蛭田組・佐藤日登美

佐藤日登美 20年1月12日放送

首相官邸
和服  即位礼正殿の儀の装束

令和元年、10月22日。
即位礼正殿の儀が執り行われた。

天皇陛下が国内外に即位を宣明する儀式。
そのお言葉とともに、装束姿も注目された。

平安時代を思わせる黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と呼ばれる装束を身にまとった天皇陛下に続くのは、十二単姿の皇后さま。
一番上の御唐衣(おんからぎぬ)は白と萌葱色、その下に薄紫色と赤のグラーデーションが美しい。

時代の変わり目にしか見ることができない、雅なお姿だ。


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佐藤日登美 20年1月12日放送


和服  国民祭典の着物

令和元年、11月9日。
「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」の場で祝辞を述べた、女優・芦田愛菜さん。
彼女が着た着物は、老舗呉服店・鈴乃屋が用意した。

生成色に菊の花の刺繍が施され、豪華ながら上品な佇まい。
着物に描かれた「紗綾形(さやがた)」と呼ばれる文様は「卍」の文字を斜めに崩し、
連続的につなげたもので「家の繁栄」「永遠」「長寿」を意味する。

100年ほど前から、誰も袖を通したことがないという貴重な着物。
新しい時代の幕開けに彩りを添えた。


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佐藤日登美 19年12月8日放送

kyu3
こわい お化け屋敷プロデューサー

遊園地の中では地味な存在だったお化け屋敷を、
大人気アトラクションに変えた男がいる。
お化け屋敷プロデューサー、五味弘文。

彼のお化け屋敷の中では、お客さんも演出の一部だ。
例えば、リアルな赤ちゃんの人形を渡され、出口まで届ける。
呪いの歯を素手で抜く。
靴を脱いで暗闇の中を歩く。

そこには物語があり、それを知った上で進むことで恐怖が倍増する。
五味はお化け屋敷に「ストーリー性」という概念を組み込むことで、
新たなエンターテイメントを生み出した。



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佐藤日登美 19年12月8日放送


こわい お化け屋敷プロデューサー

「人をいかに怖がらせるか」
そのことばかりを考えている男がいる。
お化け屋敷プロデューサー、五味弘文。

企画したお化け屋敷がオープンすると、
彼は裏でじっとお客さんの反応を見る。
期待通り驚いてくれると喜び、怖がってくれないとへこむ。

なぜ怖がってくれなかったのか。
どんなタイミングで人は不安になるのか。
考え続けることで「恐怖」の本質が見えてくる。

そこで見出したものを、またお化け屋敷に取り入れていく。
怖いと叫ぶお客さんたちを見る彼の顔は、いたずらっ子のようだ。



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佐藤日登美 19年11月10日放送

Simonetta Di Zanutto
美食  サンセバスチャンに行ったならば①

スペイン、サンセバスチャン。
人口わずか18万人の都市は、世界一の美食の街と呼ばれる。
所狭しとバルが並び、人々は次から次へと店をはしごする。

バルに足を踏み入れたら、まずはピンチョスとチャコリをオーダーしよう。
ピンチョスは、パンの上に食材が乗った小さなオープンサンド。
海老やアンチョビなど、店によって個性が出る。
それに合わせるのが、チャコリという微発泡の白ワイン。
瓶を頭近くまで持ち上げ、コップに注ぎ落とすようにして入れる。
その様子を見るだけで、心が浮き足立つ。

ピンチョスをつまみ、チャコリを流し込んで次の店に向かう。
美食の街には美味なるものが多く、一日は短い。



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佐藤日登美 19年11月10日放送

WordRidden
美食  サンセバスチャンに行ったならば②

スペイン、サンセバスチャン。
バルセロナからもマドリードからも少し離れたこの場所は、
美食の街として名高い。

数ある店の中でも有名なのが、Bar Nestor。
メニューは4品ほどしかないが、すべてたまらなくおいしい。

予約しないと食べられないとろとろ卵のトルティーヤ。
塩とオリーブオイルをかけただけのぶつ切りトマトのサラダ。
どんどん口に運んでしまう、素揚げしたししとう。
そして岩塩をまぶした、肉の赤が美しいステーキ。

シンプルだけど力強い料理たちが、
美食の街の実力を見せつけてくる。



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蛭田瑞穂 19年11月10日放送


美食  オーギュスト・エスコフィエ

19世紀から20世紀にかけて活躍し、
「近代フランス料理の父」と称される料理人オーギュスト・エスコフィエ。

彼が現代のフランス料理に与えた影響は枚挙にいとまがない。
「総料理長」「副料理長」「ソース係」「焼き物係」「パティシエ」など、
厨房における役職制度と分業制を初めて確立。

料理人の社会的地位の向上のため、料理人に規律と品格と求め、
社会貢献活動も積極的におこなった。

そして、今ではコックの代名詞と言える、背の高い円筒形の帽子を
最初にかぶり始めたのもオーギュスト・エスコフィエである。



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佐藤日登美 19年10月13日放送

© Citron
深海  ラブカ

深海に住む古代ザメ、ラブカ。
一瞬可愛らしい生き物を想像しそうだが、
なかなかにインパクトのある姿をしている。
うなぎのような長い胴体に、ひらひらと揺れる赤い6対のエラ。
大きな頭のほとんどを口が占め、歯は300本も持つ。

実は映画『シン・ゴジラ』に現れる
ゴジラの第二形態のモデルになっているのだとか。
深海をひっそりと泳ぐラブカも、
まさか映画のスクリーンに登場するとは思わなかっただろう。



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佐藤日登美 19年9月8日放送


ダンス タップダンス

18世紀、アメリカ南部。
人種差別がまだ色濃かった時代、
多くの黒人たちが奴隷としてアフリカから連れてこられた。
彼らのささやかな楽しみは、ドラムに合わせて踊ること。
ところが暴動を恐れた白人たちは、
黒人が集まる場所でのドラム禁止令を出してしまう。

それでも、彼らは踊ることを諦めなかった。
黒人たちはみんなで足を踏みならし、拍子を刻み始めた。

これが、タップダンスの起源と言われている。


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佐藤日登美 19年8月25日放送

jurek d. (Jerzy Durczak)
夏の飲み物  ペリエ

南フランス・ヴェルジェーズに、天然の炭酸水が湧く水源がある。
健康にいいと言われたその水は、過去の偉人たちも口にした。

紀元前3世紀、英雄ハンニバルはその水を飲み、戦いに臨んだ。
19世紀、ナポレオン3世はその水を「フランスの誇りだ」と讃えた。

それは後に「ペリエ」と名付けられ、
世界中で飲まれるスパークリングウォーターとなった。
泡がきめ細かく、薄緑色のガラス瓶の中でシュワシュワと小気味いい音を立てる。
夏にはよく冷やして、爽やかな刺激を楽しみたい。


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