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2018 年 2 月 のアーカイブ

熊埜御堂由香 18年2月25日放送

180225-01 jackyczj
喫茶の話 村上春樹のジャズ喫茶

村上春樹は小説家になる前、ジャズ喫茶を数年営んでいた。
窓のない地下の静かな店だった。

村上は店を開いた時の想いをこう語った。

 小さな店でもいいから、自分ひとりで
 きちんとした仕事をしたかった。

喫茶店という空間は、その店主だけが生み出せる
特別な時間が流れている。


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熊埜御堂由香 18年2月25日放送

180225-02 Shin Takeuchi
喫茶の話 狭山茶の歌

日本三大茶とも言われる埼玉県入間市の名産、狭山茶。
大正時代から製造を続ける新井園本店には
小さなカフェが併設されている。
狭山茶で、地元のひとの合間の
空き時間を豊かにしたい。
そんな想いで始めた。

 色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす。

とお茶摘みの女性たちが
収穫の合間に歌いながらお茶を育ててきた。
その甘く濃厚な味わいは、
地元の味を誇りに想う気持ちに、今も支えられている。


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石橋涼子 18年2月25日放送

180225-03 Querfeld GesmbH
喫茶の話 ツヴァイクとウィーンのカフェ

2011年に、ユネスコの無形文化遺産に登録された
ウィーンのカフェ文化が花開いたのは、19世紀後半だ。

その頃のカフェには、政治家から、音楽家、
演劇家、芸術家、文学者など、様々な種類の人が集った。
逆に言えば、集う客の種類によって、
その店の個性が育まれたとも考えられる。

例えば、
建築家アドルフ・ロースが設計したカフェ・ムゼウムは
画家のクリムトを始めとする芸術家や建築家たちが集まり、
新しい時代のデザインについて語り合った。
ブルク劇場のそばにあるカフェ・ラントマンは、
役者や政治家が多く集い、
エレガントな雰囲気を売りにした。

当時のウィーンで裕福なユダヤ人家庭に生まれ、
後に亡命せざるを得なくなった作家のツヴァイクは
後年、若かりし頃のウィーンの文化を回想して、こう語る。

 あらゆる新しいものに対する最良の教養の場は、
 常にカフェであった。


コーヒーと共に、多くを学べる場でもあった
19世紀末のウィーンのカフェからは、
ウィーン分離派や合理主義、青春ウィーン派など
多くの文化が巣立った。


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石橋涼子 18年2月25日放送

180225-04 nicocarver
喫茶の話 トルコ・コーヒーの価値

水から煮たてたコーヒーの、上澄みだけを飲む
トルコ・コーヒーを、ご存知だろうか。

トルコで一般的な飲み物と言えばチャイだが、
おもてなしの際にふるまわれるのは、トルコ・コーヒーだ。
美味しいトルコ・コーヒーは、
つくるのに手間と時間がかかるのだ。

トルコには、こんな古いことわざがある。

 一杯のコーヒーには40年の思い出がある。

それだけの想いを込めて淹れているとも、
その味はずっと記憶に残るとも、解釈できる。


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薄景子 18年2月25日放送

180225-05 KathrynW1
喫茶の話 ヘンリー・ジェイムスの言葉 

英国で生まれた午後の優雅な喫茶習慣、
アフターヌーンティー。

ふわりと立ち上る高貴な香り。
紅茶とともに、サンドイッチやスコーンを
2、3段重ねのティースタンドにのせて楽しむ
上流階級文化の精髄である。

かつてイギリスでは、1日2食が主流だったため
小腹を満たすために始まった習慣らしい。
上流階級の女性たちにとって、
夕方は観劇やオペラを楽しむ社交タイム。
夕食前の空腹を紛らわすのにちょうどよかったことも
広まった理由だとか。

そんなアフターヌーンティー文化に
魅せられた小説家、ヘンリー・ジェイムスは
こんな言葉をのこしている。

 午後のお茶という名で知られる儀式に
 費やされる時間ほど、
 心地よい時は人生でそうたくさんはない。



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小野麻利江 18年2月25日放送

180225-06 yu-sui.net & cooperators
喫茶の話 談話室滝沢

かつて東京に4店舗あった喫茶店、「談話室滝沢」。
広々とした店内は、長居のできる落ち着いた雰囲気。
黄緑色の椅子とカーペット、
そして、錦鯉が泳ぐ小さな滝がトレードマーク。
また、従業員は、すべて正社員。
社員寮で徹底した接客教育を行っていた。

しかしそんな滝沢も、
2005年に、惜しまれながら閉店。
従業員の確保とサービスの質を保つのが
難しくなったというのが、その理由だった。

喫茶というサービスにかける、並々ならぬプライド。
社長の滝沢次郎氏は、かつてこう語っている。

 滝沢がお客様に売るものは
 コーヒーではなく、
 社員の人格・礼儀作法である



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茂木彩海 18年2月25日放送

180225-07 metrognome0
喫茶の話 中上健次と喫茶店

喫茶店とは不思議なもので、
職場では一切手につかなかった仕事や、まとまらなかった考えが
ここへ来るときれいに片付いたりする。

作家、中上健次も喫茶店に助けられた小説家のひとり。

特に通ったのは新宿中央公園近くにある「ブラジル館」。
新宿で夜通し飲んだ中上は、夜が明けるとブラジル館に現れ、原稿を書いたという。

 『コーヒーひとつ』とウェイトレスに頼む。
 その時から、区切りをつけて店を出るまで、私は一種の催眠状態にいる。


誰にも邪魔をされない自分だけのサンクチュアリを求め、
今日も誰かが喫茶店の扉をひらく。


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茂木彩海 18年2月25日放送

180225-08
喫茶の話 カフェの4つの自由

16世紀に生まれた「カフェ」はもともと
お茶を飲む場所というより、人々が自由に交流する
社交場の意味合いが強かったと言われている。

 居続けられる自由
 思想の自由
 時間的束縛からの自由
 そして振る舞いの自由


カフェ研究家、飯田美樹が定義するカフェの4つの自由。

友人と普段できない真面目な話をするもよし。
恋人と見つめ合うもよし。
時間を忘れて好きな本を読むのもいい。

おいしいお茶と居心地の良い空間。
それさえあれば人はいつでも自由になれる。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-01 norihito
お鍋はいかが

鍋料理ほど新鮮な料理はない。
と言ったのは、かの北王子魯山人。

 材料が生きている。
 料理する者が緊張している。
 そして、出来立てを食べるのだから。
 と、つづける。


今晩、お鍋はいかがですか。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-02 typester
お鍋はいかが ちゃんこ鍋

四季を通じて、
相撲部屋で湯気を立てる、ちゃんこ鍋。

煮立った出汁に骨つきの鶏を入れ、
季節の野菜を加えて煮るのが一般的。

鶏を使うのには理由がある。
手をつかず二本足で立つ鶏が、
負けない力士の姿を連想させるからだとか。

その鍋は、お腹といっしょに、
闘志まで満たしてくれる。


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