Vision

蛭田瑞穂 17年3月19日放送

170319-01 Yoshikazu TAKADA
出会いと別れ 贈る言葉

 暮れなずむ町の 光と影の中
 去りゆくあなたへ 贈る言葉


武田鉄矢率いる、海援隊。
その代表曲「贈る言葉」が卒業シーズンの定番曲となって久しい。
だが、この曲はもともと、失恋の別れを歌ったものだ。

武田は言う。

 天神という博多の繁華街で(中略)、
 恋した女性が去っていく後ろ姿を見つめた。
 何十年か経つと、みじめな思い出が美しい歌詞になっていました。
 人生とはそういう味わい深い物語であります。


男女の別れを歌った曲は今、
人と人の、普遍的な別れを歌う曲になった。



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蛭田瑞穂 17年3月19日放送

170319-02
出会いと別れ 黒板のメッセージ

2016年の卒業シーズン。
ツイッターで一枚の写真が話題になった。

写っているのはある中学の、卒業の日の黒板。
一日の時間割りを書き込む黒板には、
代わりに担任の先生からの心温まるメッセージが記入されていた。

 1時間後 最高の卒業式にしよう!
 2日後  高校入試がんばれ!!
 3週間後 ここまでは中学生です
 4年後  東京オリンピック!誰が出るかな?
 5年後  成人式で会いましょう!
 宿題   幸せになりなさい


いつか、生徒たちが宿題をやり終える日が来るのを
先生は心待ちにしているにちがいない。


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蛭田瑞穂 17年3月19日放送

170319-03 yamada
出会いと別れ 卒業スピーチ

アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス。
彼は2010年、母校のプリンストン大学で
卒業生に向けたスピーチでこんな言葉を贈った。

 みなさんは卒業した後、どんな選択をしていくのでしょう。
 他の人と同じことをしますか?
 それとも、やりたいことに挑戦しますか?
 リスクと挑戦のどちらを選択しますか?
 (中略)
 あなたが80歳になった時、あなたが思い浮かべるのは、
 自分が決断してきたことの数々です。
 そう、日々の決断こそがあなた自身をつくるのです。
 だから自分を信じて、自分の道を切り拓いてください。



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佐藤日登美 17年3月19日放送

170319-04
出会いと別れ ハローグッバイ

春は、出会いと別れの季節。
ロックバンドのくるりは、別れの切なさを
「ハロー」「グッバイ」という言葉に閉じ込めようとした。

 ハロー&グッバイ

 この気持ち説明できる言葉も覚えた
 やるせなくて
 今日も夜が明けるのを待っている


かみしめるように、彼らは何度も何度も「ハロー&グッバイ」を重ねる。
出会いと別れは、ときに苦しい。


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佐藤日登美 17年3月19日放送

170319-05 Stephan Geyer
出会いと別れ ハローグッバイ

春は、出会いと別れの季節。
この時期に渦巻く切ない感情を、
ミュージシャンのYUKIは「ハロー」「グッバイ」と明るく歌う。

 私が見てきたすべてのこと
 むだじゃないよって君に言ってほしい
 人は誰かとかかわるハローグッバイ


この曲について、彼女はあるインタビューでこう話した。

 新しい物事を始める時には、自分のなかに新しい血を入れようとする。
 一方で愛着があるけど捨てなければいけないものもある。
 それはちょっと切ないのだけれど、
 何か月か先の自分を思い描いたときに、
 それを捨てて良かったと思えるような選択を私はしてきたつもりです。


YUKIは知っている。
出会いと別れは、未来の自分を創るということを。


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佐藤日登美 17年3月19日放送

170319-06 lukask
出会いと別れ ハローグッバイ

春は、出会いと別れの季節。
出会いと別れを「Hello」「Goodbye」と歌った最も有名なバンドは、
きっとビートルズだ。

 ハロー ハロー
 なぜ君がグッドバイを言ったのかはわからない
 それでも僕はハローと言うよ


さよならを告げる彼女に対して、
それでも彼は高らかにハローと言う。

出会いと別れを決めるのは、自分次第なのかもしれない。


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森由里佳 17年3月19日放送

170319-07 OMAR-DZ
出会いと別れ 人生と川

夫婦はときおり、川の流れに例えられる。
流れがふたつにわかれることもあれば、
再びひとつになることもあるからだ。

その長い長い道のりをどう過ごすのがいいのか、
美空ひばりのあの名曲に聴いてみよう。

 ああ 川の流れのように おだやかに
 この身を まかせていたい
 ああ 川の流れのように いつまでも
 青いせせらぎを聞きながら


あなたの人生と、あなたの大切な人の人生。
川の流れのように、おだやかに、
幸せという名の青い海に、ともに流れこみますように。


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森由里佳 17年3月19日放送

170319-08
出会いと別れ 人生と川

 瀬をはやみ
 岩にせかるる滝川の
 われてもすゑに
 逢はむとぞ思ふ


川の瀬の流れが岩にせきとめられて割かれてしまうように、
わたしとあなたも離れ離れになってしまった。
それでも再びあなたに逢えることを信じています。

詠み手は、崇徳院。
別れざるを得なかった恋人との再会を願う歌だと言われている。

崇徳院の、愛する女性への想い。
それはまるで、川の流れのように激しく、
透き通っていたに違いない。


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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-01 yamada*
春の妖精 二輪草

春の妖精と呼ばれる草花がある。
英語ではspring ephemeral、春の短い命。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

その仲間の一つ、二輪草は背丈20センチ。
ひとつの株から2本の茎を伸ばして
小さな白い花を二つ咲かせるから二輪草。

この花には一輪草という仲間もいて
北原白秋はこんな詩を書いている。

 真実さびしき花ゆえに
 一輪草とは申すなり
 一輪咲いたが一輪草、二輪咲くのが二輪草


とはいえ、早春の落葉樹の森へ行くと
一輪草も二輪草も
命の短さを知るかのように
何本も何十本も、ときには何百本も寄り添って
いたわり合って咲いている。


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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-02 Oryzias
春の妖精 カタクリ

春の妖精と呼ばれる草花がある。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

その仲間で一番知られているのは
カタクリかもしれない。
日本の各地に群落があり
季節になると花の便りがニュースになる。

江戸時代の探検家松浦武四郎は
北海道の食用植物として
「山慈姑」という名前を挙げ
カタクリとルビを振っている。

花が咲くまでに8年もかかるカタクリは
その貴重なデンプンで人々を養っていた。


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