2019 年 4 月 のアーカイブ

蛭田瑞穂 19年4月14日放送


Photo by Alex Hockett on Unsplash
生まれるとき モロー反射

大きな音がしたり、体が傾いたり、
外から刺激が与えられると、赤ちゃんは体をビクッとさせ、
万歳をするように両手を広げることがある。

この動きは「モロー反射」と呼ばれる。
オーストリアの小児科医エルンスト・モローが発見した。

モロー反射は危険を感じた赤ちゃんが
とっさに母親に抱きつこうとする動作とも言われる。

しゃべることも、ひとりで食べることもできない赤ちゃんだが、
小さな体で必死に生きようとしている。

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蛭田瑞穂 19年4月14日放送


Amy Nguyen Photography
生まれるとき 把握反射

生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらを指で押すと、
その指を赤ちゃんが握りしめることがある。

この動作は「把握反射」と呼ばれる、
新生児に備わる原始反射のひとつ。

新生児は親に感情を伝えることができない。
しかし、原始反射という無意識の動作によって、
親と子の間に強い結びつきが生まれると考えられている。

把握反射は通常、生後5ヶ月から6ヶ月で消えていく。
赤ちゃんらしいその動きがなくなるのは寂しくもあるが、
成長のたしかな証でもある。

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星合摩美 19年4月14日放送



生まれるとき こんにちは赤ちゃん

昭和38年にリリースされた歌謡曲「こんにちは赤ちゃん」。
NHKの番組で紹介されると瞬く間にミリオンセラーを記録。
今でも耳にする昭和の名曲だ。

その歌詞は、生まれてきた赤ちゃんに
ママが優しく語りかけるというものだが、
元々はパパが赤ちゃんに語りかける歌詞だった。

作詞家は永六輔。
父親になった作曲家のために詞を書いた。
ところが、歌手に女性が起用されたため、
永は急遽、歌詞をママの視点に書き替えた。

子の幸せを願う気持ちは、

ママもパパも変わらないということ。

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星合摩美 19年4月14日放送


tak1701d
生まれるとき 御子守帯

中央区日本橋に鎮座する水天宮。
暦の戌の日には、境内は多くの妊婦さんで賑わう。

この神社の安産祈願のお守りは
「御子守帯(みすずおび)」と呼ばれるさらしの帯。

江戸時代、社殿の鈴の紐で作った腹帯を巻いた妊婦が
安産だったことに由来する。

現代では腹帯を巻く習慣はほとんどなくなったが、
安産祈願の儀式として受け継がれている。

安産を願う儀式は、母になる決意の儀式でもある。

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野村隆文 19年4月13日放送


m-louis
喫茶店の話 〜喫茶店の略語〜

今日4月13日は、
日本で初めて喫茶店がオープンした日。

その昔、喫茶店での待ち合わせは、
デートコースの定番だった。

注文は、略語で頼むのがセオリー。
たとえば、「レスカ2つ」。
これはレモンスカッシュのこと。

他にも、アイスコーヒーを、レイコー。
クリームソーダを、クリソ、などなど。

レトロな喫茶店が再注目されている今、
ちょっと気取ったオーダーに挑戦してみてもいいかもしれない。

注文が通れば、気分は昭和の学生か、はたまた大正の文豪か。

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野村隆文 19年4月13日放送


白石准
喫茶店の話 〜喫茶店の椅子〜

「喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子だ」
と語ったのは、作家の片岡義男。

ある名古屋の喫茶店は、
時代とともに変化する日本人の体型に合わせ、
ソファのサイズについて徹底的に研究を重ねた。

別の京都の喫茶店は、椅子を必ず一脚ずつ修理に出す。
修理されて戻ってきたときに、
店の雰囲気がいつもと変わらないように、という心遣いからだ。

ゆったりと落ち着ける空間が、
喫茶店の一杯をさらにおいしくするのかもしれない。

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野村隆文 19年4月13日放送



喫茶店の話 〜カップの向き〜

喫茶店で、運ばれてきたコーヒー。
そのカップの取手は、右と左、どちらに向いているだろうか。

右に向いていると、ブラックがすぐに飲める。
「アメリカ式」と呼ばれる、合理的なセッティング。

一方、左に向いていると、左手で取手を抑えられる。
そうすると、右手で砂糖やミルクを入れ、スプーンで混ぜやすい。
「イギリス式」と呼ばれるのは、紅茶の文化が根付いているからだろうか。

左利きだと話は変わるし、
どちらが正解、というわけでもない。

ただそこには、
おいしいコーヒーを、できるだけ気持ちよく楽しんでほしいという、
ささやかな心遣いが見え隠れしている。

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野村隆文 19年4月13日放送



喫茶店の話 〜ふたつの銀ブラ〜

現存する日本最古の喫茶店、カフェーパウリスタ。
1911年の開業から、今年で108年を迎える。
銀座通りに面した席からは、今もなお、
「」する人たちを眺めることができる。

さて、「銀座の街をぶらぶら散歩すること」を表すこの言葉。
実は、もう一つの由来があると言われている。

なんと、
「銀座のカフェーパウリスタに、ブラジルコーヒーを飲みに行くこと」
だという。
開業当時、店に好んで通った学生たちが流行らせた言葉だとか。

真偽のほどは定かではないが、
銀座という街を歩くこと、そしてその街の喫茶店でコーヒーを飲むことが、
長く愛されてきたことは確かだろう。

ふたつの「銀ブラ」を楽しめるカフェーパウリスタは、
今も銀座の街を静かに見守っている。

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野村隆文 19年4月13日放送


IZAYOI_YUKARI
喫茶店の話 〜一息へのこだわり〜

なぜ、喫茶店は落ち着くのか。

コーヒーの香りは、
脳にリラックス効果を与えると言われている。

また人間の脳は、
適度な話し声やBGMがある方が集中できるという。

さらには、あたたかく店内を包む照明に、革張りのゆったりとしたソファ。
控えめなマスターが淹れる、いつもどおりのブレンドの味。

そんないろいろな要素が合わさって、喫茶店は
誰もがほっと一息つける場所になる。

実は、あのブルーボトルコーヒーのルーツは、
日本の喫茶店文化にあると創業者は語る。

長い時間をかけて培われてきた、こだわりの時間と空間は、
最先端のカフェの中にも脈々と受け継がれているのかもしれない。

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大友美有紀 19年4月7日放送



作家とアパート 萩原朔太郎

新年度、新しい場所での暮らしを
始める人もいるでしょう。

詩人・萩原朔太郎の作品に
「乃木坂倶楽部」という詩がある。
アパートでひとり寂しく
眠る心情が描かれている。
妻と別れて、実家からも追い払われ、
三好達治に紹介されたアパートだった。
詩の描写から察するに、白壁の洋室、
ベッドで眠るような暮らしだ。
しかも、場所は乃木坂。

今だったら、洋館のようなアパートでの
華やかな都会暮らし。
でも「ひとり」である寂しさが、胸に迫ってくる。

ひとり暮らしを始めたばかりのあなたは、
きっと読まないほうがいい。

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