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関陽子 2022年9月11日「トンボの恩返し」

トンボの恩返し

ストーリー 関陽子
    出演 平間美貴

私は今、トンボに乗って空を飛んでいる。
おっきなトンボに乗った小さな女の子・・いやいい歳の女。
月の下を横切っていけば、
E.Tばりのポスターになりそうじゃない?

年に一度、
ここの住人であるトンボや蟻たちには迷惑な人間たちの祭りがある。
地響きするビート、空気を震わせるメロディ、飛び散るお酒や汗、
のんびり茂った原っぱを踏み荒らす足・足・足。
人工ピンクのキャンプチェアの先っちょに一匹のトンボが止まった時、
だから、私はその目を見て、いや、目を見た気になって、
「今日はお邪魔してすみませんねー」と謝ってみた。
3度目の乾杯でふわふわしていたから、かもしれない。

「私、昼間のトンボです」
夜中。トイレに起きてテントを出た私の目の前に
グライダーぐらいのトンボがいた。そして羽をさわさわ揺らして
静かに名乗ったのだった。夢?いや夢じゃないぞ。

「ほんと迷惑なんですよ、この3日間。
子供たちには追いかけ回されるし、大人たちには追い払われるし、
音圧って言うんですか?あれで震えちゃって羽が休まらないし。
でも、あなたは優しく、気遣ってくれた。
ささやかですがお礼をさせてください。
私に乗ってくださいよ。大丈夫、トンボの背中は意外と頑丈ですから」

さて、ニルスのふしぎなトンボは、会場のステージに降り立った。
ステージの上には他にも巨大な二匹のトンボが待っていた。
「お礼に、僕らの音楽も聴かせたいなって。
ドラゴンフライズのハーモニー、聞いてみてください」

さりさりさり・・
しるしるしる・・
せろせろせろ・・
うすーく、広―く、ながーい羽と羽をこすり合わせて、
かき氷のように涼しげで、でも霜柱のようにはかない
三重唱が、夜明け前の一番深い夜空に立ち昇る。
さりさりさり・・りりり

私は、ステージの最前列で、たった一人の観客として耳を澄ませた。
いや、たった一人の人間の観客として。
きっと、地面の下で、草花の陰で、無数の生き物たちが、
このトンボのアカペラを聴いてくつろいでいるのだろう。
「今夜はお邪魔して、すみませんね。
そして、ありがとう」

3年ぶりに出かけた先で
ビールと太陽が生んだ妄想を、物語にしてみました。



出演者情報:平間美貴 03-5456-3388 ヘリンボーン所属

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磯島拓矢 2022年9月4日「トンボ」

「トンボ」

  ストーリー 磯島拓矢
     出演 大川泰樹

小学生になった息子が、軽快に自転車を飛ばしている。
僕は後をついていく。
その背中には、できることが増えたよろこびが満ちている。

公園の散歩道に入る。
彼は何台もの自転車を追い抜いてゆく。
こんなにゆっくり漕げるなんて逆にすごい!
と思えるおばあさんはもちろんのこと、
小さい女の子をのせた若い母親、高校生くらいの男の子も追い抜いてゆく。
男の子は大声で歌を歌っていた。
元気でいい歌声だった。

トンボが飛んできたのは、そんな時だ。
息子の前をスーッと横切る。
当然視線はそちらに流れる。
そして、転んだ。
大きな石をよけそこなったのか、原因はわからない。
ただただ見事に転び、かごに入っていたザリガニ獲りの道具をぶちまけた。
急停止して自転車のスタンドを立てようともたもたしている父親の横を、
3つの影が通り過ぎた。
歌っていた男の子が、すごい勢いで息子に駆け寄る。
「大事大事、荷物は大事だよ!」
と言いながらぶちまけた道具を集めてくれる。
若いお母さんはいつの間にか息子の脇で立ち上がるのを助けてくれている。
小さな女の子も「大丈夫?」と彼のズボンの泥を払っている。
もう無茶苦茶可愛い。
そしておばあさんは自転車にまたがったまま
「大丈夫かい?頭打ってない?大丈夫かい?」
繰り返し語りかけてくれる。
もはや僕のやることはなく、ただただその光景を見つめていた。
息子も呆然としている。それは、転んだショックというよりは、
突然、圧倒的善意に囲まれた戸惑いのように、僕には見えた。

「じゃあね気をつけてね」
ケガがないとわかると、4人は立ち去ってゆく。
僕は慌てて背中に向かって声をかける。
「ありがとうございます」
息子もようやく我に返り「ありがとうございます!」と叫ぶ。

愛とは何かという命題に対し、たくさんの人が様々な名言を残している。
僕はそこに「愛とは反射神経だ」という一言を加えようと思う。
転んだ人に手を差し伸べる。転びそうな人に手を伸ばす。
これはもう、反射神経だ。
人を助けるために、人の身体は自然と動くようにできている。
息子に駆け寄ってくれた4人から、僕はそんなことを感じた。
愛とは反射神経だ。
人の身体にあらかじめ備わっているもの。そして、
脳が指令を出す前に、突然発露されるもの。

目の前を再びトンボが横切る。
先ほどのトンボと同じかどうか、それはさすがにわからない。
「お~い、トンボだぞ」僕は息子に話しかける。
「いいよ別に」
転んだのはコイツのせいだと言わんばかりに、彼は口をとがらせている。
まあ怒るな。
トンボのおかげで、お父さんはいい風景を見ることができたんだ。

出演者情報:大川泰樹 03-3478-3780 MMP所属

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田中真輝 2022年8月28日「表彰」

「表彰」

ストーリー 田中真輝
   出演 遠藤守哉

とある夏の日。
俺があまりの暑さに朝から何もせず
クーラーの効いた狭いワンルームでグダグダしていると、
玄関のチャイムが鳴った。

面倒くさいなど思いながらドアを開けると、
そこには、この暑さにも関わらず
かっちりとしたスーツに身を包んだ初老の男が立っていた。

「こんにちは、今田義彦さんですね?
わたくし、日本政府の方から、あなたを表彰するために伺った者です」

日本政府?の方?表彰?新手の押し売りだと思った俺は、
間に合ってますなどと言いながらドアを閉めようとする。

「ちょちょちょ、ちょっとまってください。
わたしは正式な政府の人間です。
賞状だけじゃないんです、ちゃんとした副賞もございますので!」

副賞、と聞いて少しひるんだ隙をついて、
その男は強引にドアの隙間に足を突っ込むと、
恐るべき柔らかさで身をくねらせながら玄関に侵入してきた。

「皆さん、最初は警戒されるんです。
でもなんてったって、日本政府からの表彰ですから。
副賞付きの。そんな名誉をご辞退されるなんて、ねえ?」

そういいながら、
男は手にしていた筒からおもむろに丸まった紙を引き出すと、
その場で読み上げ始める。

「表彰状、今田義彦殿。
あなたは日々、朝起きてから夜寝るまで、
余計な情熱を燃やすこともなく、与えられた仕事を淡々とこなし、
褒められもせず、けなされもせず、
でくのぼうと呼ばれることも特になく、
ひたすらにごくごくあたりさわりないのない生活を続けられていることを、
日本政府として、ここに賞します。はい、賞状と副賞をどうぞ」

賞状と、「現状維持」と書かれたキーホルダーを渡される。
このキーホルダーが副賞なのだろう。
あっけにとられている俺に、政府から来たという男は、
こぼれんばかりの笑顔で話し続ける。

「なぜわたしが、と皆さんおっしゃいます。
しかし意外とあなたのような方はいらっしゃらないんですよ。
ええ。SDGsという言葉をご存じですか?
持続可能な成長目標、というやつです、
ええ。昨今の資本主義社会は、経済成長を重視し過ぎた挙句、
環境と人類の存続を脅かすまでになってしまいました。
日本政府はこの問題を解決するために、
まったく成長もしない、かといって負担にもならない、
そういう毒にも薬にもならない稀有な存在を、
ゼロ・エミッション生活者と名付け、表彰するという政策を打ち出したのです。
はい、そうです、あなたはその厳しい条件に適合した、
貴重なゼロ・エミッション人材なのです!おめでとうございます」

そういうが早いか、自称政府の男は私の手をとって猛烈に上下に振り始めた。

「今田様には、これからもぜひ、何の野心も好奇心ももたず、
粛々と人生を生きていっていただきたい!
いやもちろん、言うほど簡単なことではないでしょう。
周りの人から、そんな無気力なことでどうするといわれることも
あるでしょう。
しかし、そんな甘言に心を動かされてはなりません!
あなたはありのままのあなたでいい!
そこに存在するだけでよいのです。
もともと特別なオンリーワンなのですから!」

涙ぐむ男を見て、俺も少し胸が熱くなる。そうか、俺はこのままでいいのだ、と。

満面の笑みで去っていく政府の男を見送って、後ろ手にドアを閉める。
クーラーが効いた、ひんやりとした部屋に戻ると、手にしたキーホルダーを
眺め、現状維持、とつぶやいてみる。

目の前にまっすぐな道が見える気がした。まっすぐ、どこまでも続く一本道。
ふと見上げた窓の外から、ヒグラシの鳴き声が聞こえる。
今日も、何もしなかった一日が暮れていく。



出演者情報:遠藤守哉

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いわたじゅんぺい 2022年8月21日「かんな 2022夏」

かんな 2022 夏

     ストーリー いわたじゅんぺい
       出演 齋藤陽介

かんなは小学生になった。
特に泣いたりすることもなく、
毎朝、登校班の集合時間の10分前に、
張り切って集合している。

ランドセルはピンク。
一年生なので黄色いカバーをかけているが、
ピンクのランドセルを背負って
小学校に通っている。

ランドセルは重い。
教科書やノートだけでも
十分重いのだが、
最近の小学生はさらに
ノートパソコンを持たされる。
うかつにランドセルを渡すと
よろけるくらいに重い。

でも、それに鍛えられたのか、
スーパーに一緒に買い物に行った時、
リュックを持たせてその中に
キャベツや山芋なんかを入れたのだが、
「ぜんぜんかるいよー」
とご機嫌に持ってくれた。

最近のトレンドは「うんてい」で、
端から端まで
一人で渡れるようになったらしい。

好きな科目は「ずこう」。
これは僕と同じだ。

給食は食べるのが遅くて
毎日ちょっとずつ残すらしい。
晩ごはんものんびりずっと
食べているタイプなので、
決められた時間で食べるのは
苦手なのだろう。

それでも給食は楽しみなようで、
「あしたのきゅうしょくなに?」
とよく聞かれる。
「じゃこご飯って書いてあるよ」
と僕が冷蔵庫に貼ってある給食便りを見ながら答えると、
「じゃこってなに?」
と聞くので
「小さくておいしいおさかな」
と答えると
「えもいさかな?」
と聞かれた。
「えもい?」
どう言う意味で「エモい」を
使っているのかわからなかったが、
おもしろかったので
「そうだよ」と答えておいた。

ひらがなもだいぶ書けるようになってきた。
書けることが楽しいのか、
買い物用のメモも率先して書いてくれるのだが、
ひらがなで、

ぶにゃぶにゃのほれいざい
まぎーぶいよん
せりあでせんめんきおおきめ22せんちいじょう

と隙間なくびっしり書かれていると
何かの呪文にしか見えない。

夜はトントンとお腹の辺りを
叩いてあげてないと眠れないのだけど、
僕も妻も急ぎの用があって
トントンできなかった時は、
仕方なく自分でお腹の辺りを
トントンと叩きながら寝ようとしていた。
けなげな子である。

半年前は自分のことを
「はむちゃん」
と呼んでいたが、最近は
「ぽにーちゃん」
と呼んでいる。
近所のポニーランドで
白いポニーに乗って以来、
ポニーが好きになり
そう呼んでいる。
かわいいといえばかわいいが、
「ぽにーちゃん」は
「おにいちゃん」
と聞き間違えやすいので、
親としては迷惑ではある。

サザエさんを見ていた時、
アナゴさんを見て
「このひとのくちびる、はだいろだよ!」
と驚いていた。
アナゴさんの唇の分厚さじゃなくて
色に着目する人を初めて見た。
いい目の付け所だ。

目の付け所といえば、
この前急に
「いちばんさいしょのひとはだれがうんだの?」
と質問されて、答えに窮した。
一番最初の人を生んだ人は
その人が一番最初の人になるから、
永遠に一番最初の人が
特定できないパラドックス。

僕がうなりながら感心していると、
もうその質問は忘れたように
かんなは七夕飾りをつくっていた。

折り紙を何回か折って切れ目を入れて、
広げると網のようになる飾りを作ろうとしたけど、
切り方を間違えて全然広がらず
「あれー?」と言っている。

今年の短冊には、
「かぞくみんながなかよくくらせますように」
と書かれていた。



出演者情報:齋藤陽介 03-5456-3388 ヘリンボーン所属





かんな 2022冬:http://www.01-radio.com/tcs/archives/32004
かんな 2021春:http://www.01-radio.com/tcs/archives/31820
かんな 2020夏:http://www.01-radio.com/tcs/archives/31699
かんな 2019冬:http://www.01-radio.com/tcs/archives/31528
かんな 2019夏:http://www.01-radio.com/tcs/archives/31025
かんな 2018秋 http://www.01-radio.com/tcs/archives/30559
かんな 2018春:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30242
かんな 2017夏:http://www.01-radio.com/tcs/archives/29355
かんな:http://www.01-radio.com/tcs/archives/28077

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三井明子 2022年8月14日「50肩の夏」

50肩の夏

  ストーリー 三井明子
    出演 平間美貴

夏に出かけても暑いだけだし
夏に出かけても日に焼けるだけだし
夏なんてみんな汗だくで
夏なんて好きじゃなかったのに
夏なんて全然好きじゃなかったのに
夏だからってやたら出かけたがる人たちを見て ちょっとひいてたのに
夏だからってはしゃいでいる人たちを見て さめてたのに
今はすごくうらやましい

原因は腕
腕というか肩
正直に言うと50肩
30代なのに50肩?
どうやら年齢関係なく50肩っていうらしい

なんだか腑に落ちないけれど
とにかく50肩になって以来さんざんだ
歯磨きも手を洗う事だって不自由
ましてや髪を洗うのは大仕事
着替えるのも大変で
もう見た目なんかかまってられたもんじゃない
ちょっと出かけるのもひと苦労

出かけられないとなると出かけたくなる
人間の習性か
私があまのじゃくなのか

夏の日差しの中、出かけたくなんかなかったはずなのに
夏の暑い中、汗だくの人になんか会いたくなかったはずなのに

な〜んていう独白でストーリーがはじまると
体の不調をきっかけに
夏という季節を見つめ直し
夏に出かけることを好きになっていく
新しい世界を、新しい自分を、見つける
そんな前向きな展開になっていきそうですよね

ところが
ところがなんです
その後、なんとか、50肩は治りましたが
翌年の夏、
どこかに積極的に出かけたりすることはありませんでした
あの経験をきっかけに
夏を好きになるなんてこと、まったくありませんでした
もちろん今年の夏もなるべく出かけず、家にこもってゲームです

人間そんなに変われるもんじゃありませんね
なにかをきっかけに、人は成長できることを知る、
という話は多いけど
実際には、
なにかをきっかけに、人はそう簡単に成長できないことを知ることのほうが
多いと思うんです
夏が、50肩が、教えてくれました。



出演者情報:平間美貴 03-5456-3388 ヘリンボーン所属

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佐藤充 2022年8月7日 「ラオスにて、夏。」

ラオスにて、夏。

     ストーリー 佐藤充
        出演 地曳豪

2時間待っている。
ラオスのメコン川に浮かぶシーパンドン島にいる。
電気も通ってない。特に見所もない。法律もない。
欧米のバックパッカーが朝から葉っぱを吸っている。
フライドライスを注文したのは2時間前。
「まだ?」
「今、作っているから待ってくれ」
作っている様子はない。
ラオス人は気まぐれでマイペースで怠け者だ。
太陽も月とすぐに交代したがる。
足元には野良犬が寝ている。
ビールだけが注文してすぐくる。
空きっ腹にはしみる。

日本を出て1ヶ月になる。
このお金は、
就活には自動車免許がないと不利になるから30万貸してくれ、
夏休みに免許合宿に行くから、
と留年したことを隠し就活しているふりをして
親から騙しとったお金だ。
そして、就活しているふりをする罪悪感に耐えられなくなり、
そのお金で日本から後ろめたい気持ちで逃げてきた。
こんなことしたらダメじゃん、と思う。
親不孝者だ、とも思う。
そんな男にも彼女はいる。
彼女には出発前に、キミは無職になる気がするけど、
無職になっても好きな気持ちは変わらないからね、と言われた。
地味に傷ついた。
このような極悪非道なことをしているくせに
地味に傷つくほどの自尊心が自分にまだあることに気づき
恥ずかしくなった。
またビールを飲む。

無職の自分を想像する。
お金もない。甲斐性もない。そのくせ見栄だけは人並みにある。
きっと無職でも彼女に就職したふりをして、
スーツに袖をとおし毎朝うしろめたい気持ちで家を出る。
ああ、いつになったらおとなになれるのだろう。
またビールを飲む。

それにしても、毎日のビール代が1番の出費だ。

西日が差すメコン川を、飲みかけのビールの瓶越しに眺める。
ガラスのなかで屈折する光には不思議な力がある。
別な時間を覗き込んだような気分がする。

「おとなだ!あそこにおとながいるぞ」
「わ、おとなって本当にいるんだ」
「はじめてみた」

いつか子供たちがおとなを見て言う。

龍、天狗、河童、おとな。

数百年後にはおとなは龍などと並んで架空の生き物と言われている。
世界には子供しかいない。そしておとなには羽が生えている。
子供たちはおとなを見つけては追う。
追っては石を投げ捕まえ、
羽をむしり、お尻の穴に綺麗なビー玉を入れたりする。

おとなは必死に逃げる。
子供から、仕事から、結婚から、納税の義務から、光熱費の支払いから、
日曜日のサザエさんから、満員電車から、
上司からのインスタグラムのフォローリクエストから、
自分にだけ反応してくれない自動ドアから、
気づいてくれない松屋の店員さんから、
バレンタインデーの日の妙な緊張感から、
エレベーターでたまたま同じ階の人と一緒になった気まずさから、
好きな女の子が過去に16人と付き合ったことがあるという事実から、
うるさい人とめんどくさい人が有利なことが多いこんな世の中から、
「なんで怒られてるかわかる?」という
どう答えても怒られる気がする質問から、
「あなたのためを思って〜」という守備範囲の広い
優しさに見せかけた自分のことしか考えていない人から。

嫌なことすべてから逃げるためおとなは羽が生えた。

ビール瓶を覗くのをやめた。
生ぬるくなった液体を全て飲み干す。
ようやくフライドライスがきた。
チリソースで甘辛い。
ここでの生活も悪くないと感じる。

待っている間に蚊に数カ所刺されていた。



出演者情報:地曵豪 http://www.gojibiki.jp/profile.html

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