蛭田瑞穂

蛭田瑞穂 20年1月12日放送

Okinawa Soba (Rob)
和服  フライトアテンダントの着物

着物を着たフライトアテンダントがかつて存在していた。

1954年、日本航空が初の国際線となるサンフランシスコ便を就航させる。
その便ではファーストクラスを担当するフライトアテンダントは
機内で制服から着物に着替え、旅客をもてなした。

元旦のフライトではエコノミークラスにも足を運び、
お屠蘇を振る舞うサービスもおこなわれたという。

着物のフライトアテンダントはジャンボジェットの時代に至るまで
30年以上に渡って続けられたが、1990年に惜しまれつつ終了した。


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蛭田瑞穂 20年1月12日放送

時事通信社
和服  大発会の着物

東京証券取引所の年始最初の取引日を大発会と呼ぶ。

昭和の時代、大発会の日は、女性社員は晴れ着で出社し、
着物姿で伝票の仕分けなどをしていた。

人の手からコンピュータシステムに変わった今も
晴れ着を着る風習は続いている。

大発会には晴れ着を着た証券会社の女性社員が並び、
新年にふさわしい華やかさを添える。


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佐藤日登美 20年1月12日放送

首相官邸
和服  即位礼正殿の儀の装束

令和元年、10月22日。
即位礼正殿の儀が執り行われた。

天皇陛下が国内外に即位を宣明する儀式。
そのお言葉とともに、装束姿も注目された。

平安時代を思わせる黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と呼ばれる装束を身にまとった天皇陛下に続くのは、十二単姿の皇后さま。
一番上の御唐衣(おんからぎぬ)は白と萌葱色、その下に薄紫色と赤のグラーデーションが美しい。

時代の変わり目にしか見ることができない、雅なお姿だ。


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佐藤日登美 20年1月12日放送


和服  国民祭典の着物

令和元年、11月9日。
「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」の場で祝辞を述べた、女優・芦田愛菜さん。
彼女が着た着物は、老舗呉服店・鈴乃屋が用意した。

生成色に菊の花の刺繍が施され、豪華ながら上品な佇まい。
着物に描かれた「紗綾形(さやがた)」と呼ばれる文様は「卍」の文字を斜めに崩し、
連続的につなげたもので「家の繁栄」「永遠」「長寿」を意味する。

100年ほど前から、誰も袖を通したことがないという貴重な着物。
新しい時代の幕開けに彩りを添えた。


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星合摩美 20年1月12日放送

Christian Kaden
和服  結ぶ

洋服が身体に合わせ立体的に裁断されるのに対し、
和服は平面的に仕立てられる。
言わば一枚の大きな布。
それらを何本もの紐で結ぶことで、着物となる。

浴衣のような単純な着物でも、
腰紐、伊達締め、帯の3種類の紐が必要だ。
一本一本紐を結んでいく動作は、身も心も引き締める。

結ぶという言葉には、互いの関係をつくるという意味もある。
縁を結ぶ。
契りを結ぶ。
ここにも身も心も引き締まるような瞬間がある。

今年も結びの国ニッポンのあちこちで、
たくさんのご縁が結ばれますように。



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星合摩美 20年1月12日放送

Snake Head 1995
和服  福助足袋

明治30年。
大阪堺市の足袋の店「福助」は、大阪市内への進出を目指した。
しかし、知名度が低かったために大苦戦。
起死回生の宣伝キャンペーンを行なった。
市内の家々に、片足だけの足袋を投げ込んだのだ。

すると、片足の足袋の代金だけを持って、客が店に押し寄せた。
これを機に、店の名も瞬く間に広まり、
売り上げも大幅にアップした。
実質半額で足袋が買える、投げ売りならぬ投げ込みキャンペーンだった。


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森由里佳 20年1月12日放送


和服  呉服

着物のことを和服というが、
呉服、というのも聞いたことがあるのではないだろうか。

諸説あるが、呉服の呉は、
三国志にも出てくるあの呉だと言われている。
それまで麻などが中心だった日本に、
呉の国からシルクという新しい生地がもたらされ、
それが着物のはじまりとなった、というわけだ。

現代でも、ときおり街中で見かける「呉服屋」さん。
今なおその屋号をかかげる裏には、
外国の高級な生地で仕立てた服を売るのだという、
誇りのようものがあるのかもしれない。


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森由里佳 20年1月12日放送


和服  呉服屋

三越が呉服屋から始まったというのは有名な話だが、
呉服を一般の人びとに広めたのも三越だ。

「店前現銀無掛値」(たなさきげんきんかけねなし)
これは三越が1683年に掲げたスローガン。
きちんと店頭で、定価で売りますよ、という意味だ。

当時、決まった値段は示されず、
裕福な人間しか購入できなかった呉服。
そんな中、三越は価格を抑え、定価の値札を提示することで、
呉服をふつうの人びとにも開放したのだ。

ちなみに、世界でこの販売方法が始まったのは
アメリカ・フィラデルフィア、1876年。
三越の、およそ200年も後のことである。


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蛭田瑞穂 19年12月8日放送


こわい 幽霊塔

イギリス生まれの作家、アリス・マリエル・ウィリアムソンが
1898年に発表した小説『灰色の女』は
時計塔のある古い屋敷を舞台にしたミステリー。

これを明治の作家、黒岩涙香が『幽霊塔』という題名に変えて翻案した。

のちに江戸川乱歩が『幽霊塔』に独自のアレンジを加えて翻案、
さらに子ども向けには『時計塔の秘密』という作品に仕立てた。

『灰色の女』の流れを汲む作品はまだある。
『ルパン三世カリオストロの城』に登場する時計塔は
江戸川乱歩の『幽霊塔』に触発されたものだと宮崎駿は言う。



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蛭田瑞穂 19年12月8日放送


こわい 幽霊

江戸川乱歩の初期の作品に『幽霊』という短編がある。

富豪の男と彼に恨みを持つ老人。
ある日、富豪は老人が死んだという知らせを聞く。
ところが葬式から四日目の朝、
死んだはずの老人から手紙が届く。
怨霊になって祟ってやるという内容だった。

その後も富豪のまわりには
幽霊の仕業としか考えられない事件が立て続けに起こる。
幽霊は存在するのか、それとも周到に仕組まれた復讐なのか。

若き日の名探偵明智小五郎が事件の謎に迫る。



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