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藤本組・永久眞規

永久眞規 17年6月10日放送

170610-03
時の記念日 ベンジャミン・フランクリン

早寝早起きは、人を健康で、裕福で、賢明にする。

 Early to bed and early to rise,
 makes a man healthy, wealthy and wise.

アメリカ建国の祖のひとり、
ベンジャミン・フランクリンは大変な倹約家だった。

夜明けとともに起き、日没とともに眠れば、
ろうそくも節約できるという考えから、
フランスの新聞「Journal de Paris」でサマータイムを提案。

しかし、18世紀当時は人々の理解を得られず、
彼の考えは忘れ去られていく。

思いがけないタイミングで
サマータイムのアイデアが見直されたのは、約100年後。
エネルギー不足が深刻だった第一次大戦中。
まさに時代の要求にかなっていたのだ。

人を健康で、裕福で、
賢明にするはずだった彼の考えは、
皮肉にもその真逆にある戦争から
普及していくことになる。

それからさらに100年。
サマータイムは、人々にどんな時間をもたらしているのだろう。

きょうは、時の記念日。


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永久眞規 17年5月20日放送

170520-04
計量の話 柴田音吉

きょうは「世界計量記念日」。
日本人初の本格テーラーとして知られる柴田音吉。
10歳の頃から裁縫を学んでいた彼は、
神戸で洋服店を開いていた英国人に弟子入りし、腕を磨いた。
その丁寧な仕立てと着心地のよさは評判となり、
あの伊藤博文も通うほどであった。

あるとき、明治天皇の洋服を依頼された柴田。
しかし、直接採寸することは許されなかった。
最高の一着をつくるには、どうしても採寸が欠かせない。
あくまでその点にこだわった柴田は、

 陛下のお身体には触れないので、
遠くから目測でサイズをお測りしたい。


と願い出たという。
柴田のこだわりがつまったその仕上がりには、
明治天皇も非常に満足したそうだ。

やがて明治政府によって
「礼服は洋装にする」という太政官布告が出され、
日本にも洋服が広く定着していくことになる。
その陰には、採寸にこだわる天才テーラーの活躍があった。


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永久眞規 17年5月20日放送

170520-05
計量の話 香川綾

きょうは「世界計量記念日」。
今ではどんなレシピにも使われている
計量スプーンと計量カップ。
もとは、日本に栄養学を普及させた
香川綾が考案したものだ。

戦後、日本の計量はメートル法に変わったが
一般家庭にはなかなか浸透せず、
匁やグラムが混在していた。

調味料の単位がバラバラだと
塩分や糖分の摂取量が把握しにくく、
日本人の健康を損なうかもしれない。

そう考えた香川は、
計量スプーンと計量カップを製作。
さらにヘラをつけることで、
すり切り1杯や2分の1杯など
より細かく正確に計れるよう工夫を凝らした。

たった1グラムの違いも、
毎日口にすれば大きな違いになる。

おいしくて栄養のある料理が
家庭で手軽に作れるのは、
彼女の細やかな思いやりのおかげなのだ。


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永久眞規 17年2月11日放送

170211-01
ぬいぐるみの話 A.A.ミルン

1926年、スコットランド人のA.A.ミルンが発表した
“Winnie-the-Pooh”は、
愛する息子クリストファー・ロビンに贈った物語。

物語の主役Poohをはじめ、他の仲間たちもみんな
息子が大切にしていたぬいぐるみだ。
自分のぬいぐるみたちが活躍する物語に、
幼いクリストファーは胸を躍らせたことだろう。

しかしこの素敵な贈り物が。
やがて親子の間に亀裂を生むことになった。

クリストファーは大人になっても
つねに“物語の中のクリストファー・ロビン”と比べられ、
その陰に苦しめられたのだ。

「物語のクリストファーは父の夢の中の理想のボク。
 しかし、誰もが彼をボクだと思うんだ。」


彼は次第に、作者である父親をひどく憎むようになっていく。

この優しくあたたかい物語がもつ、
もうひとつの悲しい物語だ。



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永久眞規 16年12月10日放送

161210-01
1702年12月14日の雪

 あら楽し 思ひは晴るる 身は捨つる
 浮き世の月に かかる雲なし


忠臣蔵で有名な大石内蔵助の辞世の句である。

ドラマや映画では雪の降る日に描かれる
吉良邸への討ち入りだが、
実際は前日までに雪は止み、
夜明けの空に月が輝いていたそうだ。

 「浮き世の月に かかる雲なし」

まさに内蔵助の晴れ晴れとした気持ちのような
空だったのだろう。

だが忠臣蔵のイメージといえば、やはり雪なのだ。
復讐の炎が似合うのは、
凍てつくような雪の降る日なのである。


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永久眞規 16年11月12日放送

161112-02
陸奥亮子と洋服

陸奥宗光の妻、陸奥亮子は
もとは新橋の芸妓だった。

宗光に見初められ社交界に入った亮子は、
「鹿鳴館の華」と呼ばれる。
さらに夫が駐米公使になると、ともに渡米。
その美貌と聡明さで「ワシントン社交界の華」となった。

着慣れていた着物を脱いで洋服を着こなし、
世界の賞賛を集めた大和撫子。
彼女こそ、文明開化そのものだった。


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永久眞規 16年10月8日放送

161008-05 Daniel Wehner
読書の話 佐野洋子

小学生の時から、
夏目漱石もモーパッサンも読んでいた。
児童書から大衆小説まで、
それはまるで活字を食らうように。

「100万回生きた猫」で名を馳せた
絵本作家の佐野洋子。
読書家の彼女は若いころを振り返り、こう言う。

 次、生まれるならバカな美人に生まれたい。
 本を読む中途半端なインテリは、
 生意気で感じが悪くて口ばっか。
 気づいたら、そんなやつに自分がなっていたの。

彼女が気づいたのは、
背伸びして大人ぶっていた自分の
人としての「未熟さ」だった。

けれど若いころに読んできた本が
作家としての彼女をつくったのも事実だ。
100万回生まれ変わったとしても、
きっと彼女は本を愛してしまうだろう。


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永久眞規 16年9月10日放送

160910-03 Mark Giuliucci
かつてないをつくる人 山内溥

ババ抜き、七並べ、大富豪。
子供の頃、誰もが遊んだことのあるトランプも、
かつては大人の遊び「賭博」の象徴だった。

そのトランプに目をつけたのは、
当時任天堂の社長だった山内溥だ。

これは「賭博」以上の何かになりえるぞ。

そう考えた山内は、ある工夫をトランプに加えた。
それは、「プレイガイド」をつけること。
トランプの遊び方が書かれた説明書をオマケにつけて販売したのだ。

山内に考えは見事にあたり、瞬く間に子供を中心に大ブームに。
トランプは大人の賭博から、みんなのゲームになったのだ。

「トランプ」というハードに、
「プレイガイド」というソフトをつける。
後に任天堂が世界に名を馳せる基礎となった、
コンピューターゲームにも通じる考えだ。

カリスマ経営者として語られる山内は、
ゲームクリエイターとしても一流だったようだ。


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永久眞規 16年8月13日放送

160813-01 aes256
昆虫採集 養老孟司

夏を彩るセミの声。
その声が年々減っていることに
気を留める人は、どれほどいるのだろう。

現代人にとって虫はいないも同然になった、
と憂うのは脳科学者の養老孟司。

虫好きとしても知られる彼は、
人々がそんな小さな生命に
思いを寄せるきっかけになればと、
鎌倉の建長寺に「虫塚」をつくった。
毎年6月4日の「虫の日」には
昆虫採集家たちが集まり、
虫を供養する法要が営まれている。

たかが虫に、と思うだろうか。

けれど、騒々しいセミの声が聞こえない夏が
どれほど味気のないものになるか想像してみてほしい。

私たちは虫の音で季節を感じ、
虫を通して自然と共生してきたのだ。


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