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中村組・三國菜恵

三國菜恵 17年7月15日放送

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妄想、あるいはエネルギー 横澤夏子

同窓会の帰りにはかならず泣いてしまう。

吉本芸人・横澤夏子は18歳のときに上京。
地元で就職はせず、芸人の道へすすんだ。

彼女が選べなかった方の人生が、彼女はうらやましい。
「地元のOLの友達に負けたくない」という気持ちが、
なぜだかずっとぬぐえない。

大学を卒業して、社会人の肩書きを得ること。
地元の子と結婚して、実家のお墓を守ること。
恋愛に疲れたと言えるほど、たくさん恋愛してみること。

地元に置いてきたものすべてがまぶしく見えるから、
同窓会の帰りにはかならず泣いてしまう。

帰らなければ傷つきはしないけれど、
そこで得る反動のエネルギーが、ふしぎな原動力になる。


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三國菜恵 17年7月15日放送

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月、あるいはタンパク質 Spiber

クモの糸が繊維になる。
そんな夢のような話を実現させてしまった企業がある。

山形県鶴岡市に拠点を置くカンパニー、Spiber(スパイバー)。
クモの糸の成分であるタンパク質は、
アミノ酸との人工合成によって多様な繊維をうみだせる。
そのポテンシャルに着目して、開発に踏み切った。

石油に変わる繊維として注目され、
2016年には、アウトドアブランドのTHE NORTH FACEと共に
アウタージャケットを開発した。

金色に輝くジャケットは、
MOON PARKAと名付けられた。
持続可能な環境をめざす、人類の夢がそこに光っている。


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三國菜恵 17年3月25日放送

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花ひらく 青島幸男と植木等

サラリーマンになりそこねた男、青島幸男。
同級生が就職していく中、病床で寝ているしかなく、
ルサンチマンがたまっていった。

そしてこんな詞を書く。
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」

『スーダラ節』と名付けられた
その歌を歌うことになったのは、
サラリーマンと無縁の、住職の息子、植木等。
こんな下劣なことばは歌えないと悩み、父親のもとへ。

すると父はこう言った。

 この、「判っちゃいるけど止められない」って歌詞は素晴らしい。
 人間てものはな、皆判っちゃいるけど止められないものなんだ。


こうなるはずじゃなかった。
そんな二人が出会い、昭和のテレビスターとして花開いた。



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三國菜恵 17年3月25日放送

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花ひらく 井上陽水

東京に来たのは、
グループサウンズの終わりの頃だった。
「ACB」というジャズ喫茶によく行っていた。

そこは自分のステージではなかったけれど、
時折、楽屋にいるメンバーから「歌っていいんだよ」と
声がかかることがあった。

客席はまばらで空いていたけれど、
気持ちは歌いたい盛りだった。
当時珍しかったリバーブのかかったマイクで歌うのがうれしかった。

そう語ったのは、シンガーソングライター井上陽水。
グループサウンズブームの終わりに、ひとりでステージに立った日から、
新しい歴史が動き出していた。



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三國菜恵 17年1月14日放送

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ひとりとひとり 久世光彦と向田邦子

1960年代から80年代にかけて、
数々のヒットドラマをうみだした二人がいる。

演出家・久世光彦と
脚本家・向田邦子。
二人は何でも一緒につくった。
そして、よく電話を掛け合った。

久世は、大事な資料を無くした時に、
まず向田に電話を掛ける。

向田は、何かを思いついた時、
必ず久世に電話を掛ける。

久世は、向田が遅刻する時、
言い訳のバリエーションが少ないことを知っていた。

向田は、乳がんが見つかった時の不安を、
電話先の沈黙で久世に伝えた。

替えのきかないその関係を、久世はこんな言葉で表している。

 もし、あなたのまわりに、長いこと親しくしているくせに、
 指一本触ったことがない人がいたら、
 その人を大切にしなさい



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三國菜恵 17年1月14日放送

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ひとりとひとり 坂本龍一とNIGO

テレビの中で、雑誌の中で、
「この人、なんかいいな」と感じる人がいる。
そう思うのは芸能人同士であっても同じである。

作曲家・坂本龍一はある人のことが気になっていた。
アパレルブランド、A BATHING APEの
クリエイティブディレクターして知られるNIGO。

坂本は自身のトークショーのゲストにNIGOを招いた。
ほぼ初対面だったけれど、ある話題をきっかけに、
ふたりの会話の距離はぐっと縮まる。

 子どものころ、家に百科事典があって、
 読んではいないけれどあの存在感が好きだった


狭いツボを共有できて「やっぱり」と思った坂本は、
そのあとすぐ、連絡先を教えてと言った。


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三國菜恵 16年12月24日放送

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今夜はクリスマスイブ 岩田徹(いわたとおる)

北海道砂川市にある本屋「いわた書店」。
へんぴな場所にありながら、
いま日本でいちばん忙しい本屋と言われている。

店主の岩田徹さんのもとには、
毎月3000通ものメールが届く。
そのメールは「カルテ」と言われ、
どんな本を求めているか
どんな人生を送ってきたかを
事細かに記入する必要がある。

カルテをもとに、
岩田さんが1万円分の本を選ぶ。

そして、遠く離れたひとりひとりの元へ
処方箋のような本が届く。

岩田さんは毎日、サンタクロースのように忙しい。


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三國菜恵 16年12月24日放送

161224-04
今夜はクリスマスイブ こぐま社

『しろくまちゃんのほっとけーき』などで知られる
絵本の出版社、こぐま社。

子どもたちに、クリスマスの起源を
教えるためにつくられた
『クリスマスおめでとう』という絵本がある。

イエスキリストがうまれたその日、
羊たちも、天使たちも、空の星までもみんな、いそいそと現場に向かう。
こんな言葉を口にしながら。

 みんなが まっていた うれしいことって なんだろう

街に溢れるあたたかい祝福感が、
絵本をめくると伝わってくる。


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三國菜恵 16年11月26日放送

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ペンは動く 羽田圭介

芥川賞作家、羽田圭介。
小説家デビューは17歳。
ある作家の登場に焦りを覚えたのがきっかけだった。

17歳の高校生・綿谷りさの新人賞受賞。

その衝撃に突き動かされ、
羽田は小説家になる練習を始めた。

 文芸誌のバックナッバーをまとめ読みした。
 テストの傾向と対策を練るかのように。


目指す為に、まず、学ぶことから始めた。


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三島邦彦 16年11月26日放送

161126-05 psycho.mato
ペンは動く 東村アキコ

人気漫画家、東村アキコ。

育児、オタク女子、地元で出会った面白い人。
さまざまな視点から漫画を描いてきた。

ある日ペンを動かす中でふと、
ある人のことを思いだした。
自分に「絵」を描くことを教えてくれた、アトリエの先生。
その先生にはもう会えない。
だからこそ、漫画の中に生き生きと描きだそうと思った。

「ウソを描くと紙のなかの先生に怒られるんじゃないか」
計算も、演出も排除して、ペンは進んだ。

漫画の中によみがえった先生の言葉に、
いま、沢山の人が心を揺さぶられている。


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