三國菜恵のカンヌの話

これがよかった② : The New Directors’ Showcase

Saatchi & Saatchi主催の(超)人気セミナー。
世界各国の若手映像作家の中で
Saatchi & Saatchiが注目している人のフィルムを
つぎつぎと上映していくというもの。

わたしが行った去年は開場2時間ぐらい前からすでに列ができていて
みんないい席で観ようと必死なかんじでした。

フィルムにはその人らしい工夫が凝らしてあったり
新しいと感じられる視点が入っていたり
それをどんどんと見せられるので
まあ観てるほうはそんなに飽きないわけです。(しかも一本一本が短い)
多少英語わからなくても映像だからそれなりに意味もわかるしたのしめちゃう。
それがよいんでしょうね。

とはいえ、すっごくおもしろいかというと
うーん・・断言できる自信はないのですけど
カンヌにきたならこれは観ておけ!というもののひとつに
近年なっているようなので、
カンヌの空気にきちんと参加するという意味では
おさえておいて損はないと思います。

お得意さん(クライアントさんもいっしょにカンヌにくるケースがあるのです)と
いっしょにこれを観にきている人たちがいて、
それはとてもいいんじゃないかなあと思いました。
CMのディレクターさんのことなんて
そこまで考えたことないでしょうし、
「広告」だけじゃなくて「広告をとりまくもの」のはなしを
ふわーっとたのしく観られて、それをお互いに共有できるっていうのは
結構いいことなんじゃないかなあと思いました。

(You Tubeにこのとき流れたフィルムをまとめているチャンネルがあったので観たい方はぜひ

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これがよかった① : スクリーニング。フィルムの。

カンヌ広告祭の前半は
スクリーニングといって
出品作ぜんぶがばーっと並ぶ期間があります。
その中から審査が行われ、Bronze、Silver、Gold、Grand Prixと決まっていくわけですが
おもしろいものもつまらないものも全部並ぶのはこのときだけ。

一般的には、ある程度審査がすすんで審査を通過したものが並んだあたりから
見はじめるのがよいとされていて、
わたしも基本的にはそうしていたのですが、
フィルムだけはスクリーニングもちょっと見ておくとよいかも。
みんなだらーっと会場(映画館みたいなもんです)に座って、
つぎからつぎへと出品されたCMを観る。
おもしろいものにはみんながワッと笑い、
特に何とも、なものには何の反応もなく、
ひどくつまらないものにはブーッとブーイングが湧きおこる。
その反応を見ておくと、授賞式で答え合わせができるわけです。

「あ!あのときみんな笑ってたあれか。そりゃGoldだ」
「たしかにこのCM覚えてるなあ、Silverかあ、わかる」
「あれ?ちょっといいなと思ってたあのCMは圏外なんだ」

MTV のballoonsなんかは何回流れても拍手喝采でした

たとえばプリントやデザインやチタニウムなどの部門は
展覧会のように壁にボードがわーっと掛けられるのですが
これは全部読むのたいへん。しかも観てる間けっこう孤独。
でも、フィルムはみんなで観られて、その場その場で反応も返ってくるから
スクリーニング期間中もわりと退屈することなく観られるかなと思います。
おすすめさん。

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ごぶさたごめんなさい

今年もカンヌの季節がやってまいりました。

なんでも、今年カンヌに行く方の何人かが

この「カンヌの話」をのぞいていると聞き

なんだかとても申し訳なく思い、

ちゃんと去年の受賞作のこととか

これがおもしろかったと思う、ということも

ちゃんと書いておかなければと思ったので

書こうと思います。すみません。

顔も名前も知らないあなたのために書きます。

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あそんでしまってごめんなさい 20110622

せっかくなので
みんなで観光を、なんてことで
この日はあそびに行ってしまいました。

次の日からはちゃんとレポートしますんで、
すみません、すみません、てなことで
カンヌで出会ったおいしかったりうつくしかったりするものたちを
ばしばし紹介していきますよ。


          とにかくうつくしい海


       お金もちそうな船をみんなで眺める


  街角だけで絵になるアンティーブへ


           市場をのぞきに


  白い服を着てるひとがやたらに多い


             きれいな傘


             とあるお店へ


      おいしいブイヤベースをいただきました


    このお店の入口がすごかった


         ピカソ美術館へ(圧巻!)


          屋上から海が見渡せる


       屋上から空も見渡せる(かもめもいる)

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サインください 20110621

実は実は
コンペに出る以外にも
もういっこやってきたことがあるのです。

これ ↓

なにかというと、
日の丸Tシャツにサインしてください。
それでもって、日の丸を元気なお日さまにしてください。
といういわゆる復興プロジェクトをやってきたのです。

カンヌでは毎日
その日ごとのニュースを詰め込んだ日刊紙が
会場で配布されるのですが、
その中に上の広告を出稿させてもらったんですよ


             こんな冊子


           ぶじ出稿されてました

でもでも、これを出稿したからって
わたしたちを見つけて話しかけてくれる人は
少なかろうと思ったので

人の多い場所にいって、
実際に「サインください」って言ってきました。

人の多い場所といえば、パーティーだろ!

ということで


         すごい人ですよほんと

ちなみに、このパーティは
ヤング限定(28歳以下を対象にした)パーティー。
他にも毎日いろんなめくるめくパーティーが
開催期間中にひらかれていたそうですよ。


            サインプリーズ


         さらにさらにサインプリーズ

結論を言うと、すっごいいっぱいサイン集まりました。
そしてみんなすごいやさしかったです。
だーれもヤな顔しないし。うれしかった~

あと、みんなわたしたちが日本人だってわかると
「日本?オレ日本好きだよ!」とか
「日本のカルチャーってクールよね~」とか
話しかけられました。

彼らのいうカルチャーって
スシ・天プラ・Mt.富士
みたいなことだけじゃなくて、
いわゆるサブカルチャー的な部分への
興味が主だったのが意外でした。


青年のひとりに「月にかわってオシオキヨ~」って言われた


このひとたちは日本語で「イチ・ニ・サン・シー・ゴー…」と
数をかぞえて、「ジュー」まで数え終わるとハイタッチをする
というあそびを繰り返してしました

こんどオレ2年ぐらい日本に行くよ!よろしくねー
と言っていた若者は、日本にきたんだろうか。
風評被害ってことばが流行っているときだったから、
「行くよー」のひと言はとてもうれしかったです。


           サインだらけの背中

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そのあとのニース 20110620-5

マティス美術館を出たあとのわたしたちのことを
ダイジェストでお伝えします。


  美術館の外の高い岩の上に少年たちが乗っていた


         バスに乗って海のほうへ


               海!


               犬!


          絵に描いたような南仏


  セックスアンドザシティみたいなレディたちがいた


    大仏みたいなオブジェが空を支配する市内


        歩きつかれてビールを飲んだ


   帰り、カンヌと反対方向の電車に乗ってしまった


             山しかない


無事カンヌ方面のに乗れたけれど、気が気じゃなかった

慣れないことをするのはたのしいです。
(ただし二人以上にかぎる、ですが)

この日はもう、帰ってすぐ寝ました。

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かっこいいなマティスって 20110620-4

美術館のなかは写真撮影禁止なので
観たものを、書ける範囲でお伝えしてみます。


          入口近くにあった花

なにがすごかったか①
作品との距離が近かった。

作品の前に
ここから先乗り出しちゃだめ
みたいな線もひいていなかったし、
気になるものは細部までじーっと寄って観ることができる。

監視員さんも
高い作品なんだから汚してくれるな、みたいな
ピリピリした感じがぜんぜん無かった。

全体的に「美術館」というよりは
マティスの「家」みたいな感じ。
(アトリエに置いてあった家具とかも展示されていた。

とにかく、ゆったりのんびり観られる。
その感じがとってもよかったです。

なにがすごかったか②
絵以外の作品がたくさんあった。

もちろんマティス=「画家」なのだけれど、
絵を描く以外のこともいっぱいやってたことがわかった。

たとえばこれ

マティスの描いた「海」なのですが、

これ以外にもシルクスクリーンで同じもの描くことにトライしてたり
布に刺しゅうすること(ハワイアンキルトみたいなこと)もやってみてたり
いろんな領域をかじっていたのが、すごいなあと。

後日、ピカソ美術館にも行く機会があったのだけれどピカソもそうで、
絵筆を持つ日もあれば、陶芸をする日もある、彫刻をする日もある。

(マティスは晩年、教会をまるまるひとつ
(手がけることまでしていたというからおどろきです。

あたらしいこと覚えるのって大変だし、
実際はじめてみるとおっくうになることもあると思うのですが、
この人たちはそうじゃなかったんだなあ。
エネルギッシュ。
思いついたことはぜんぶやる。

そんな風に見えて、
すごいなあ、かっこいいなあ
でもそういうことできてない自分は
なんかちょっとくやしいなあ
この人たちより若いのになあ
と、思ってしまいました。

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ニースに行くことにした 20110620-3

特別な理由があったわけではありませんが
ニースに行くことにしました。

電車に乗れればそれでいいなあと思ったのと、
モナコにも行けるらしいけれど国境越えるのがこわかったのと、
とはいえほどよく離れているところがよかったので、ニース。

海外慣れのまったくしていない二人なので
切符を買うにもひと苦労。
でも、駅の人にはキホン英語が通じたので
なんとか改札をくぐれました。


           電車がきーたぞー

「国鉄」と聞いていたので
なんというか、もっと、単線みたいなの想像してたんです。
でも二階建て。新幹線みたい。
カンヌは日本でいう「熱海」みたいなとこ、らしいので
これは「スーパービュー踊り子号」みたいなものなのかもなあと
言い聞かせていました。


             ニースの駅


             ニースの駅前

ぶじ到着。
カンヌから30~40分ぐらいかかった・・気がする(体感時間による)

ここからどこを目指すかといえば
マティス美術館!
南仏には美術館がたくさんあるのです。
(シャガール美術館もニースにあるのだとか)

むかし教科書で読んだ気がする情報を、
まさか自分の目で体感できる日がくるとは思わなかった。


        奥の豆粒がわたしたち二人

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ボーゼンと街歩き 20110620-2

所在ないわけです。負けたので。
とはいえ一日の残りはたっぷりあるわけで。
でも、とりあえずおなかはすくわけで。

気になってたカフェに来てみました。
これ、写真ではまったく伝えきれてないのですが
ものすごくかわいいカフェです。
きれいなムラサキ色でいろんな調度品がまとまっていて。


         シャンデリアもあったですよ

でも、注文しようと思ったら衝撃のひと言。
「飲み物は出せるけど、朝ごはんを出していないの。バケットぐらいしかないのよー・・」

なんという凡ミス。
来てみたかった憧れは満たせても
おなかが満たせなきゃイミがないぞ。

でも、フランスってゆるやかで
まわりのお店で買ったものを持ちこんで食べても
ぜんぜん怒られないんです。
なので、となりのお店でサンドウィッチを買ってみました。

長い・・!
これで、300~400円ぐらい。
フランスパンと言うだけあって
やっぱり、フランスはパンおいしいです。

そして、調子に乗ってマカロンも購入。

でかい・・
おばけマカロンです。
甘いものは別腹!と言いますが
さすがに一部、後日に持ちこしました。

血糖値はあがったし、
さすがにちょっと元気になったけど
モヤモヤはとれず・・

二人して口を開いたら、気持ちは一致してました。

「とりあえず、今日はここにはいたくない」

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結果発表 20110620-1

20日AM10:00。 いよいよ


             結果発表ー!

プレス審査のお部屋にみんな集められ、
審査委員長からひとこと。
「君たちは実にすばらしい」
「あの短い時間で?ほんとにアメージングだ!」
「僕たちもとても刺激をもらったよ」
みたいなことをおっしゃっていた(と、思う・・)

そしてすぐさま発表。

BRONZE!

“Donate today to help them find clean, affordable water.”
(すぐに寄付を。彼らがきれいな水を手に入れやすくなるように)
手書きのイラスト風のビジュアルが目をひく。

SILVER!

“If humans are 65% water, Africans are just 35% human. ”
(人間の65%が水であるなら、アフリカ人は35%しか人間たりえていない)
これはコピー勝ち。メッセージに発見がある作品。

GOLD!

“Our pumps make water more than water. ”
(わたしたちの井戸はアフリカに水をもたらすけど、それ以上のものも与えている)
「水(=H2O)から広がるいい影響」を化学式のように描いていくというアイデア。
アフリカの現状のこともちゃんと伝えているし、ビジュアルもきれい。なんともクレバーな印象。

なかったね 日本・・

現在時刻 AM11:00
この残りながい一日を、どうしてくれよう

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