薄組・薄景子

石橋涼子 20年3月29日放送

Jonathan Baker-Bates
春野菜のはなし  春野菜がきた

春の訪れに気づくのは、どんな時だろうか。

梅の花が咲いて、桃も咲いて、
いよいよ桜もほころんでいると気づいた時だろうか。

ぽかぽかと温かい日差しを浴びて、
冬用のコートが重く感じたら。
春色の華やかな洋服を着たくなったら。

4月から始まる新生活を前にして
人々の表情が、ちょっと、前向きに見えたら。

もし、まだ春の予感を感じていない場合は、
スーパーマーケットに行くと良い。
春キャベツ、アスパラ、菜の花にフキノトウ…
この季節しか出会えない野菜たちが
みずみずしい春の訪れを告げてくれるだろう。

栄養たっぷり、生命力にあふれた春野菜を食べながら
季節の変わり目を楽しんでみませんか。


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石橋涼子 20年3月29日放送

Haragayato
春野菜のはなし  たけのこ前線

春が来て温かな日差しを感じると、
土の中からひょっこり顔を出す、たけのこ。

たけのこを漢字で書くと、竹冠に旬。
これは、一旬で竹になる、という意味で
たけのこの成長の早さを表している。

柔らかく甘みのある春のたけのこは、
収穫後もどんどん成長してえぐみが強くなるので
下処理は時間との戦いだ。

料理好きで知られる文豪の檀一雄は、
たけのこはとにかく掘った、食った、が良いと語る。
春になると、竹林の中に分け入って
掘り立てを焼いて食べるために東奔西走するという。

さすがに竹林で焼くのは難しいが、
とれたてのおいしさを求めて産地を訪れる人は多い。

日本の食卓で親しまれている孟宗竹は
2月下旬に九州で出回り始めて
3ヶ月ほどかけて東北に達する。

桜前線ならぬ、たけのこ前線だ。


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茂木彩海 20年3月29日放送

Laurel Fan
春野菜のはなし  世界の春野菜

日本では、春になると春野菜がスーパーに並び、
季節ならではの苦味を楽しむものだが、
当然、春は世界中にやってくるわけで。

海の向こうに目をやると、実に多くの春野菜が存在する。

例えばアメリカにはブロッコリーラーベと呼ばれる
ブロッコリーと菜の花の中間のような味の春野菜があり、
シンプルにオリーブオイルと塩で炒めて食べると
絶妙な苦味がクセになるらしい。

食の都、フランスではピサンリと呼ばれる野菜が
春野菜として楽しまれている。
実はこれ、タンポポの葉の部分のことで、
日光に当てずに育てるため、見た目も薄い黄色をしていて
食感もずっと柔らかい。もっぱらサラダにして食べるのが一般的だそうだ。

3月も、もう終わり。
まだ春野菜を味わっていない人は、ぜひ今日の献立で
春の訪れを感じてみてはいかがだろうか。


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薄景子 20年3月29日放送


春野菜のはなし  春の皿には苦味を盛れ

「春の皿には苦味を盛れ」
日本にはそんな諺がある。

フキノトウ、タラの芽、菜の花など、
春ならではの山菜や野菜の苦みや香りこそ
この時期いただかなくちゃ、もったいない。

そのとおりではあるが、
それだけではない。

春野菜の苦みの正体は、
ポリフェノールなどの抗酸化作用をもつ成分。
冬に溜めこんだ体の老廃物を
きれいに掃除してくれる働きもある。

さあ、いよいよ新年度。
春野菜の苦みの力を借りて、
心に溜めこんだほろ苦い思いも
すっきり手放してみませんか。


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熊埜御堂由香 20年3月29日放送


春野菜のはなし  アスパラガスの由来

春の食卓に彩りを添えるアスパラガス。
江戸時代にオランダ船から、
鑑賞用の植物として日本にもたらされた。

明治時代に北海道の開拓のため
食用の種子が持ち込まれて
日本人にも馴染みの深い野菜となっていく。

新芽、を意味するラテン語の「asparagus―アスパラガス」
がその名の語源だ。
ヨーロッパでは、その個性的な姿から、
マドモワゼルの指先と呼ばれたり、野菜の女王とも呼ばれる。
この春は、茹でたてをほおばる前に
その美しい姿を拝んで、口にしたい。


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若杉茜 20年3月29日放送

Pauline-Mak
春野菜のはなし  黒キャベツ

春キャベツは、みずみずしくて柔らかく、
甘い春の訪れを告げる。

ところでイタリアのトスカーナ地方では、
この地方の固定種である「黒キャベツ」が
その役目を担っている。

黒キャベツはケールの仲間の野菜で、
細長く、縮れた葉を持つ。
味が濃く、しっかりとした葉を持つので、
シンプルに茹でて塩をしたり、
さっと炒めたり、コトコト煮込んだり。

故郷のトスカーナ地方には、
豆と固くなったバゲット、
そして黒キャベツを一緒に煮込んだ
リッボリータという郷土料理も。

この春は、
深い深い緑色を持った
黒キャベツを迎えて、
食卓の春の彩りを
さらに豊かにしたい。


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小野麻利江 20年3月29日放送

Leeks ‘N’ Bounds
春野菜のはなし  「新」のつく春野菜

新じゃがに、新玉ねぎ。
春に出回るこれらの野菜は
水分を多く含み、柔らかい。
サラダなどの生食や、
軽く火を通して食べるのがおすすめだ。

一年を通して出回っている
じゃがいもや玉ねぎは、
貯蔵性を高めるために
十分に乾燥させてから出荷される。
しかし新じゃがや新玉ねぎは、
収穫時期の初期に出る「新物」を
貯蔵せずに出荷するため、
水分が多いというわけだ。

ちなみに、貯蔵して冬を越したじゃがいもは
「ひねじゃがいも」と呼ばれる。
「ひね」は「古くなったもの」「老成したもの」
という意味だ。
貯蔵することで糖分が増え、甘くなったひねじゃがいも。
「ひね」と言わずに「熟成」と呼びたい。


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小野麻利江 20年3月29日放送

yellow_bird_woodstock
春野菜のはなし  つくしで味わう春

桜が咲くよりも少し前に、
河原や土手に生えてくる「つくし」。

ハウス栽培などは殆どなく、
スーパーにはなかなか並ばない。
お散歩したり山歩きをした人だけが
手に入れることができる、春の味覚だ。

硬くて食べられない「袴(はかま)」の部分を
取り除き、水で洗う。
沸騰したお湯に入れて、水にさらしたら、
下処理完了。

佃煮、卵とじ、天ぷら。
春野菜ならではの苦味を楽しめるレシピにして、
さあ、春を召しあがれ。


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茂木彩海 20年2月23日放送


8. 富士山のはなし 富士上人 


今では世界中から登山者を迎える富士山も
奈良時代から平安時代にかけては噴火が続き、
とても登れるような山ではなかった。

そのため富士登山は修行の一環とみなされ、
「富士上人」と呼ばれた僧は数百回と登頂し、
現在の登山道を開拓したとされている。

今日は富士山の日。
山頂から望む景色は、苦しさを乗り越えてこそ。
今も昔も、私たちの心を洗うのだろう。

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薄景子 20年2月23日放送


7. 富士山のはなし 山岡鉄舟の歌 


今日は富士山の日。
この日にこそ思い出したい歌がある。

晴れてよし 曇りてもよし 富士の山
もとの姿は 変わらざりけり

詠んだのは幕末の政治家、山岡鉄舟。
青空の下にそびえる雄大な富士も、
雲がかかって見えない富士も、
富士山そのものは変化することなくそこにある。

目に映るものだけに惑わされず、
変わることのない富士山の本質を
山岡は心の目でとらえていたのだろう。

人生も同じ。
晴天の日もあれば
曇りや雨の日もある。
変化に右往左往せず、
本質を変えず、どっしりと生きよ。

今日も富士山がそう言っている。

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