田舎者の勝ち(東北へ行こう2017)



「田舎者の勝ち」

     ストーリー 庄司結衣(東北芸術工科大学)
        出演 藤谷みき

最近、都会の子と喋った。
その子は、石に石で絵が描けること、
帽子がないどんぐりがハゲ頭みたいなことを、知らなかった。
小さい頃見ていたアニメや漫画、雑誌、
遊んできたゲームやスポーツはほとんど一緒なのに、
たった一つ、『外での遊びかた』だけが違った。
その子が知らないことを私は知っていた。

道端に生えている草の名前や遊びかた、
秘密基地の作りかた、
田んぼの脇の、透き通った冷い水も、都会の子は知らない。

田舎は何もない。でも自慢できることはたくさんある。
都会のお店は田舎にも立てられるけど、田舎の遊びは都会ではできない。
都会にいたら、知ることもできない。本には載っていないから。

田舎の勝ちだね。

このまま田舎に負けるくらいなら、まず田舎を知ってみませんか。

東北へ行こう



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小山佳奈 2016年3月6日

koyama
「桜の季節のとある話」

   ストーリー 小山佳奈
      出演 藤谷みき

王様は困惑していた。
王様には生き別れた双子の弟がいる。
皇太后、つまりは、自分の母親が、
死ぬ間際に王様を一人、部屋に招き入れ、
泣きながらそう告白した。
この国の古くからの言い伝えで、
双子はその家に災厄をもたらすもの、
特に王族でそれは禁忌に近く、
双子は生まれた瞬間に片方だけ野に放り出されるのが常だった。
母親はそれがどうしてもどうしても嫌で、
出産の狂乱状態の中で乳母たちに懇願し、
極秘で母親の郷里近くの村の老夫婦に引き取ってもらったという。
王様はその弟の行方を調べに調べさせ、
ようやくその居場所を突き止めた家来の報告をいま聞いている。
「我が弟はどこにいる」
「は。はるか遠く東の果ての小さな島国におられます」
「かわいそうに。して、その地で何をしておる」
「ユーチューバーになっています」
「え?今何って言ったの?」
「ユーチューバーです」
「チューバ?楽団員か?」
「いやユーチューブに動画をあげてPVでお金を稼ぐ人たちです」
「全然わかんないんだけど、それは素敵な仕事なの?」
「はい、若者を中心にとても人気があります。見てみますか?」
「うん」
王様は家来が開いたパソコンをじっと見ていた。
「っていうか、そもそもこの銀のまな板みたいなものは何?」
「これは説明しだすと長くなるので後で」
そこでは、桜の木の枝を頭につけた裸のおじさんが、
炭酸を一気飲みして鼻から吐いたり、
はちみつを全身に塗って蜂の巣に突進したりしていた。
「こんな拷問のようなことが金になるのか?」
「はい。少なくとも我が国の国家予算は軽く超えるほど稼いでいます」
「えー」
「しかもアカウント名がですね」
「え、何?」
「要は名前がですね、”キングスブラザー”っていうんです」
「どういうこと?」
「つまり、この弟さんは自分が王様の弟であるということを知ってるんです」
王様は困惑した。
王様の描いていたシナリオは、
異国の地で頼るべき身寄りもなく辛酸をなめているであろう弟を、
ある日突然迎えに行き「弟よ」とこの手に抱きしめ、
何も知らずに驚く弟を国に連れて帰り、
王族として盛大に迎え入れるというもので、
なんなら相応の婚姻も用意しようと思っていた。
「結婚はしているの?」
「えぇ、インスタグラマーと結婚しています」
「え?何?」
「一応ネット上でメッセージを送ってみたんですけど
 ”元気にしてるんで、構わないでください。
  それよりそっちもがんばってチョリス”って」
王様はもはや聞き返す気力もなかった。


出演者情報:藤谷みき http://ameblo.jp/knockonwood/

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寒い街


出演者情報:藤谷みき http://ameblo.jp/knockonwood/

寒い街              

      ストーリー 若菜くるみ(東北芸術工科大学)
         出演 藤谷みき

山形に暮らして4年がたつ。
まだ、寒さには慣れない。

今朝は山鳩の鳴き声で目が覚めた。
室温は3度。顔が冷たい。
ピンポンとチャイムが鳴る。
ニコニコ顔の大家さんが
段ボールいっぱいのじゃがいもとたまねぎをくれた。

マフラーを巻いて、ダウンを着て、長靴を履いて雪道を歩く。
バイト先の小さなコンビニは、10時で閉まるけれど、
何でも売っている。
野菜にお肉、駄菓子にお酒、文房具、衣類、小学校のジャージ。
その横には店のおばあちゃんが作った野菜が
『ご自由にお持ちください』なんて置いてある。
おかげで野菜は全然売れない。おおらかな店だ。
『ほら、あんたも人参持ってけ! ブロッコリーも!』
賞味期限が近いウインナーまでもらってしまった。

これは、今日はシチューだな、と思った。
買ったのはルーだけなのに、大きなビニール袋だ。

寒い部屋の中で食べるシチューはとてもおいしいだろう。
白い息を吐きながら、寒いけどあったかいな、と思った。

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