mimimarker
ロボット① 倉田光吾郎
高さ4メートル、重さ4トン。
一歩踏み出すたびに地響きのように大地が動く、
そのロボットの名は「クラタス」。
大きいだけではない。
なんと、人が乗りこんで操縦することができる。
アニメから飛び出したような、夢のロボットの発売に、
世界中のロボットファンが熱狂した。
制作者の一人である、倉田光吾郎さんはこう語る。
4メーターサイズのロボットが動いたら、
怖いのか、面白いのか。
そういう感覚をいっぺん感じてみたかった。
誰よりも、自分が欲しいから作る。
そんな製品開発があっても、いい。
2015 年 3 月 のアーカイブ
飯國なつき 15年3月29日放送
飯國なつき 15年3月29日放送
Takashi H
ロボット② キロボ
2013年8月、
宇宙に初めて行った、ヒト型コミュニケーションロボット、
「キロボ」。
国際宇宙ステーションでは
宇宙飛行士の若田さんと会話実験にも取り組み、
その様子を動画で、地球に届けた。
若田さんが一足先に地球に帰還するとき、
「一緒に帰れなくてごめんね」と謝ると、キロボはこう返事した。
気にしないで。僕が乗ると、定員オーバーになっちゃうから…
無機物であるはずのロボットに、
多くの人が、少しだけ、涙した。
飯國なつき 15年3月29日放送
kirainet
ロボット③ ブルーノ・メゾニエ
『世界初、感情を理解するロボット』と銘打ち発売された「Pepper」。
これまでのロボットとは一味違う軽妙なしゃべり口で、
お笑いコンテストにまで出場した。
開発を担当したのは、アルデバラン・ロボティクス社。
CEOのブルーノ・メゾニエは、
Pepperの上半身だけが人型なのはなぜ?と記者に問われ、
こう答えた。
コミュニケーションの大半は頭と腕、胸の部分で行うからです。
コミュニケーションにおいて脚はそれほど大切ではありません。
ロボットの開発は、
「人間とはどんなものか?」を浮き彫りにしていく作業でもある。
森由里佳 15年3月29日放送
Ars Electronica
ロボット④ ロボットと感情
もし、ロボットに感情があったら。
主人である人間に嫌悪を抱き、反乱を起こすのではないか。
そんな不安が、多くの文学や映像作品で描かれてきた。
しかし、
アンドロイド研究の第一人者である石黒浩教授は、
あっさりとこう答える。
人を傷つけるかどうかは、人とアンドロイドの関係次第です。
人がアンドロイドを受け入れ、共存することを望むなら、
多少傷つけられても
一緒にいたいと思える関係を築けるようになると思います。
人間だろうが、アンドロイドだろうが、
一緒にいたい相手をたいせつにすること。
そんな当たり前のことを忘れて不安がることには、
なんの意味もない。
森由里佳 15年3月29日放送
wintersweet
ロボット⑤ ロボットと人間
ロボットは、壊れやすい。
それは、工業製品としては大きな欠陥である。
丈夫で優秀なロボットを作ろうと、もがく研究者もいる中で、
これを面白がる人がいる。
デザイナー 山中俊治。
彼は語る。
すぐに壊れてしまう、死んでしまう。
生物においてそれは当たり前の特性。
そういう人工物を、予測不可能性を抱えた物を、手に負えない物を、
ようやく作れるようになったのだと思う。
その魅力を追求すべきだ。
ロボットの壊れやすさ。山中は、欠陥とされるそれに
生きものらしさと愛おしい魅力を感じた。
それが彼を惹きつけた。
欠点を魅力だと思えた時、人は夢中になるのかもしれない。
森由里佳 15年3月29日放送
ロボット⑥ ロボットと労働
ロボティクスの進歩は、将来、人間の仕事を奪うのだろうか。
日本を代表するロボティクスベンチャーで活躍する松尾幾代は、
そんな通説を気持ちよく覆してくれそうだ。
彼女が開発を一手に担うのは、パワーローダー。
人が身に着けることで、人の何倍もの力を出すパワードスーツだ。
肉体労働の現場で働く男性をサポートするのが目的かと思いきや、
彼女が目指すのは、使い手を選ばないユニバーサルなものだという。
初めは、男性が使うことになるでしょう。
でもいずれは、そういった職場へ女性が進出するきっかけにしたい。
人間の仕事を奪うどころか、女性が活躍できる新たな可能性も拓く。
松尾幾代のロボティクスは、そんな未来を見せてくれる。
蛭田瑞穂 15年3月29日放送
ロボット⑦ ロボットと文学「アイザック・アシモフ」
SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボット工学三原則」。
「人間への安全性」「命令への服従」「ロボット自身の自己防衛」
という3つの原則を示し、フランケンシュタインなど
初期のSFから繰り返されてきた「ロボットが創造主を破滅させる」
というプロットに意義を唱えた。
ナイフに柄がついているように、
人間がつくるものには何らかの安全装置がなければならない。
科学者でもあるアシモフはロボットのあるべき姿をそう規定した。
ロボットはやがてSFを超えて現実のものとなったが、
アシモフの提唱した「ロボット工学三原則」は
現実のロボット工学にも影響を与えているという。
蛭田瑞穂 15年3月29日放送
ロボット⑧ ロボットと文学「カレル・チャペック」
旧チェコスロバキアの国民的な作家なカレル・チャペック。
ある時チャペックは、人の代わりに労働をする
人造人間が登場する物語を構想した。
しかし、その人造人間をなんと呼べばいいのか。
悩んだチャペックが兄のヨーゼフに相談すると、兄が言った。
じゃあロボットにしたら。
「強制的な労働」を意味するチェコ語の“robota(ロボタ)”。
兄はその言葉を元にロボットという名前を思いついたのだ。
こうしてカレル・チャペックの戯曲
「R.U.R.(エル・ウー・エル)」によって
「ロボット」という言葉が初めて世に登場した。
ロボットは機械でも装置でもなく、文学として生まれた。
中村直史 15年3月28日放送
erinc salor
気になるあの人 ボビー・マクファレン
音楽家はふつう、観客に音楽を聞かせる。
けれどここに、観客の音楽を聞く音楽家がいる。
ジャンルを超えた
音楽を創造しつづけるアメリカの音楽家、
ボビー・マクファレン。
ある日、オーケストラを指揮していた彼は
突然、観客のほうに振り向くと
指揮棒をあげ、こう言った。
みんなアヴェ・マリアを習ったことはあるよね?
振り下ろされる指揮棒。
あちこちから、かすかな歌声が起こる。
とまどいがちだった歌は、
重なり合うことで自信に満ちた音楽へと変わっていった。
音を響かせあう楽しさが、そこにあった。
聞く側と、聞かせる側。
ボビーはそんなジャンルさえ、飛び越える。
中村直史 15年3月28日放送
Sugawara / yuma
気になるあの人 宮井和夫
サメやカツオ、それにタコ。
カラフルな姿で車体からあふれんばかりに描かれている。
こんなタクシーが走る街は、きっとほかにない。
発案したのは、
気仙沼観光タクシーの宮井和夫(みやい かずお)社長。
震災後の灰色の街を明るくしたかった。
街歩く人を、ちょっとでも楽しい気持ちにさせたかった。
苦しい思いをした地域。
だからこそ、世界一幸せになる権利もあると思うんです。
宮井さんの語る希望は、
未来ではなく「今ここ」という現実の時間の中にある。