蛭田組・佐藤日登美

佐藤日登美 19年6月9日放送

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梅雨 移り気な紫陽花

花言葉は「移り気」「浮気」「無常」。
やや手厳しい言葉が並ぶこの花は、梅雨の季節を彩る紫陽花。
もちろん気ままに色を変えているわけではなく、科学的根拠がある。

ひとつは土の性質。
土壌がアルカリ性だと赤やピンク色に、酸性だと青色の花が咲く。
なんだか小学校の理科の実験を思い出す。

花開いたあとは紫陽花の中の色素が分解され、青や赤紫色に変化する。
これは、いわゆる老化現象と言える。

そんな紫陽花の事情を知ってか知らずか、
歌人・正岡子規はこんな句を詠んでいる。

 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘


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佐藤日登美 19年5月12日放送

Litlok
風 風見鶏

ヨーロッパの教会を見上げると、十字架とともに
風見鶏がとまっていることがある。
雄鶏をかたどったその像は、風向きを教えてくれるだけでなく、
魔除けやお守りの意味も持つ。

だから、4月に起きたノートルダム大聖堂の火災後、
焼け落ちた尖塔に取り付けられていた風見鶏が発見されたとき
フランス市民は「奇跡だ」と喜んだ。

大聖堂は、フランスにとっての誇りであり、心の拠りどころでもある。
再建された暁には、風見鶏が上にとまり
その凛々しい姿で方角を指し示してくれるに違いない。


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佐藤日登美 19年4月14日放送


生まれるとき お腹の中の思い出

子どもは、
お母さんのお腹のなかにいたときの記憶を持っている。
…なんていうと、半信半疑になるだろうか。

「胎内記憶」と呼ばれる生まれる前の思い出、
3人に1人は覚えているという。

「ゆらゆらしたお風呂、あったかかった」
「お腹のなかの紐で遊んでた」
「空の上からママを選んでやってきた」

教えてくれることはさまざま。
でも、4歳ぐらいからその記憶は薄れてしまうのだとか。

一生に一度の記憶。せっかくだから、聞いてみたい。


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佐藤日登美 19年4月14日放送

Photo by Kate Krivanec on Unsplash
生まれるとき 二人の力

鼻からスイカが出る、とも例えられる出産の痛み。
お母さんが頑張っているとき、
お腹のなかの赤ちゃんも
一生懸命外の世界に出ようと格闘している。

狭い産道をうまく抜けられるよう、
赤ちゃんはあごをぐっと胸に近づけ、頭や体を回旋させる。
くるくる回る力に、陣痛という子宮が収縮する力が加わって
少しずつ、少しずつ、赤ちゃんはお腹から出てくるのだ。

お母さんと子ども、二人で息を合わせて。
ぴったり重なったとき、この世界に新しい命が生まれる。


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佐藤日登美 19年3月10日放送

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浅草、神谷バー

浅草一丁目一番地一号。
この特等席に佇むのは、明治13年に創業した日本初のバー、神谷バー。
ブランデーベースのデンキブランが売りだが、
そのレトロな建物も名物の一つだ。
アーチがあしらわれた丸い窓を持つ神谷ビルは、
東京大空襲にも耐え抜いたという。

周りが焼け野原に変わり果てたなか、奇跡的に
神谷ビルと松屋デパートだけが破壊されず残った。

酒が飲める場所は変わらずそこにある。
その姿は、戦後の人々の希望になった。

今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。


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佐藤日登美 19年3月10日放送


守り抜いた写真

戦時中の記録写真を撮るようにと、
警視総監に直々に命を受けた男がいた。
警視庁に勤める、石川光陽。

ある夜、なぜだか空襲の予感がした石川は警視庁に泊まりこんだ。
翌日未明、町中に警報が鳴り響く。
東京大空襲の始まりだった。

彼のライカのなかには、焼け焦げた遺体や
煙でくすぶる東京の街が収められている。
戦後、GHQから空襲の様子を撮影したネガの提出を求められたが、
石川は自宅の庭に埋めて隠し通した。
守り抜いた写真は、戦争を語る貴重な資料となっている。

今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。


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佐藤日登美 19年2月17日放送


スープ チキンヌードルスープ

風邪をひいたときの定番料理。
日本ではおかゆやうどんを思い浮かべるが、
アメリカで外せないのはチキンヌードルスープ。

コンソメスープで鶏肉、ニンジン、玉ねぎ、セロリをやわらかく煮込み、
そこにショートパスタを加える。
タイムやセージなど、家によってはハーブも一緒に煮込まれる。

具沢山のチキンヌードルスープは栄養満点で、
なによりもからだがほっと温まる。
風邪のときにかぎらず、ちょっと元気がないときに口にする人も多い。


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佐藤日登美 19年2月17日放送

City Foodsters
スープ クラムチャウダー

シアトルに、Pike Place Chowderという
行列の絶えないクラムチャウダーの店がある。

オープン当初、クラムチャウダーは看板メニューでもなんでもなく、
金曜日に出される「本日のスープ」のひとつだった。
数人いたシェフが「自分のレシピこそが最高のもの!」と言って、
毎週代わるがわる自慢のクラムチャウダーを振る舞った。

やがて、それぞれのレシピのいいところがミックスされ、
新たなハーブや具材が加わり、肉厚のアサリがほうり込まれ、
唯一無二のクリーミーな一杯ができあがった。

いまでは、シアトルの寒空の下、
世界中の人が暖かいクラムチャウダーを求めて足を運ぶ。


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佐藤日登美 19年1月13日放送

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酒の肴 ロングバーのピーナッツ

シンガポールの老舗高級ホテル、ラッフルズ・ホテル。
このホテルのロングバーには二つの名物がある。

一つは、ロングバーで生まれたカクテル、シンガポールスリング。
マラッカ海峡に沈む美しい夕日を思わせるジンベースの一杯だ。

もう一つは、シンガポールスリングと合わせてつまむピーナッツ。
麻袋いっぱいに入ったピーナッツがすべての席に置かれ、
お客は無料で食べることができる。
ここでの流儀は、ピーナッツの殻をそのまま床に捨ててしまうこと。

ポイ捨て厳禁のシンガポールのなかで、
ここだけはゴミを放ることが許される。


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佐藤日登美 19年1月13日放送

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酒の肴 からすみのルーツ

日本三大珍味の一つ、からすみ。
そのルーツは紀元前の古代ギリシャやエジプトに遡る。
冷蔵保存ができなかった当時、
初夏にとれた魚の卵を保存させるために生み出された。
やがてアラブ人によって地中海沿岸へと伝えられ、
中国を経て日本にまで渡ってきた。

塩辛くねっとりした味わいが飲兵衛にはたまらない酒の肴。
薄く切ったり、大根と合わせたり、軽く炙ったり。

遥か昔の人々のおかげで、
日本人はからすみとの「ちょっと一杯」が楽しめる。


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