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藤本組・福宿桃香‬

福宿桃香 17年6月10日放送

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時の記念日 デイビッド・ブラング

数字に色がついて見えたり、音から味を感じたり。
世界には、複数の感覚が混ざり合う「共感覚」の持ち主がいる。

その中でも特に珍しいと言われているのが、時間空間共感覚。
時間を見ることができる人たちである。

2010年、心理学者デイビッド・ブラングは、
200人近い学生を集め、こう問いかけた。
「1年を図として視覚化してください」
するとその実験を受けたうちの4人が、
何度実験を重ねても、特定の楕円形を描いた。
そしてそれは、普段から彼らに見えているものだと語ったのである。

 彼らには、1年間の時間の流れが輪っかのような立体として見えていた。
 その特殊なカレンダーは身体のまわりを動きつづけていて、
 今にあたる部分が常に胸の前にくるというんだ。


今この瞬間が何月何日の何時何分なのか、いつでも分かる能力。
それだけ時間を意識して過ごせば、私たちの毎日もなにか変わるだろうか。

きょうは、時の記念日。


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福宿桃香 17年5月20日放送

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計量の話 ダンカン・マクドゥーガル

きょうは「世界計量記念日」。
アメリカの医師、ダンカン・マクドゥーガルが
人間の魂の計量を行ったのは、今から116年前のことだ。

彼は、もしも魂に重さがあるなら、
魂が身体を離れる瞬間に体重が減るはずだと考え、
末期の患者を秤の上にのせた。
すると、患者が息を引き取ると同時に秤が動き、
21gの減少を示したのだ。

さらに彼は体重が減少するまでの時間も計測し、
次のように発言している。

 患者の中には、体重が減るまでに1分かかった者がいた。
 考えや行動がゆっくりしていた人は、
 魂も身体を離れるまでに時間がかかるのかもしれない。


現在では信憑性がないとされているが、
みんなをちょっとワクワクさせてくれた彼の計量は
偉大だったと言っていいのではないだろうか。


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福宿桃香 17年2月11日放送

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ぬいぐるみの話 マイケル・ボンド

今から60年前のクリスマスイブのこと。
マイケル・ボンドはお店で売れ残っていた
クマのぬいぐるみを可哀想に思い、
妻へのプレゼントとして買って帰ることにした。

ぬいぐるみにパディントンと名付けると、
ボンドの頭の中に自然と物語が浮かんだ。
拾われるのを待っていたクマ、夫婦との出会い…
思うままに筆をすすめ、10日で本を書き上げた。

こうして生まれた童話『くまのパディントン』。
今日までに26作のパディントンシリーズを執筆したボンドは
インタビューにこう答えている。

 これはクマのぬいぐるみの持つ力。
 一緒にいるとぬいぐるみがちゃんと生きていて、
 動いたり喋ったりしているような気がしてくるんだ。
 僕はただそれを書くだけ。もし今のが本当だとしたら、って。


ぬいぐるみを愛する者にしか書けないストーリーが、
今日も世界中の人々を魅了する。



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福宿桃香 16年12月10日放送

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1626年4月9日の雪

知は力なり。
この名言で知られる哲学者、フランシス・ベーコンは、
雪によって運命を狂わされてしまった一人である。

晩年、彼は冷凍技術に興味をもっていた。
そしてある雪の日。
思いつくまま外に飛び出し、
鶏のお腹に雪を詰め込むという冷凍実験を行ったところ、
なんと、身体を冷やしてしまったベーコンは
そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。

残念な最期だが、
雪を見て胸を躍らせた彼の気持ちには、共感してしまう。


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福宿桃香 16年12月10日放送

161210-03
1860年3月3日の雪

1860年3月3日。
季節外れの大雪に見舞われたその日、
井伊直弼は、水戸浪士らによって暗殺された。

彼の護衛は五十名を超え、普段であれば負けるはずもない戦い。
ところが雪に備えた重装備であったため
すぐに刀を抜くことができず、わずか十数名の敵によって、
井伊直弼は首を落とされてしまったのである。

知らせを聞いて駆け付けた武士は、そのときの光景をこう語った。

「雪は桜の花を散らしたように血染となっていました。」

桜田門外の変ー。
もしも雪が降っていなければ、歴史は変わっていたかもしれない。


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福宿桃香 16年10月8日放送

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読書の話 ビル・ゲイツ

マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ。
21世紀トップの大富豪である彼の自宅には、
1万4000冊を超える書物が並ぶ個人図書館がある。

ゲイツの読書好きは、
両親によって導かれたものであった。
幼い彼には偉人の伝記からSF小説まで
ありとあらゆるジャンルの本が与えられ、
それらの内容について、来る日も来る日も両親と議論。
読書に集中できるよう、平日のテレビ鑑賞は一切禁止だったそうだ。

本に囲まれた幼少期がなければ、
今の成功は絶対になかったと断言するゲイツ。
だが、コンピューター業界のど真ん中にいる彼から見て、
インターネット時代の今、
子供に読書を習慣づけることは時代遅れではないのだろうか?
ゲイツはこう答えた。

 僕の子供はもちろんコンピューターを持つだろう。
 しかし、それより前に、本を手にする。

 
どれだけネットが進んでも、
それが本を読む大切さを引き下げることは今後もない。
あのビル・ゲイツが言うのだから、きっと間違いないはずだ。


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福宿桃香 16年9月10日放送

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かつてないをつくる人 江口勝也

「どうぶつの森」のプロデューサー、江口勝也。
敵もいなければ、エンディングもない―
全く新しい形のこのゲームは、江口のこんな思いから生まれた。

子どもと一緒にゲームをすれば楽しいことがわかっていても、
仕事が忙しくて、それができない。
だったら、お母さんや子どもが遊んだあとに
自分が遅い時間に帰ってきて遊ぶことで、
何かが重なりあうようなものができないだろうか。

こうして江口が辿り着いたのが、
ひとつの街に複数のプレイヤーが暮らす、というゲームである。

特に徹底したのは、現実と同じように時間が流れる街だということ。
遊ぶ時間によって設定が変わるようにしたことで、
たとえば、街のスーパーが閉まった後の時間にしか遊べないお父さんのために、
昼間のうちに子どもが商品を買って、手紙でプレゼントしたり。
帰宅したお父さんが、夜中にしか現れないサカナを釣って、
こどもの家の前に置いておいたり。
そんな家族のコミュニケーションを次々と生みだしたのだ。

江口の、ひとりの父としての願いから誕生したどうぶつの森は、
今日も日本中で、家族の時間をつくっている。


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福宿桃香 16年8月13日放送

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昆虫採集 田淵行男

山岳写真家であり、
蝶の研究者でもあった田淵行男。
4歳で母を亡くし、
幼少期のほとんどを外で過ごした彼にとって、
虫は一番の友達だった。
自らの誕生日の6月4日を勝手に「ムシの日」と呼び、
虫との絆を自慢していた程である。

ある時いつものように虫を追いかけていると、
巨大な青紫の羽を広げたオオムラサキが
田淵少年の虫取り網をひらりとすり抜けた。
彼が蝶の虜になった瞬間だ。

やがて、蝶は彼の生きがいになっていく。
わずか13歳にして、母についで父を亡くした時も。
戦争で強制疎開を命じられた時も。
パーキンソン病を患った時も。
蝶を探して山に登っている間は、すべてを忘れられた。

生涯をかけた蝶探しの旅と新発見の数々は
国内外で広く称えられたが、
当の本人は、何度も幼少期をやり直せたかのようで
ただ嬉しかったと、静かに笑っていたという。


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福宿桃香 16年7月16日放送

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APOLLO 11 吉田和哉

 大切なのは、ワクワクすること。
 宇宙にワクワクするなら、その道に進もうと思ったんです。


アポロ11号が叶えた人類初の月面着陸は、
日本でも生中継され、多くの人たちが見守った。
当時8歳だった吉田和哉も、そのうちの一人だ。

アポロは彼の夢になった。
大学では工学部に進んだがその気持ちは変わらず、
「宇宙ロボット」というジャンルを開拓。
自分の手がけたロボットが宇宙へ行く日を目指して、情熱を注いだ。

そして今。
吉田はもう一度違う形で、
アポロ11号に出会おうとしている。
民間の月面探査チーム「HAKUTO(ハクト)」が来年、
吉田の制作したロボット探査機を月に飛ばし、
アポロ着陸の痕跡を探す予定なのだ。

47年の時を経て、憧れに間もなく、手が届く。


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福宿桃香 16年4月9日放送

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たまごの話「アルビン・カイランの卵料理」

ふわふわのマッシュポテトを瓶に入れ、
上から生卵をのせて、湯せんすること5分。
半熟になった卵とポテトを一気に混ぜたら
焼きたてのパンにのせ、かぶりつく。

あたらしい卵料理として人気を集めている「エッグスラット」。
ブームは、ロサンゼルスの小さな屋台、
その名も「エッグスラット」から始まった。

オーナーのアルビン・カイランは、幼い頃から卵が大好きだった。
エッグスラットを思いついたのは、料理学校時代。
「瓶をつかったレシピ」という課題を出され、
大好物の卵を使いたいと考え抜いたそうだ。

卵に情熱を注ぐ彼は、朝食にも情熱を注ぐ。
ロスで店を始めたのも、現地の朝食に疑問を抱いたからだ。
平日は、出勤途中にドライブスルーで済ませてしまう。
休日は、巨大な甘いパンケーキばかり。

そんな状況を見て、カイランはこう語った。

 流行の最先端の、真逆を追い続けたい。
 そこに正しいやり方と正確な技術があれば、
 人はいちばんシンプルな料理にちゃんと感動できる。


本当に良い朝食を届けるために。
卵を片手に、彼の挑戦はつづく。


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