雪が降る


出演者情報:清水理沙(アクセント所属:http://aksent.co.jp/blog/300/post_97.html

「雪が降る」              

      ストーリー 丹治奈々(東北芸術工科大学)
         出演 清水理沙

寒さなど感じさせないほど、
元気に走り回る子供たちのまわりに雪が降る。

ベンチで寄り添い
「さむいね」なんて話してる恋人たちの肩にも雪が降る。

三人仲良く帰路につく、女の子たちのカラフルな傘にも雪が降る

今日こっぴどくフラれた、彼の足元にも雪が降る
楽しそうに笑い合う家族の窓にも雪が降る。

道路に落ちた猫のキーホルダーにも雪が降る
はみだして停めてある自転車にも雪が降る。
ぽつんと寂しげに佇む街頭の上にも雪が降る。

「雪、降ってきたね」と空を見上げる君の眼鏡にも雪が降る
「本当だ」とつられて空を見上げた私の髪にも雪が降る

嫌な事があった日も落ち込んでいた日も雪が降る。
誰にも踏まれていないまっさらな雪の上に一歩を踏み出して
明日も少し頑張ってみようと思う。

きっと明日も、飽きもせずに雪が降る。

東北へ行こう


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津軽・七つの雪

「津軽・七つの雪」篇

         ストーリー 山中貴裕
            出演 内田慈

拝啓 あなたへ

こんなメールやケータイの時代に
ぎょうぎょうしく手紙をしたためて送ることを驚かないでください。
なにか深刻な告白や、初めて明かされる新事実があるわけではなく、
ただ、なんとなく、
津軽の冬が私をそういう気分にさせただけなのです。

津軽に降る「七つの雪」を小説に書いたのは、太宰治です。

こな雪
つぶ雪
わた雪
みず雪
かた雪
ざらめ雪
こおり雪

私がこの町に辿り着いた日は、
こな雪が地吹雪になって吹き荒れていて
息もできないほどでした。
乗っていたストーブ列車がぐらぐら揺れたりして
ちょっと怖かった。

きのうの夜は、ざらめ雪が降りました。
宿のトタン屋根にぱちぱちと何かが爆ぜるような音がして、
おもわず窓をあけて外を見ました。
てのひらで受け止めると、
確かにざらめのような荒い雪の粒が
肌にあたって弾んで、やがて私の体温に溶けてゆきます。
しばらく暗闇に手をさしのべて
雪の冷たさをたのしみました。

毎朝、宿の前を
キシリキシリとこおり雪を踏んで
新聞配達の少年が通ります。
「こどもの頃に新聞配達をしていた」と
あなたが言っていたことを思い出して、
少年時代のあなたを想像したりしています。

津軽の七つの雪をぜんぶ見たら、
私はこの旅を終えてあなたの町へ帰ります。

それまで、
プロポーズの返事は待ってもらえますか?

―――東北へ行こう。

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白神山地ビジターセンターhttp://www.shirakami-visitor.jp/

青森案内名人http://www.atca.info/

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