空の暗闇を見つけていく。
雲の形を何かに例えるように、
輝く星たちの隙間を私は何に例えよう。
さあ、今日はどんな星座が生まれるだろう。

東北へ行こう。


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