藤本組・福宿桃香‬

福宿桃香 20年5月23日放送


Cocoabiscuit
亀の話 ディエゴ

今から半世紀前。
ガラパゴス諸島に生息するエスパニョーラゾウガメは
絶滅の危機にあった。

生き残りはわずか十四頭、
さらにそのほとんどがメスという状況に陥った島に
救世主として送り込まれたのが、
ディエゴと名付けられた一頭のオスだった。

作戦は大成功。
ディエゴはたった1頭で800近い子孫を残し、
今年までに、種全体の数は2000頭を超えた。

ニュースでは「伝説の絶倫ガメ」などと称されてきたが、
専門家によれば、ゾウガメはオスが一方的にメスを支配するのではなく
きちんと関係性を築く生物。
つまり、もっとも多くのメスから
好意を寄せられた個体でもあったというわけだ。

絶滅危惧という彼らにとっての緊急事態の中で
周囲を魅了したディエゴ。
ピンチの時こそ、前を向いていたいものだ。

topへ

福宿桃香 20年3月21日放送



カウントダウンの話 ラアス・アル=ハイマ

人生で一度は海外でカウントダウンを…。
そう考えている方におすすめしたい、
「世界一」のカウントダウンがある。

ドバイのラアス・アル=ハイマで行われる年越し花火カウントダウンは、
ここ3年で、5つものギネス世界記録を達成している。

2018年は「世界最大の打ち上げ花火」。
2019年は「最長の連鎖花火」に「最長の直線花火」。
そして今年2020年は「最長の花火の滝」と、
173機ものドローンから同時に花火に点火するパフォーマンスで
「同時に花火を打ち上げた無人空中機の数」の世界記録も達成した。

記憶にも、記録にも残るカウントダウン。
次の年越しでは、どんな「世界一」を見せてくれるのだろう。

topへ

福宿桃香 20年1月18日放送


Rahul Narain
占いのはなし おみくじ

1月といえば初詣。初詣といえばおみくじ。
この年明けに、今年の運試しをした人も
多いのではないだろうか。

おみくじの原型が誕生したのは1100年ほど前。
「元三大師百籤」と呼ばれるそれは
100本の棒の中から1本を引き、
同じ番号の漢詩で吉凶を占うというもので、
現在も多くの寺院でこの方法が受け継がれている。

和歌山の熊野那智大社もその一つだが、
特筆すべきはその大きさ。
なんとおみくじ筒が133cmもあり、
参拝客は体全体を振ったり、ジャンプをして棒を取り出す。
ビッグなおみくじの大吉は、特別いいことがありそうだ。

topへ

福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし タロット占い

78枚のカードで運勢を占うタロット占い。
占いの中でも格式高いイメージがあるが、
元々はギャンブル用のカードゲームとして
誕生したものだった。

最古のものは
15世紀半ばにイタリアで制作されたカードデッキ。
当初は貴族のために画家が1枚1枚手書きしていたが
木版画の量産品が出回るようになると、
ヨーロッパ全土へ広がっていった。

人々がタロットの絵柄に意味を持たせ、
未来を知る手がかりとして扱い始めたのは1780年代―
そう、フランス革命の真っ只中だ。
占いはいつだって、不安と表裏一体なのだ。

topへ

福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし 星座占い

もっとも身近な占いのひとつ、星座占い。
そのルーツは紀元前2000年から続く占星術にある。

古代バビロニアでは、
星が神様からのメッセージだと信じられていた。
人々は惑星の配置や動きとともに
その時々の自然現象を粘土板に記録。
それを繰り返すことで、
天体は、決まった出来事の予兆として
占いへと取り入れられていったのである。

紀元前3世紀ごろの粘土板には、次のような記録がある。
「木星が現れる時はお金持ちになり、長生きできる」

驚くことに、現在でも占星術の世界で
木星は成功を司る星とされている。
2020年の一年間は、山羊座のそばに木星がいるそうだ。

topへ

福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし 手相占い

古代インド発祥の手相占い。
その歴史は古く、日本には、
平安時代に中国を介して仏教とともに伝わった。
現在でも手相を信じる人は多く
手相を変える整形手術が存在するほどだが、
実は今から500年ほど前にも、手相を自ら変えた人物がいた。

その人物とは、天下統一を掴みとった男―
そう、豊臣秀吉である。
彼が変えたのは、手のひらの中心に縦に伸びる運命線。
秀吉の運命線は、
なんと中指の第一関節近くまでまっすぐに伸びていた。
手相学を信じていた彼は、
あるとき運命線を刀で彫って伸ばしたのだ。
文字通り、運命を自ら切り開いたわけである。

ちなみに秀吉の手相は、
静岡の久能山東照宮で見ることができる。
様々な勝負が待ち受ける2020年、
唯一無二のその手相に、パワーをもらうのも悪くない。

topへ

福宿桃香 20年1月18日放送


cincity
占いのはなし 血液型占い

血液型占いは日本にしか存在しない。

それもそのはず、日本人は
A型が4割、B型が2割、O型が3割、AB型が1割と
うまい具合にばらけているが、
たとえばグァテマラでは国民の95%がO型で、
そもそも占い自体が成り立たないのだ。

血液型占いの元となったのは、
1927年に古川竹二教授が発表した論文「血液型による気質の研究」。
科学的根拠は全くなかったにも関わらず、一気に人気に火がついた。

そしてその人気は、終わるのも突然だった。
2004年、放送倫理・番組向上機構が
「血液型で性格が規定されるという見方を助長してはいけない」と発表し、
血液型占いはテレビから姿を消したのである。

topへ

福宿桃香 19年8月24日放送



ノンアルコールへの挑戦

日本酒のアルコール分は、ビールのおよそ3倍。
ゆえに、ノンアルコール日本酒の開発は他の酒類に比べ困難を極めた。

金沢の老舗酒蔵・福光屋も、
開発に乗りだしたひとりだった。
最大のハードルは、アルコール自体が持つ辛みの再現。
度数が高いお酒になればなるほど
それがそのまま味の特長となっているためだ。

何を入れれば日本酒の味に近づけられるのか。
何かを入れた時点で、あの味にはならないのではないか。
研究は、10年近くつづいた。

そしてついに、2012年。
日本酒と同じ米と米麹のみを原料に
麹菌、乳酸菌、酵母を使って3度異なる発酵をさせることで、
アルコールを入れたときに近い旨みやふくらみ、酸味などの
複合的な味わいを引き出すことに成功した。

どんな人にも、どんな時にも、日本酒を楽しんでもらいたい。
世の中のノンアルコール日本酒の数々は、
日本酒を愛した職人たちの情熱の証なのだ。

topへ

福宿桃香 19年7月20日放送


Alan Cordova
ギネスバーガー

アメリカ・オレゴン州にあるレストラン、
ジューシーズ・アウトロー・グリルには、
世界一大きくて高級なハンバーガーとして
ギネスに認定されたバーガーがある。

極厚のパテに大量のチーズ、レタス、玉ねぎがトッピングされた
その総重量はなんと352.44 kg。
ひとつで137万5000kcal超えだ。
驚きなのは、この超特大バーガーが
ギネス用に一度限りでつくられたものではなく、
お店の通常メニューであること。
価格は日本円にしておよそ43万円で、
2日前までに予約をすれば誰でも購入できる。

売り文句は「君のプライベートパーティーに!」。
ハンバーガーは
美味しさと同じくらい、楽しさも大切な料理なのだ。

topへ

福宿桃香 19年6月22日放送


yujanlee
夏至の話  中国

今日は、夏至。

中国では、夏至は麦の収穫の時期にあたる。
清の時代までは国民の祝日にもなっていたほど
古くから中国人は夏至を大切にし、
収穫を祝い、豊作を祈り続けてきた。

今もつづくお祝いのひとつが、麺を食べること。
北の地域では大滷麺(ターローメン)や炸醤麺(ジャージャーメン)。
南の地域では陽春麺(ヤンツンメン)、肉絲麺(ルースーメン)、
三鮮麺(サンチャオメン)と、
すきな麺を食べながら収穫に感謝する。
昼間の時間が一番長い日に長い麺を食べることで
長寿を願う意味もあるのだという。

ちなみに冬至には、ワンタンを食べるそうだ。
ぜひ今年の夏至と冬至は、中国風にお祝いしてみたい。

topへ


login