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薄組・茂木彩海

茂木彩海 17年6月25日放送

170625-04 John-Mark Kuznietsov
日記のはなし 森見登美彦の日記修行

小説家の森見登美彦は、
中学一年生の時から大学を卒業するまで、
1日1ページ日記を書くという習慣を自分に課していたという。

その量、10年間で大学ノート60冊分。

 結局、小説だって、一番最初は自分が読む、自分に読ませる。
 だから自分で読んで満足するようなものを書かないと
 しょうがないと思うんです。


自分の文章がどんな具合か。

森見さんに倣って日記で見直してみるというのも
良い方法かもしれない。


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茂木彩海 17年6月25日放送

170625-07
日記のはなし せきらら蜻蛉日記

女流日記のさきがけと言われている蜻蛉日記。
作者は藤原道綱の母。

内容はと言うと、夫への不満、愛人への嫉妬…などなど。
彼女の身分では決して口に出せない男女に関する本音だらけ。

 人にもあらぬ身の上まで書き日記にして、めづらしきさまにもありなむ

こんな身の上でも日記として書いてみたら、
なおのこと珍しく思われることだろう。

彼女の狙い通り、
せきららな告白が詰まった蜻蛉日記は
他の日記文学と比較しても珍しく、
いつの世も、人には言えない思いをしたためるのが
日記の醍醐味であることを教えてくれる。


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茂木彩海 17年5月28日放送

170528-08
ダンスのはなし 土方巽のことば

日本独自のダンスに、暗黒舞踏というジャンルがある。

確立させたのは土方巽だと言われているが、
彼はこんな言葉も残している。

 自分の肉体の中の井戸の水を一度飲んでみたらどうだろうか。
 ところが、みんな外側へ外側へと自分を解消してしまうのですね。


天を目指すバレエとは真逆に、
座り込み、床に転がり、身体全体で表現される土方の舞踏。

身体の奥底から絞り出されたその動きは、
土方の生き方そのものを表している。



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茂木彩海 17年4月30日放送

170430-06
図書館の話 冬眠図書館

18種類の架空の仕事と、その従業員のインタビュー集。
タイトルは、「じつは、わたくしこういうものです」。

この中に、一風変わった図書館が登場する。

なんでも、その図書館は冬の間だけ小さな森の中に夜通し開いていて、
お夜食としてコーヒーと、パンと、シチューがふるまわれるという。

司書は、そのシチュー当番を任される重要な役職だ。

冬眠図書館は
冬眠するように本を読むための図書館です。

誰にも邪魔されず一人、本の世界にこもる。
本好きの夢が、ここにある。


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茂木彩海 17年3月26日放送

170326-05
風の話 「多分、風。」

冬が終わり、耳元をあたたかい春風がかすめると、
なんだか懐かしいような、甘ったるい気分になる。

サカナクションの楽曲、「多分、風。」。

 畦 走らせたあの子は 多分 風
 焦らせたあの仕草は 多分 風

自転車であっさりすれ違った「あの子」と「自分」。
その瞬間に起きた「風」を
実はお互いを気にしている「空気」として描いている。

 風走らせたあの子にやや熱い視線
 焦らせたこの季節に 連れて行かれたら


風が起こるのは、そこに何かのエネルギーがあるから。
それが恋だとしても、おかしくないのかもしれない。



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茂木彩海 17年3月26日放送

170326-06
風の話 風の妖怪かまいたち

日本では昔から、摩訶不思議な出来事が起きた時、
その出来事に名前をつけ、妖怪の仕業だと考えていた。

たとえば、外へ出て冷たい風に触れると
知らない間に太ももや手の甲などにあかぎれができる。
これは、かまいたちという妖怪の仕業。

冷たい風もようやく春風に変わる3月。
かまいたち達も、
気持ち良い風を受けながらまどろんでいるころだろうか。



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茂木彩海 17年2月26日放送

170226-04
手のはなし 松浦弥太郎の手

 指先と手を常に清潔に。

これは文筆家、松浦弥太郎が定めた
「100の基本」の中の33番目の基本である。

 ものをさわる、仕事をするなど、
 手というのはとても大切な道具です。
 一番上等で大活躍する道具として、
 指先と手の手入れはくれぐれも抜かりなく。


松浦に倣い、たまには休めた手をじっと見つめ、
ねぎらいの言葉を掛けてあげるのも良いかもしれない。


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茂木彩海 17年2月26日放送

170226-06
手のはなし 自然の手仕事

『沈黙の春』で知られる作家、レイチェル・カーソン。

海洋生物学者でもある彼女は、著書の中で自然を丁寧に描写し、
そのまなざしは、雄大な自然にはもちろん、枯葉の下の小さな虫にも注がれる。

 自然のいちばんの繊細な手仕事は、
 小さなもののなかに見られます。


彼女の最期の手記、『センス・オブ・ワンダー』に残された
この一節。

自然が生んだ造形を「手仕事」
と表現する彼女の言葉には、
その「小さなもの」を、見事な出来栄えの工芸品を扱うように
実際に手にとり、近くで眺めてみてほしいという
想いが込められているようだ。


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茂木彩海 17年1月29日放送

170129-03 Mugu-shisai
宇宙のはなし 三島由紀夫の解釈

三島文学としては異例の
宇宙人やUFOが登場する小説、「美しい星」。

物語の主役は、埼玉県に暮らす四人家族。
地球で暮らしながら自分たちは宇宙人である
という自覚を持っていて、
人類滅亡の危機を救うべく奮闘する姿が描かれる。

 この小説を書く数年前、私は「空飛ぶ円盤」に熱中してゐた。
 しかし、どんなに努力しても、円盤は現はれない。
 そこで私は、「空飛ぶ円盤」とは、一個の芸術上の観念に
 ちがひないと信じるやうになつたのである。


宇宙にあこがれながらも、一方で
「空飛ぶ円盤」は観念であり、芸術なのだと説く三島の解釈に
なんとなく納得してしまうのは
宇宙をテーマにした芸術作品がこの地球に星の数ほど存在するから。

これからも、私たちは夜空を見上げ、宇宙を想い、
またあたらしい作品を生み出していくのだろう。



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茂木彩海 17年1月29日放送

170129-04
宇宙のはなし 野口聡一の言葉

アジアを代表する宇宙飛行士、野口聡一。
宇宙での経験談としてこんな感想を述べている。

 最初に驚くのは、動くものは止まって見えて、
 止まっているものは動くことかな。
 謎かけみたいですけど、この二つは大きいと思います。


時には凝り固まった常識を捨て、違う目で物事を見る。
宇宙にだって、大切にしたい教訓は溢れている。


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