2017 年 11 月 のアーカイブ

石橋涼子 17年11月26日放送

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JeepersMedia
香りの話 香りと味の関係

料理の味は、8割近くが香りだという。
香ばしい醤油の匂い、肉の脂が焼ける匂い、
爽やかな柑橘の匂い、温かい煮込みの匂い。
美味しい匂いは、私たちの食欲を刺激する。

その一方で、こどもが苦手なピーマンに代表されるように、
体に良いものが、いい香りとは限らない。

アメリカのコラムニスト、ダグ・ラーソンの言葉。

 緑の野菜がもしベーコンのような匂いだったら、
 人間の平均寿命は格段に長くなっていただろう。

すっかり深まった食欲の秋。
栄養バランスも、大切に。

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石橋涼子 17年11月26日放送

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Dovima-2010
香りの話 ジバンシィのつくった香り

デザイナーのジバンシィは、
女優オードリー・ヘップバーンを
ファッションの面で支えた存在でもある。
『ティファニーで朝食を』と聞いて
誰もが思い浮かべる黒のドレスも、彼の作品だ。

ジバンシィはオードリーのために
ドレスだけでなく、香りもデザインした。
香水の名前は、ランテルディ。
「禁止」を意味するフランス語で、
この香りを気に入ったオードリーがジバンシィに
私以外に使わせてはダメよ
と言ったことから命名されたのだとか。

オリジナルのレシピは、
清楚でフローラルな中に芯の強さが感じられる、
ジバンシィのミューズにふさわしい香りだったという。

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小野麻利江 17年11月26日放送

171126-03
wiserbailey
香りの話 香りの街・グラース

フランス南東部の都市・グラースは
世界的な「香水の都」と称され、
今もなお、フランス産の香水の半分以上は
ここで生産されている。

もとは革製品が主要産業だったが、
革手袋を外したときに手に残る臭いの対策として
「香り付き手袋」を売り始めたのが、香水づくりの始まり。
ラベンダー、ジャスミン、ローズマリー、
ミモザ、オレンジフラワー・・・。
温暖な気候に恵まれたグラースには
香りの原料となる花たちが数多く自生し、
今もなお、稀代の調香師たちの感性を刺激する。

エルメスの香水を手がける調香師、ジャン・クロード・エレナも、
グラースで調香師をしていた父親から、
香りについての「教育」を施されたことを語っている。

父は何か食べる前あるいは飲む前に
その一つ一つの素材をまず嗅がせるということを
僕と兄弟にさせてきました。
慌てて飲み込まず、ゆっくりと呼吸し、
思考することの喜びを発見しました。

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熊埜御堂由香 17年11月26日放送

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香りの話 土屋耕一さんのキャッチフレーズ

香りは、女の、キャッチフレーズ。

ある化粧品メーカーの広告に使われたフレーズだ。
言葉にしないで、香りで伝える。
すべての女性が、あらゆる時に、そうできたなら。
きっと世界から、男と女の喧嘩はなくなるだろう。

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薄景子 17年11月26日放送

171126-05
romana klee
香りの話 CHANEL NO.5

伝説の香水、「CHANEL NO.5」
ココ・シャネルがその調香を依頼したのは、
天才調香師といわれた、エルネスト・ポーだった。

彼の試作品の瓶には1から5、20から24の数字が貼られ
その中からシャネルは5番を選んだという。

5という数字はシャネルにとって、純粋で神秘的なものだった。
幼少期、修道院の孤児院で過ごした彼女が通った聖堂の通路には、
この数字が模様のように描かれ、
修道院の庭には、5つの花びらをもつ
ゴジアオイが咲いていたという。

特別な数字を纏ったシャネル初の香水は
自身の5度目のコレクションの日、5月5日に発表された。

かのマリリン・モンローが「何を身に着けて寝るのか」と
尋ねられたときの答えにも、この神秘の数字は秘められる。

「シャネルの5番を5滴よ」

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茂木彩海 17年11月26日放送

171126-06
welshwitch36
香りの話 「ロードゥ イッセイ」

イッセイミヤケがはじめて手がけた香水、
「ロードゥ イッセイ」。
意味は、「イッセイの水」。

自立した女性が身に着ける香りは
水のようにクリアでありたい。

衣服を一枚の布として考える
イッセイならではのシンプルな思想が、
香りにも受け継がれている。

「ロードゥ イッセイ」が完成して、25年。

イッセイによってデザインされた香りは、
いまなお世界中の女性を、香りで応援し続けている。

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茂木彩海 17年11月26日放送

171126-07

香りの話 「鉄の女」の香り

鉄の女、マーガレットサッチャーが愛用した香水は、
Penhaligon’s(ペンハリガンズ)の
「Bluebell(ブルーベル)」だと言われている。

香りの特徴はというと、
はじめにグリーン系のさわやかな香りがただよい、
しばらくするとヒヤシンスやジャスミンなどのフローラルへ。
最後はスパイスが、香り全体を引き締める。

甘くセクシーなわけでもなく、
かわいらしいわけでもない。

強く、重厚感のあるリッチな香りを選んだサッチャーから、
香りは女性にとって大切な意思表示のひとつであると
気づかされる。

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熊埜御堂由香 17年11月26日放送

171126-08
Mohmed Althani
香りの話 ジョー・マローン夫妻

日本でも知られるイギリスのフレグランスブランド
ジョー・マローン。
ブランドを設立した調香師ジョー・マローンさんは
カリスマ的な人気をほこる。

彼女のこだわりは、自分の手と嗅覚だけを信じて
機械を使わずに調香すること。
ブランドをここまで大きくしたのは、19歳で出会い、
経営を支えた夫の存在だ。
彼女は、夫の匂いを、どんなささやかな
ものからでも嗅ぎ分けられるという。

ブランドを代表する香りは、夫のために調香したものだ。
フレグランスとは香る人によって感じ方が違うもの。
きっとその香りの中には、
彼女にしか甘受できない夫の香りが含まれている。

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名雪祐平 17年11月25日放送

171125-01

メモ、落札

1922年、東京の帝国ホテルに泊まった
アインシュタイン博士が
ベルボーイにメモを手渡した。

メモには、こう記されていた。

 穏やかでつつましい生活は、
 成功を追求するせいで
 常に浮き足立っているよりも、
 より多くの幸福をもたらす

ほんのチップ代わりのメモは、
今年、
エルサレムのオークションで
1億7700万円で落札された。

それは、つつましい95年間の末の
幸福だったのだろうか。

はたして。

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名雪祐平 17年11月25日放送

171125-02

城、落札

姫路城、23円50銭。

明治6年、全国の城を処分する
「廃城令」が発せられた。

姫路城も、現代の価値で、
わずか100万円で落札。

落札した男は大喜び。
ただ、取り壊すにも、維持するにも
莫大な費用がかかる。
男は早々に権利を手放した。

国にも、取り壊せる予算がなく、
そのおかげで、
いまや国宝となった姫路城。

その価値は、もう、お金にできない。

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