2018 年 2 月 24 日 のアーカイブ

渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-01 norihito
お鍋はいかが

鍋料理ほど新鮮な料理はない。
と言ったのは、かの北王子魯山人。

 材料が生きている。
 料理する者が緊張している。
 そして、出来立てを食べるのだから。
 と、つづける。


今晩、お鍋はいかがですか。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-02 typester
お鍋はいかが ちゃんこ鍋

四季を通じて、
相撲部屋で湯気を立てる、ちゃんこ鍋。

煮立った出汁に骨つきの鶏を入れ、
季節の野菜を加えて煮るのが一般的。

鶏を使うのには理由がある。
手をつかず二本足で立つ鶏が、
負けない力士の姿を連想させるからだとか。

その鍋は、お腹といっしょに、
闘志まで満たしてくれる。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-03 Yu Morita
お鍋はいかが すき焼き

作家の山口瞳が編集者だった頃、
ある小説家宅の食事に招かれた。

出されたのは、すき焼き。
よろこんだのもつかの間、
主人はいわゆる鍋奉行だった。

肉に箸をのばすと「それはまだ早い」。
またのばすと「出汁を足せ」。
そろそろかとのばすと「薄くなった。」と砂糖を入れだす。

ついにひとつの肉も食べられなかった山口。
その姿は、奉行の裁きにうなだれる
罪人のようだった。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-04
お鍋はいかが 鱈ちり

魚に性格があるとしたら。
作家の江國香織は、
こんなイメージを広げる。

鮭は優しくて、鰯は陽気。
かますは几帳面で、鯛はちょっと意地悪そう・・・

そして、鱈ちりを食べながら、
こんなことを考える。

私は鱈になりたい。
知性も品もあるし、
身がほどけるところもいい。

作家というのは、
舌の感受性も豊かなんだろうかと
うらやましくなる。


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渋谷三紀 18年2月24日放送

180224-05 lilyfan
お鍋はいかが 湯豆腐

随筆家の神吉拓郎が、
湯豆腐の魅力について書いている。

 立ちのぼる湯気。
 グツグツとたぎる音。
 豆腐の簡潔な白さ。
 何より、味の心配がいらないこと。


安心だったり、気やすさだったり。
わたしたちは鍋を囲んで、
そういうものに、
手を伸ばしているのだろう。


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