薄組・小野麻利江

小野麻利江 19年1月27日放送

Patrick Vierthaler
お茶のはなし 千利休のコミュニケーション論

茶人・千利休。
茶道の祖として日本の伝統に
大きな影響を及ぼした彼は
戦国武将をはじめ、
数多くの弟子を抱えていた。
そんな利休の言葉は、
今もなお含蓄に富んでいる。

 何にても 道具扱ふたびごとに
 取る手は軽く 置く手重かれ


茶道具を持つ時は、軽やかに。
置く時は、丁寧に。
道具を大事に扱いながら
優美な所作を心がけることが、
ともに茶を嗜む人への、
もてなしにも通じる。
茶席におけるコミュニケーション論の、
核心をつく一言だ。

もしも利休が、現代に生きていて。
ビジネス書を出版したとしたら、
きっとベストセラー間違いなしだろう。


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小野麻利江 18年12月23日放送

181223-03
愛のことば ディケンズの「単純な真実」

イギリスの文豪、チャールズ・ディケンズの
代表作のひとつ『クリスマス・キャロル』は
1843年の、ちょうどこの時期に出版された。

並外れた守銭奴のスクルージという男が
クリスマス・イヴの日に、かつての盟友の亡霊と対面。
自らの過去・現在・そして未来を見せられ、
結果、改心するというストーリーだ。

ディケンズが生きたヴィクトリア朝のイギリスは、
産業革命によって大きく発展を遂げた一方で、
国内の貧富の差が拡大していった時代。

ディケンズ自身も、父親が借金返済できずに投獄され、
12歳の時から、靴墨工場で過酷な労働を強いられたという
不遇な少年時代を送っている。

その影響があってか、ディケンズが紡ぐ物語は、
社会の底辺にいる貧しい人々に目を向け、
たとえ暗いテーマを扱っていても、
最後には、一縷の希望を感じさせるものが多く、
「人生の危機において、『単純な真実』ほど強く安全なものはない」
という彼の主張が、色濃く反映されている。

ディケンズがたどり着いた「単純な真実」とは何か。
それは、このような言葉で遺されている。

 A loving heart is the truest wisdom.
 愛する心は最も真なる知恵である


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小野麻利江 18年12月23日放送

181223-04
愛のことば いろんな「愛」

愛って、なんだろう。
歴史的にも地理的にも、愛にはいろんな姿がある。

古代ギリシアにおける愛は「エロス」と呼ばれ、
肉体的な交わりから、さらに真理へ至ろうという衝動を含んでいる。

キリスト教における愛は「アガペー」。
隣人との人格的な交わりと、神への愛を強調している。

仏教での愛は「渇愛(かつあい)」。
「喉が渇いている時に水を飲まずにはいられないような、根源的欲望」
に例えられ、煩悩のもととして否定的に見られている。

日本ではかつて、「愛」という文字は「かなし」と読み、
相手をかわいいといとおしみ、守りたいという気持ちを意味していたが、
明治に入り、ギリシャやキリスト教的な概念が
同時に輸入されたことで、
「愛」が、より多くの意味を含むようになってしまった。

ロマンチックなムード高まる、この季節。
もし愛のことばをささやく予定がある方は、
その「愛」が、どんな気持ちから来ているか。
ちょっと考えてみるのも、面白いかもしれません。


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小野麻利江 18年11月25日放送

181125-06 Prioryman
靴のはなし 「小さな軍靴」というあだ名で呼ばれた皇帝

「靴」という意味をあだ名に持つ、ローマ皇帝がいた。

ローマ帝国第三代皇帝・カリグラ。
本名は、ガイウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。
皇帝に即位してしばらくは穏健な君主だったが、
その後、暴君へと変貌し、
「残忍で狂気じみた独裁者」として、後世に伝えられている皇帝だ。

彼のあだ名「カリグラ」は、「小さな軍隊用の靴」という意味。
カリグラは2、3歳の頃から、父ゲルマニクスの軍事作戦に同行。
そのさい、甲冑から靴にいたるまで、
特別仕立てのミニチュアの軍服を身につけていたという。
「小さなローマ兵」の姿をしたカリグラの様子を
兵士たちが面白がり、
軍のマスコットとして愛された、という逸話が残っている。

古代ローマ時代の靴は、足首を革紐で固定させる
サンダルの形をしているものが主で、
軍隊用の靴は、1000キロ以上の行軍にも耐えうるよう、
靴の底に、100個近くもの鉄の釘が打ち込んであったそう。

幼いカリグラが履いていた靴に、
そこまでの大掛かりな補強が施されていたかはわからないが、
その後の彼の人生が、
壮絶な道を歩むことになったことは、確かである。


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小野麻利江 18年10月28日放送

181028-05 Photo by studiohzwei
パンダのはなし パンダと食べ物

1日10時間以上にわたり、
およそ20キロもの竹や笹の葉を食べる、
ジャイアントパンダ。

さぞかし大好物なのだろうと思いきや、
実は、パンダの身体の構造は、
竹や笹を食べるのにが、向いていないそう。

パンダの消化器官は、典型的な肉食動物のもの。
そのため、草食動物のように長い腸を持たず、
食べたものの2割程度しか消化できないらしい。

天敵を避け、中国山岳地帯の奥地を生息の場とした
ジャイアントパンダ。
そこで冬や氷河期でも枯れず、
1年を通して豊富に得られる植物が、竹や笹だったとか。

さらには、およそ420万年前に
パンダの体内の受容体が変異を起こし、
肉などのたんぱく質を「おいしい」と感じなくなった、
ということが、研究によって明らかになった。
竹や笹を食べ続けることができるのは、そのためだという。

争いを避けるために、食べ物の好みを変えてしまう。
パンダはかなりの平和主義者のようだ。


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小野麻利江 18年10月28日放送

181028-06
パンダのはなし パンダと伝説

どうもパンダという存在は、伝説と相性がいいようだ。

中国では古来から、
しばしば伝説の生き物・獏(ばく)と混同されてきた。

紀元前200年頃に編まれたという類語辞典
『爾雅(じが)』では、
「竹を食べる白黒模様をしたクマのような動物」のことを
獏と呼んでいたり、

「パンダの毛皮を寝具にすると、
未来を予知する夢を見ることができる」と、
獏の伝説がパンダの話として
信じられていたこともあったという。

そして時は移り、
1972年、上野動物園に、二頭のパンダが「来日」すると、
その日だけで5万6000人が集まるという
熱狂をもって迎えられ、

昨年も、上野動物園で初めて、
メスのパンダ・シャンシャンが生まれると、
日本中が再び、パンダブームで盛り上がった。

二千年以上ものあいだ、様々な伝説で
人々を惹きつける、パンダの最大の魅力。
それはきっと、白と黒のツートンカラー。

しかし、なぜパンダの体は白黒模様なのかは、
驚くことに、つい昨年まで、
きちんと解明されていなかった。


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小野麻利江 18年9月30日放送

180930-05 Photo by Daniel Sturgess
大地のはなし 大地を深掘りしていくと

大地の成分は、岩と土。

マグマが急速に、あるいは、
ゆっくりと冷やされたことで、できた岩。
生物の死骸が集まり、積み重なって、できた岩。
そんな岩たちが水や風で砕かれたり、
地下の奥深くで強い作用を受けたりして、できた岩。

それら岩石の細かい粒子がベースとなり、
そこに火山灰や、
動物・植物・微生物の死骸と排せつ物、
微生物によって分解された有機物などが
混じり合って、土になる。

土の中にはたくさんのすき間があり、
そのすき間は水と、
二酸化炭素や窒素を多く含んだ空気で満ちている。
たくさんの微生物や、動物たちも生きている。

大地を深掘りしていくと、
はるか宇宙の、
見知らぬ惑星のような風景が見えてくる。


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小野麻利江 18年9月30日放送

180930-06
大地のはなし 『菜根譚』より・天地と心根

 天地は、元来、広大なものであるが、
 心根の卑しい者が、自ら狭くする。


これは、明の時代末期の中国で書かれた、
『菜根譚』という処世訓の中にある言葉。

すべては心の持ちかた次第。
いまの自分の環境が
何だかせせこましいなと思ったら、

視野を広げて、広い自然・広い大地の中に、
身を置いてもいいのかも。

それをするには、
これからますます、いい季節です。


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小野麻利江 18年8月26日放送

180826-01
宿題のはなし 溜めてしまった宿題に

8月最後の日曜日。

夏休みの宿題を溜めてしまい、
頭を抱えているお子さんが、
もしいたら。

江戸時代中期、山形は米沢藩の
財政を立て直した名君、
上杉鷹山(うえすぎようざん)公が
家臣に示した、
こんな言葉を贈りたい。

 なせば成る なさねば成らぬ 何事も


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小野麻利江 18年8月26日放送

180826-02
宿題のはなし 先延ばしの偉人

明日やろう。明日こそはやろう。
子どもの頃の「夏休みの宿題」に始まり、
人は、幾つになっても、
気が進まないことを先延ばしにしがち。

しかし、安心してください。
かの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチも、
先延ばしすることが、多かった模様。

たとえば、7ヶ月で完成させる契約だった
「岩窟の聖母」という絵画が、
実際に完成したのは、なんと25年後。

好奇心旺盛でひとつのことに集中できず、
途中で投げ出した作品も多いそう。

あなたにも、もし、「先延ばしグセ」があるとしたら。
ひょっとするとそれ、
「天才のしるし」かもしれません。


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