2019 年 1 月 のアーカイブ

茂木彩海 19年1月27日放送



お茶のはなし イギリスのお茶文化

お茶文化を代表する国、イギリス。

ヴィクトリア朝時代の元首相、
ウィリアム・グラッドストンはかつて、紅茶にまつわるこんな言葉を残した。

 紅茶は、
 寒いときには、温めてくれるでしょう。

 気分が落ち込んでいる時には、元気づけてくれるでしょう。

 気分が高ぶっている時には、落ち着かせてくれるでしょう。

1日7回ものティータイムを過ごすと言われるイギリス人。

回数こそ敵わないが、
お茶が欲しくなる瞬間は、案外どこの国でも変わりないようだ。

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熊埜御堂由香 19年1月27日放送


Teddy Song
お茶のはなし 茶柱の奇跡

縁起がいい茶柱が立った。
お茶の時間に稀に起こる奇跡だ。
実際、ここ最近、茶柱に出会った
経験をしたひとは少ないのではないだろうか。

それもそのはず、
まず、茶葉に入っているお茶の茎が
急須の網の目をかいくぐり、湯飲みに入ること
自体が珍しい。

さらに最近の急須は、その手前で
茎をストップさせる網の目の細かい茶こしがセット
されていることも多い。

さらに、背伸びしてちょっと高いお茶に手を
伸ばしても、茶柱は遠ざかる。

茶柱の縁起担ぎは、
駿河の茶商人が、質が劣る茎茶を売るための
セールストークだったという説がある。

贅沢なお茶ではなく、番茶や茎茶を家で飲む。
そんなありふれた日常に、茶柱が小さな幸せを呼び込む。
とても温かなジンクスだ。

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石橋涼子 19年1月27日放送



お茶のはなし 源実朝の二日酔いとお茶

鎌倉幕府第3代将軍、源実朝。
北条家の庇護のもと若干12歳で征夷大将軍に任ぜられた。
と言うと華々しいが、実際は、
北条家による執権政治の始まりであった。

政治への関与は許されない一方で、
周囲には暗殺やクーデターの気配ばかり。
若いころから好きだった文学趣味と、
お酒に救いを求めたのも無理からぬことかもしれない。

『吾妻鏡』には、
連日の深酒による二日酔いに苦しむ
実朝のエピソードが記されている。
臨済宗の僧・栄西が二日酔いの将軍を見かねて、
お茶を献じたのだという。
さらに、栄西自らお茶の効能を説いた『喫茶養生記』を
将軍に献上したことで、
武家社会にも喫茶文化が広まった。
当時すでに、お茶に含まれる
ビタミンCやカフェインなどの効能は
知識階級に知られていたのだ。

鎌倉幕府成立から北条政権への過渡期に翻弄された将軍は
お茶の効能だけでは救われなかった。
歌詠みとしても知られる源実朝だが、
28歳の若さで身内に暗殺され
今でもその才能を惜しまれている。

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石橋涼子 19年1月27日放送



お茶のはなし 参勤交代とお茶菓子の発展

ホッと一息つける、お茶の時間。
温かいお茶の隣に欠かせないのが、お茶菓子。

日本各地には、銘菓と呼ばれる
地元ならではのお茶菓子があるものだ。
この発展に、江戸時代の参勤交代が
関係しているのをご存知だろうか。

一年おきに、各地の大名が
江戸と領地を行き来する参勤交代。
将軍への献上品に始まり、
江戸での贈答品や茶会用にと、
土地にちなんだお茶菓子づくりが奨励された。

名物に旨いものあり。
たまには地元の銘菓とホッと一息、
お茶の時間をどうぞ。

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小野麻利江 19年1月27日放送


Patrick Vierthaler
お茶のはなし 千利休のコミュニケーション論

茶人・千利休。
茶道の祖として日本の伝統に
大きな影響を及ぼした彼は
戦国武将をはじめ、
数多くの弟子を抱えていた。
そんな利休の言葉は、
今もなお含蓄に富んでいる。

 何にても 道具扱ふたびごとに
 取る手は軽く 置く手重かれ

茶道具を持つ時は、軽やかに。
置く時は、丁寧に。
道具を大事に扱いながら
優美な所作を心がけることが、
ともに茶を嗜む人への、
もてなしにも通じる。
茶席におけるコミュニケーション論の、
核心をつく一言だ。

もしも利休が、現代に生きていて。
ビジネス書を出版したとしたら、
きっとベストセラー間違いなしだろう。

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熊埜御堂由香 19年1月27日放送



お茶のはなし ボストン茶会事件

アメリカ独立戦争のきっかけは、
お茶が起こした争いだった。

1773年の「ボストン茶会事件」だ。
当時、イギリスの植民地だった北アメリカで、大流行の紅茶に
一方的な通告で税金がかかることになった。

植民地政策へ不満が募る中、
ボストン港に茶葉を積んだ東インド会社の貿易船が停泊した。
その船を「ボストン港をティー・ポットにする」と叫びながら、
急進派市民が襲撃し、茶箱を海へ投げ捨てた。

この事件は、紅茶の不買運動も引き起こした。
アメリカに、紅茶派よりもコーヒー派が
多いのはそのためだと言われる。
どちら派であっても、お茶には平和が似合う。
お茶を穏やかに味わえる幸せを、今日も感じよう。

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薄景子 19年1月27日放送


のりりん
お茶のはなし 一期一会

千利休が説いた、「一期一会」。
すべての茶会は、一生に一度の出会い。
そんな心構えで誠意を尽くす、茶道の真髄。

戦国時代、お茶は武将の嗜みだった。
刀をもって入れないように茶室は狭く作られ、
武将は刀を外において、ただお茶を嗜んだ。
戦がはじまれば、もう二度と会えないかもしれない。
そんな覚悟で、お茶に心をこめた。

一期一会は、私たちの毎日にもある。
当たり前のように顔を合わせる人でも
いつかは別れるときがくるのだ。
それに気づくだけで、
今日という日が、愛しく尊いものになる。

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茂木彩海 19年1月27日放送



お茶のはなし 織田信長のお茶会政治

お茶好きで知られる武将に、織田信長がいる。
信長が特に愛したのは茶の湯、いわゆるお茶会である。

当時の褒美である土地の代わりに、茶器を与えたり、
お茶会を催す権限を特定の部下だけに与えるなど、
お茶会を政治的に利用した。

他の戦国武将たちが圧倒的な武力で政権を確立していく中で、
武力とは正反対のお茶会で天下を目指してしまうとは。

あなどるなかれ、お茶の力。

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永久眞規 19年1月26日放送


FotoMediamatic
発酵食品 シュールストレミング

世界で一番臭いと言われる
食べ物を知っているだろうか?

それは、スウェーデンの伝統食品
シュールストレミング。
ニシンの塩漬けを発酵させたものだ。

その臭さを侮るなかれ。
ノルウェーのとある夫妻が屋根裏で見つけたのは、
25年前に購入したシュールストレミングの缶。

その間ずっと自然発酵し続けていた缶は、パンパンに。
破裂したら恐ろしいことになると
パニックになった夫婦は、なんと軍に通報。

後に、無事撤去されたが
ニュースにもなる大騒動となった。

たった1缶で、
街全体を巻き込むほどの匂いを持つ食べ物は
他にあるまい。

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村山覚 19年1月26日放送

hirotomo 発酵食品 関東のくず餅 透き通ったお餅に、きな粉や蜜などをかけて食べるくず餅。 葛粉の産地がある関西では、定番の和菓子だ。 一方、関東地方では、色や香りが異なるくず餅があり、 江戸時代から長く愛されているのをご存じだろうか。 関東のくず餅は、葛ではなく、小麦粉のでんぷんが主原料。 とある老舗メーカーでは、1年以上かけて自然発酵させたでんぷんを お湯で練って蒸し上げるそうだ。 色は白っぽく、かすかにヨーグルトのような香りがするのが特徴。 和菓子では唯一の発酵食品で、乳酸菌の効果が注目されている。 関東と関西で似て非なるくず餅。 食べ比べてみるのも面白そうだ。


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