蛭田組・佐藤日登美

佐藤日登美 19年10月13日放送

© Citron
深海  ラブカ

深海に住む古代ザメ、ラブカ。
一瞬可愛らしい生き物を想像しそうだが、
なかなかにインパクトのある姿をしている。
うなぎのような長い胴体に、ひらひらと揺れる赤い6対のエラ。
大きな頭のほとんどを口が占め、歯は300本も持つ。

実は映画『シン・ゴジラ』に現れる
ゴジラの第二形態のモデルになっているのだとか。
深海をひっそりと泳ぐラブカも、
まさか映画のスクリーンに登場するとは思わなかっただろう。



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佐藤日登美 19年9月8日放送


ダンス タップダンス

18世紀、アメリカ南部。
人種差別がまだ色濃かった時代、
多くの黒人たちが奴隷としてアフリカから連れてこられた。
彼らのささやかな楽しみは、ドラムに合わせて踊ること。
ところが暴動を恐れた白人たちは、
黒人が集まる場所でのドラム禁止令を出してしまう。

それでも、彼らは踊ることを諦めなかった。
黒人たちはみんなで足を踏みならし、拍子を刻み始めた。

これが、タップダンスの起源と言われている。


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佐藤日登美 19年8月25日放送

jurek d. (Jerzy Durczak)
夏の飲み物  ペリエ

南フランス・ヴェルジェーズに、天然の炭酸水が湧く水源がある。
健康にいいと言われたその水は、過去の偉人たちも口にした。

紀元前3世紀、英雄ハンニバルはその水を飲み、戦いに臨んだ。
19世紀、ナポレオン3世はその水を「フランスの誇りだ」と讃えた。

それは後に「ペリエ」と名付けられ、
世界中で飲まれるスパークリングウォーターとなった。
泡がきめ細かく、薄緑色のガラス瓶の中でシュワシュワと小気味いい音を立てる。
夏にはよく冷やして、爽やかな刺激を楽しみたい。


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佐藤日登美 19年7月14日放送

ogiwaratakao
夏フェス フジロックフェスティバル

日本を代表する夏フェス、フジロックフェスティバル。
「フジ」を冠するだけあって、
記念すべき1回目は富士山の近くで開催された。
だが、会場はひどい様相を呈した。
台風が直撃したため大雨が殴りかかり、
駅から会場までのアクセスは一本のみで大混雑、
近隣の私有地に勝手に入る人まで現れた。
あまりの混乱ぶりに、二日目はあえなく中止となった。

会場を新潟県苗場スキー場に変えたフジロックは、今年で23回目。
環境保護への取り組みなどが評価され、
世界のロックフェスランキングで3位に選ばれたこともある。
嵐の1回目があったからこそ、今のフジロックは存在する。


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佐藤日登美 19年6月9日放送

Nam2@7676
梅雨 移り気な紫陽花

花言葉は「移り気」「浮気」「無常」。
やや手厳しい言葉が並ぶこの花は、梅雨の季節を彩る紫陽花。
もちろん気ままに色を変えているわけではなく、科学的根拠がある。

ひとつは土の性質。
土壌がアルカリ性だと赤やピンク色に、酸性だと青色の花が咲く。
なんだか小学校の理科の実験を思い出す。

花開いたあとは紫陽花の中の色素が分解され、青や赤紫色に変化する。
これは、いわゆる老化現象と言える。

そんな紫陽花の事情を知ってか知らずか、
歌人・正岡子規はこんな句を詠んでいる。

 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘


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佐藤日登美 19年5月12日放送

Litlok
風 風見鶏

ヨーロッパの教会を見上げると、十字架とともに
風見鶏がとまっていることがある。
雄鶏をかたどったその像は、風向きを教えてくれるだけでなく、
魔除けやお守りの意味も持つ。

だから、4月に起きたノートルダム大聖堂の火災後、
焼け落ちた尖塔に取り付けられていた風見鶏が発見されたとき
フランス市民は「奇跡だ」と喜んだ。

大聖堂は、フランスにとっての誇りであり、心の拠りどころでもある。
再建された暁には、風見鶏が上にとまり
その凛々しい姿で方角を指し示してくれるに違いない。


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佐藤日登美 19年4月14日放送


生まれるとき お腹の中の思い出

子どもは、
お母さんのお腹のなかにいたときの記憶を持っている。
…なんていうと、半信半疑になるだろうか。

「胎内記憶」と呼ばれる生まれる前の思い出、
3人に1人は覚えているという。

「ゆらゆらしたお風呂、あったかかった」
「お腹のなかの紐で遊んでた」
「空の上からママを選んでやってきた」

教えてくれることはさまざま。
でも、4歳ぐらいからその記憶は薄れてしまうのだとか。

一生に一度の記憶。せっかくだから、聞いてみたい。


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佐藤日登美 19年4月14日放送

Photo by Kate Krivanec on Unsplash
生まれるとき 二人の力

鼻からスイカが出る、とも例えられる出産の痛み。
お母さんが頑張っているとき、
お腹のなかの赤ちゃんも
一生懸命外の世界に出ようと格闘している。

狭い産道をうまく抜けられるよう、
赤ちゃんはあごをぐっと胸に近づけ、頭や体を回旋させる。
くるくる回る力に、陣痛という子宮が収縮する力が加わって
少しずつ、少しずつ、赤ちゃんはお腹から出てくるのだ。

お母さんと子ども、二人で息を合わせて。
ぴったり重なったとき、この世界に新しい命が生まれる。


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佐藤日登美 19年3月10日放送

udono
浅草、神谷バー

浅草一丁目一番地一号。
この特等席に佇むのは、明治13年に創業した日本初のバー、神谷バー。
ブランデーベースのデンキブランが売りだが、
そのレトロな建物も名物の一つだ。
アーチがあしらわれた丸い窓を持つ神谷ビルは、
東京大空襲にも耐え抜いたという。

周りが焼け野原に変わり果てたなか、奇跡的に
神谷ビルと松屋デパートだけが破壊されず残った。

酒が飲める場所は変わらずそこにある。
その姿は、戦後の人々の希望になった。

今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。


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佐藤日登美 19年3月10日放送


守り抜いた写真

戦時中の記録写真を撮るようにと、
警視総監に直々に命を受けた男がいた。
警視庁に勤める、石川光陽。

ある夜、なぜだか空襲の予感がした石川は警視庁に泊まりこんだ。
翌日未明、町中に警報が鳴り響く。
東京大空襲の始まりだった。

彼のライカのなかには、焼け焦げた遺体や
煙でくすぶる東京の街が収められている。
戦後、GHQから空襲の様子を撮影したネガの提出を求められたが、
石川は自宅の庭に埋めて隠し通した。
守り抜いた写真は、戦争を語る貴重な資料となっている。

今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。


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