息子の勧め


出演者情報:地曳豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html

息子の勧め

     ストーリー 旭岡宗宣(東北芸術工科大学)
        出演 地曳豪

「スキー場が近くていいなあ。」と
山形の大学に来てから何度も親父に言われる。
僕は別に遊ぶために来た訳じゃないのだが、
確かにスキーをするには最高の立地に僕の家はある。
親父のいる栃木の実家は1番近いスキー場でも日帰りは一苦労だ。
それに比べて僕の家は30分もあれば行けるし、
山ほどスキー場はあるので
趣味の域を超えてスキーを愛する親父が羨ましがるのも無理はない。

「スキー場行き放題じゃん。いいなあ。」なんて言われた。
実際そんなに行かないし、雪が降ると登下校が大変で
ついには雪に飽きてくると言っても、
連絡を取るたび「いいなあ」と言ってくる。

もうそんなに羨ましいのなら冬の間だけ山形で家を借りて
近くのスキー場でインストラクターのバイトでもしたらどうだろうか。
親父はもう退職しているのだし、自分の好きな土地で暮らせる。

来週の天気予報は雪マークだと親父にラインをしたら
またしても「いいなあ」と言われた。
今シーズンは試しに山形に来てみるというのはどうだろうか。
僕は勧めることにした。

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寒い街


出演者情報:藤谷みき http://ameblo.jp/knockonwood/

寒い街              

      ストーリー 若菜くるみ(東北芸術工科大学)
         出演 藤谷みき

山形に暮らして4年がたつ。
まだ、寒さには慣れない。

今朝は山鳩の鳴き声で目が覚めた。
室温は3度。顔が冷たい。
ピンポンとチャイムが鳴る。
ニコニコ顔の大家さんが
段ボールいっぱいのじゃがいもとたまねぎをくれた。

マフラーを巻いて、ダウンを着て、長靴を履いて雪道を歩く。
バイト先の小さなコンビニは、10時で閉まるけれど、
何でも売っている。
野菜にお肉、駄菓子にお酒、文房具、衣類、小学校のジャージ。
その横には店のおばあちゃんが作った野菜が
『ご自由にお持ちください』なんて置いてある。
おかげで野菜は全然売れない。おおらかな店だ。
『ほら、あんたも人参持ってけ! ブロッコリーも!』
賞味期限が近いウインナーまでもらってしまった。

これは、今日はシチューだな、と思った。
買ったのはルーだけなのに、大きなビニール袋だ。

寒い部屋の中で食べるシチューはとてもおいしいだろう。
白い息を吐きながら、寒いけどあったかいな、と思った。

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歩いて 食べて 眠って 見つめる

歩いて 食べて 眠って 見つめる

      ストーリー 小泉遥果(東北芸術工科大学)
         出演 井上加奈子

明日晴れたら、月山を登ろう。
山道を彩る木や草。すれ違う人との会話。
近くから、遠くから聞こえる鳥の声。
山頂から見える空の高さ、町の暮らし。

雨が降ったら、
露天温泉に入ろう。
冷たい雨を受け止めて、ぽかぽかの温泉に浸かるなんて、
そうめったにできない。

雪が降ったら、手打ち蕎麦を食べよう。
ふうふうしながら、温かいそばを食べる。
どのお店に行っても、一番さいしょの“お通し”では、
自慢のツケモノがきっとでてくる。

晴れでも、雨でも、雪でも、
人気のナイ夜道を鼻歌まじりで帰ろう。
どの道にも川が流れているから、さみしくなんてない。

山のカタチをなぞるようにして、
歩いて 食べて 眠って 見つめる。
大きな自然を、体中で感じよう。

山形へ、東北へ行こう。

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誰もいない

誰もいない
       ストーリー 富樫美帆(東北芸術工科大学)
          出演 山田キヌヲ

学校から家までの距離は7キロ。
車で15分。自転車で60分。
冬の時期は、ずっと続く真っ白な道を
2時間ひたすら歩いて帰らなきゃいけない。

日が沈んでくると、あたりは急に暗くなり、
街灯と、家の灯りがぽつぽつと浮かび上がる。
山形はただでさえ人口が少ないのに、
冬の夜はみんな冬眠したのではないかと思うほど、
ほんとうに人っ子ひとりみあたらないのだ。

鼻からすいこむ空気も冷たくて、すべてが澄んでいる。
ほおにあたる冷たく厳しい風がなんだか寂しい気持ちにさせる。
早く家に帰ってこたつに入りたい。

急ぎ足で帰ると、
母が寒鱈汁を用意してくれていた。
真冬の厳しい海を耐え抜く鱈は
まるまると太っていて、脂がのっている。
蓋をあけると湯気があがって、いい匂いがした。
食べ終わるころには体もあったかくなっていた。

そうか、誰もいないのはこういうことだったんだ。

雪の積もった屋根の下で
人が寄り添い、あたため合っている。
人が人をあたためている。

山形の冬はとってもあったかい。

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宝箱

「宝箱」

          ストーリー 竹原知里(東北芸術工科大学)
             出演 石橋けい

太平洋側に住む人にとって、
太陽は海から登り、山に沈むもので
日本海側に住む人には、山から登り海に沈むもの。

いつだったか、先生に言われて
「なるほど~!」と思ったのですが
この町ときたら、太陽は毎日山から顔を出しては、
夕方にまた山へと帰っていくんです。
そりゃあ、山形って言うくらいですから、
山があるのは当たりまえなんでしょうけど
東西どころか、北を向いても南を向いても、
ぐるりと緑の壁に囲われて、
まるで大きな箱の中にいるような…。

ああ、でも勘違いしないでください。
決して窮屈だとか、悪いものだとは思ってなくて。
そう、小さなころに、宝物を詰めていたクッキーの缶。
あれと同じです。
この町は大きな宝箱。
中には、豊かな自然と、おいしい野菜にくだもの。
熱帯のような夏に真っ白な雪。
たくさんのラーメン屋さん、芋煮。

こぼれそうな星空、ポストカードのような綺麗な夕日

数えきれない宝物を、これでもかと詰め込んだこの町で、
今日も私たちは幸せに暮らしているのです。

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やまがたにあるもの

「やまがたにあるもの」

        ストーリー 青山美咲(東北芸術工科大学)
           出演 藤崎ミシェル

高いビルはない。
車はいっぱい。
でも人は、そんなに歩いてない。
電車もバスも、びっくりするほど走ってない。
夜遅くまで開いているお店も、あんまりない。

でも、
夕日の沈む山がある。
魚のいる澄んだ川がある。
絵本の世界みたいな、雪の森がある。

私は、ここにきてはじめて、星が数え切れない空を見た。

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